先日、日銀の政策決定会合が開かれました。
そこで、“異次元緩和”を継続することが確認されたそうです。
果たして、このままで大丈夫なのか……ちょっと不安が募ってきます。
というのは、物価上昇率の達成目標や見通しが延々先延ばしされる一方で、“打ち止め”のときがだんだんと近づいてきているからです。
周知のとおり、“異次元緩和”というのは、日銀が発行済みの国債を買い取るというやり方でやっています。
その発行済みの国債というのは、当然ながら数量にかぎりがあります。ずっと続けていくわけにはいかないというのは自明のことです。
いつか「もうこれ以上は続けられない」という状態になることは目に見えてるんです。
これは異次元緩和がはじまった当初から指摘されていることで、しかも、そんなに先の話ではないといわれてます。
その日がやってきたとき、果たして日本の経済はどうなるのか……そう心配せずにはいられません。
それを回避するために、国債の発行量を増やすとか、日銀が直接国債を引き受けることができるようにするとか、そういう方法を考える人もいるかもしれませんが、それはそれで危ないでしょう。
それは、“裏付けのないお金(もしくはそれに相当するもの)を大量に発行する”ということに近く、歴史上、その禁断の手法に手をつけた国家は後でひどい目に遭ってます(たとえば中国の元王朝はそれをやって滅亡しました)。だから、普通はどこの国もそんなことはしていないんです。
なんのリスクもなく無制限にお金を発行して問題ないわけがない……というのは常識的に考えればわかることですし、もしそれで問題がないのなら、どこの国でも常にそうしてるはずですよね。それは、やっちゃいけない禁じ手なんです。そして、なんの展望もないままに異次元緩和を続けていけば、その禁じ手に手を出すか、打ち止めで強制終了になるかのどっちかしかなさそうなんです。
本当に問題なのは、日銀のなかでこの状態に異を唱える人がいないということでしょう。
いま、日銀の政策決定会合の委員のなかに、異次元緩和の根本的な考え方に反対という人はいないんですね。
ちょっと前まではそういう人もいましたが、最近のメンバーチェンジで賛成派の人ばかりになってしまいました。
こういうところが恐ろしいんです。
反対意見を排除して、賛成の人たちだけで物事を決める……いま、いろんな意思決定の場でそういうことが起きているようにみえます。
国会でも野党の質問を削減するなんて話が出ているようですが、そういうことをやっていって本当に大丈夫なんでしょうか。
反対意見が出ないところで物事を決めるというのは、とても危険なことだと思うんですが……