ロック探偵のMY GENERATION

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全国一斉休校問題をさらに考える

2020-03-01 18:46:10 | 時事

 

 

今回も、全国一斉休校の件について書きたいと思います。

 

まあ、純粋に感染拡大防止という観点からすれば、やらないよりはやったほうがいいんでしょうが……ただそれによって引き起こさるさまざまな問題があるわけで、プラス面とマイナス面のバランスを考慮して判断すべきでしょう。要請を出すにあたって、そのあたりに十分な配慮があったのかという疑念はぬぐえません。

 

 

かつて毛沢東時代の中国で「密植」ということが行われていたといいます。

 

密植とは、文字通り密に植えること。

一本の苗を植えるところに四本の苗を植えれば、収穫は四倍になるに違いない――ということで、食糧増産のためにそういう策をとったそうです。

結果、とんでもないことになりました。

当然ながら、植える苗の数を四倍にしたから収穫が四倍に増えるなどということはあるはずもなく、それどころか、どの苗もまともに育たなくなり大凶作・飢餓を引き起こしたといわれています。

 

これは、“独裁”というものの問題性を端的に表したエピソードだと思います。

 

専門的知識をもたない権力者が思い付きで政策を打ち出す。専門的知識をもっている人たちは、そんなバカなと思っているけれど、それを止めることができない。結果、そんなバカなという政策が実行に移され、めちゃくちゃな結果が生じる……

 

今回の唐突な全国一斉休校要請は、それに近いところがあるんではないかと思っています。

権力の一元集中が進んでしまっていて、専門知識を持たないトップが“うかつ”な指示をだし、まわりがそれを止められないという……

 

安倍総理自身の資質については、ひとまずおいておきます。

 

安倍総理が感染症や学校教育に関する個別具体的な問題点について詳しく知らなかったとしても、それ自体はやむをえないことです。

ただ、それゆえにこそ専門家の意見を聴くことが必要なのであり、そのプロセスを怠ったことには大いに問題があるでしょう。

 

近代になると、多くの国が君主制を放棄しました。

君主を維持した国でも、「君臨すれども統治せず」――すなわち、王さまはあくまでも象徴的な存在であって、政治的な権限はほどんどもたない――というのが普通です。

それは、複雑化した近代社会では、一人の人間があらゆる分野に精通していて適確な判断を下すということはまず不可能ということが背景になっていると思われます。

 

特に感染症なんかでは、素人がうかつなことをいうのは危険でしょう。

先般ダイヤモンド・プリンセス号で「不潔ルート」の画像が出回って「なんだよ、不潔ルートって」とツイッターで嘲笑されたりしていましたが、どうやらここでいう「清潔」「不潔」というのは医療の専門用語として使われているものであり、われわれが日常的にいう「不潔」とはニュアンスが違い、あの場で使われていて不自然ではないということらしいです。

「専門知識」というのは、そういうところがあります。

一般人からみれば理解しがたいものだったり、一見馬鹿げて見えたりする。けれど、重大な意味を持っている……そういうことがあるので、門外漢が適当なことをいってはまずい場合があるわけです。

ゆえに、トップの独断で専門家の意見をすっ飛ばしてしまう独裁というあり方は、近現代では致命的に問題があります。

今回の全国一斉休校という措置は、そういうレベルの問題を可視化させているように思えました。

 

 

 


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