今回は、音楽記事です。
音楽カテゴリーでは、前回アンスラックスについて書きました。そこからのつながりで、今回は同じくスラッシュメタルBIG4の一角であるSlayerについて書きます。
スラッシュメタル四天王といったら、なかでもまずメタリカ、メガデスがツートップで、それについでスレイヤーというのが一般的な認知度順でしょう。そういう意味ではスレイヤーは三番手ということになりますが、その過激さという点では、四天王の筆頭かもしれません。
彼らの代表曲Angel of Death が、その端的な表れでしょう。
アウシュヴィッツ収容所で人体実験を行い“死の天使”と呼ばれたヨーゼフ・メンゲレのことを歌った歌です。
スレイヤーのYouTube公式チャンネルから、そのライブ映像を貼り付けておきましょう。
Slayer - Angel Of Death (Live At The Augusta Civic Center, Maine/2004)
スラッシュメタルのなかでもきわめつけに過激で、発表時にだいぶ物議をかもしたようですが、激しい批判を受けつつも、この曲はメタル史上に残る傑作とみなされています。この曲が収録されているアルバム REIGN IN BLOODは、スレイヤーがモンスターバンドに成長していく一里塚となりました。
しかし……このスラッシュメタル四天王の一角は、今ではもう存在しません。
2018年、スレイヤーは活動終了を表明し、去年の暮れまでファイナルツアーを行っていました。
思えば、このブログでは、何度か似たような話を書いてきました。エルトン・ジョン、ジョーン・バエズ、ポール・サイモンといった人たちが、ツアー活動の終了を宣言し、最後のツアーをやっています。スラッシュメタルの雄といえど、寄る年波には勝てずということでしょう。
ちなみに、このファイナルツアーには、先日紹介したアンスラックスもサポートアクトとして参加していました。
そのアンスラックスのチャーリー・ベナンテは、スレイヤーの活動終了を惜しみつつも、判断自体には理解を示しています。
バンドが高齢化すると、もうかつてのような演奏はできなくなってしまうかもしれない。演奏するのがやっとというような醜態をさらしたアーティスを見たこともある。自分のお気に入りのバンドにはそんなふうになってほしくない……といったようなことを語っています。
ニール・ヤング風にいえば、錆びつくよりも燃え尽きたいということでしょうか。
もっとも、ベナンテの言い方からすると、スレイヤーがすでにそういう状態になっているわけではないともいえるでしょう。スレイヤーのマネージャーも「頂点にいる状態で活動をやめる」ということだといっています。
しかし、あるいは年齢からくる衰えもあるのかもしれません。
それを裏付けるエピソードといえるかはわかりませんが、ファイナルツアーのなかで、ギターのケリー・キングが演奏に失敗するという一幕があったそうです。
曲の出だしのギターをミスし、もう一度やり直したものの、再びミス。3回目もミスし、結局その部分を端折って演奏したのだとか。
ケリー・キングといえば、その風貌もあいまってメタル界のカリスマ的存在となっているギタリスト。その帝王にあるまじき失態ということで、話題になったものです。
伝えられるところによれば、その日は新しいギターを導入していて、そのギターがしっくりこなかったため……ということなんですが、もしかすると年齢的な問題もあったのかと思ってしまいます。
結局ファイナルツアーは昨年12月に終了しました。
最終公演の最後の曲が
Angel of Death
だったそうです。この曲で感動のフィナーレという感じにもならないでしょうが、公演終了後には40分ほどかけてメンバーが別れの挨拶をしたといいます。
こうしてスレイヤーは活動を終了したわけですが……最近、そのスレイヤーの再結成を謳うコンサートのチケットが転売サイトで売りに出されるという事件が発生しています。いくらなんでもそんなにすぐに再結成はしないだろうという話ですが、これについては、スレイヤー側も明確に否定しています。ファンの皆さんはご注意を。
【追記】
ちなみに、スレイヤーにはギターが2人いるんですが、もう一人のギターであるゲイリー・ホルトは、最近コロナウィルスに感染したそうです。
やはり、いくら悪魔じみたことをいっていたからといって、ウィルスはそんなことおかまいなしということで……