大阪府が、休業要請に応じない業者の公表を考えているそうです。
この件が、物議をかもしています。報道によると、国のほうでも、そういうことを考えているようで……しかしここには、一抹の気持ち悪さをぬぐえません。
この手法に対して感じる気持ち悪さの一因は、“世間の目”を利用しているということですね。
最近では感染者が出た家に投石や落書きなどの嫌がらせがあったりもするそうですが、そういう負のエネルギーを利用しようというところは大いに問題でしょう。
大阪に関しては、電話で要請しても無視、“ガチャ切り”などの悪質な対応をとる業者に対してやむなくそういう措置をとるのだということなんですが、果たしてそれがどういう結果を生むか……
ここで利用されている“世間の目”というのは、今回のコロナ禍でいえば、感染者に対する嫌悪の感情が根底にあります。
識者によれば、感染者を攻撃するのは、“行動免疫”という側面もあるといいます。
感染者に対して嫌悪の感情をもつのは、それによって感染症を遠ざけようとする、ある種生物的な本能からくる反応だというのです。
しかし、生物としてではなく社会的存在としての人間を考えた場合、生物としての反応はむしろ感染拡大を助長することになりかねないこわさがあります。
“世間の目”は、ある種の委縮効果を社会にもたらすおそれがあるでしょう。
“迫害”をおそれて、感染したことを隠す、あるいは、自覚症状があったとしても「感染していたら周りから後ろ指を指される」という恐怖から検査を受けないといった事態が考えられます。そして、そのような行動をとる人が多くいれば、ウィルスはさらに拡散していくでしょう。
逆に、休業要請に応じていないパチンコ店などの側では、「むしろPRになってもっと人がくるようになるのでは」などという声もあります。
店名公表という措置は、かえって負の効果だけが発揮されるということにもつながりかねません。やはり、根本的な対処法は休業補償しかないんじゃないでしょうか。