新型コロナ第六波が、深刻さを増しつつあります。
新規感染者数はいくらか鈍化の兆しも見えますが、まだまだ予断を許さない状況でしょう。
ところで、先月コロナ関連記事を書いた際に、ワクチンには逆効果となる部分もあるのではないかということを書きましたが……この点に関して、元F1ドライバーの中林香さんが興味深いツイートをしておられたので、今回はそれを紹介しようと思います。
中林香さんは、ツイッターでしばしば政治・社会に関する意見を述べておられる方です。
現在はドイツ在住で、ドイツにおける新型コロナの状況についても発信されているんですが……
その中林さんによると、ドイツの新型コロナ対策はワクチンに偏重していて、ワクチン登場以降、マスク着用や社会的距離といった基本的な感染症対策が軽視されるようになっているといいます。
そのことが、毎日20万人以上の新規感染と150人近くの死者を出す要因になっていると中林さんはみています。
これが、まさに私が以前の記事で書いたことです。
ここに表れているのは、つまり「致死率が低いからこそ多くの死者を出す」という逆説です。
致死率の高い感染症ならば、それが発生している場所にいる人々は徹底した予防策を講じるし、感染・発症した人はあまり感染を広げない(死んでしまう率が高い、あるいは重症で動き回れなくなる、など)……といったことがあるわけですが、致死率が低いとそうはならず、感染がどんどん拡大していく。結果として、率が低くとも母数が大きいために、最終的な死者数ははるかに多くなってしまう。
そして、ワクチンはむしろそのパラドックスをより深刻なものにする作用をもってしまうかもしれない……ということが問題になってきます。
なまじワクチンというものがあるがために、無症状の感染者が増える、あるいは、「ワクチンを打ったから大丈夫」と活発に行動する人が増える、これまでとられていた種々の感染予防策が軽視されるようになる。その効果が、ワクチンがウィルスに対して持つ作用を相殺、あるいは凌駕してしまうとしたら……
実際、日本においても、第六波は過去最悪の被害をもたらしつつあります。
新規感染者数が異次元のレベルというだけでなく、死者数も、とうとう事実上過去最多を更新しました(数字の上で過去最高となっている昨年5月18日の数字は、神戸市が一か月半分の死者数をまとめて計上したぶんが含まれている)。
ワクチンだけではパンデミックを克服することはできない……当初からいわれていたことですが、少なくとも「だけでは」という部分はもう事実によって証明されているといっていいでしょう。ワクチンは、希望の光であるとしても、救世主ではないのです。
いま一度、中林さんのツイートを紹介しましょう。
隔離と初期治療は感染症対策の基本です。どんなものごとも、まず基本に忠実であること、目的が明確であることが大事だと思います。個人では防ぎきれませんので。
ワクチン頼みでは、感染拡大を抑えることができません。
やはり、基本が大事ということじゃないでしょうか。