本日、福岡県南部の久留米市というところに行ってきました。
撤去されていた自転車を引き取りに行くためです。
といっても、私が駐車違反をしていたわけではありません。
もう半年ほども前に自転車にカギをかけ忘れて盗まれてたんですが、その自転車が放置自転車として撤去され、その連絡が私のところにきたのです。
盗難届を出していれば警察が返してくれたんでしょうが……
あいにく、どうせもう戻ってこないだろうとあきらめて盗難届を出していませんでした。
そのため、撤去費用1560円を私が払わなければならない羽目に。
なんで自転車を盗まれた上にこっちが撤去費用を払わねばならんのだ、と。
怒り心頭、はらわたが煮えくり返る気持ちで久留米に向かいました。
保管場所にいってみると、私の自転車は犯人のやつめによってカスタマイズされていました。
自転車のサドルがありえないぐらい高い位置にあげられており、ビニル傘まで差し込まれ、すっかり「私の自転車ですけどなにか?」という顔をしているのです。そうして盗んだ自転車を乗り回してるんですから、憎らしいじゃありませんか。
しかも、被害はそれだけではおさまりません。
犯人は、しっかり自転車に鍵をかけていました。
いっぽう私は鍵がないために、錠を切断しなければいけなかったのです。
こういう事態はよくあるのか、そのために「錠切断依頼書」というものがあって、名前や住所を記入して切ってもらいます。
これに費用はかかりませんが、新しく鍵をつけるのはもちろん自腹。
さらには、後輪がパンクしており、その修理費用までこちらが負担することに。
総額4,630円……
これだけあれば、俺の本が6冊も買えるじゃねえか。
盗んだ奴は、とりあえず『ホテル・カリフォルニアの殺人』を6冊買え。
それでチャラにしてやるから。
そう思いました。
自転車を盗まれていた間の不自由や、引き取った自転車をこいで自宅まで帰る労力も考えれば、とてもそれでは引き合わないんですがね……
そういえば、今は亡き忌野清志郎も自転車を盗まれたことがあったなあ……そんなことも思い出しました。
自転車にはまっていた清志郎はかなり高級な自転車を持ってましたが、それを盗まれ、そのことを歌に歌ったりもしています。
せっかくなんで、忌野清志郎の話をもう少し。
清志郎の自転車愛は、彼に「サイクリング・ブルース」という歌を作らせ、また同じタイトルの本も出ています。
自転車はブルースだ
と、本の中で清志郎はいいます。
クルマや観光バスではわからない。走る道すべてにブルースが
あふれている。楽しくて、つらくて、かっこいい。
憂うつで陽気で踊り出したくなるような
リズム。子供にはわからない本物の音楽。
ブルースにはすべての可能性がふくまれている。
自転車はブルースだ。底ぬけに明るく目的地
まで運んでくれるぜ。
あふれている。楽しくて、つらくて、かっこいい。
憂うつで陽気で踊り出したくなるような
リズム。子供にはわからない本物の音楽。
ブルースにはすべての可能性がふくまれている。
自転車はブルースだ。底ぬけに明るく目的地
まで運んでくれるぜ。
(忌野清志郎『サイクリング・ブルース』より)
結局、盗まれた清志郎の自転車は、清志郎のもとに戻ってきました。
盗まれた自転車は、意外と戻ってくるものみたいです。
思い返せば、私は中学生か高校生ぐらいの頃にも自転車を盗まれたことがありますが、その自転車も戻ってきました。そして、今回も戻ってきました。
しかし、そこからが一苦労です。
自転車を盗んで使っていた人は、私の行動範囲からだいぶ離れたところで放置していたようです。そのため、自宅からかなり離れた久留米で保管されており、そこから一時間ほどもかけて自転車をこいで帰らなければならなかったのです。
その自転車で帰る途上、私は歌のほうの「サイクリング・ブルース」を思い起こしていました。
愛してるよ 愛が必要だ
ベッドの中に溢れてるはずだ
今夜も愛が溢れているはずだ
ベッドの中に溢れてるはずだ
今夜も愛が溢れているはずだ
と、清志郎は歌っています。
うっかり鍵をかけ忘れるともう自転車を盗まれるこんな世の中……
本当に愛が必要だなあ、と思いました。