ロック探偵のMY GENERATION

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イーグルス「ホール・イン・ザ・ワールド」 ~16年目の9.11~

2017-09-11 17:09:30 | 音楽批評
 

これまで、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』に登場するイーグルスの曲について書いてきました。

今回は、その番外編として、「ホール・イン・ザ・ワールド」という曲について書きたいと思います。

実は、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』にも、当初は「ホール・イン・ザ・ワールド」という一章があり、この曲について語る箇所がありました。
結局のところ、その部分はカットすることになったのですが、一応『ホテル・カリフォルニアの殺人』ゆかりの歌ということで、紹介します。


今日この日にこれを書くということには、意味があります。

というのも、この曲は、16 年前の9月11日に起きた事件――すなわち、2001年のアメリカ同時多発テロに触発されたものだからです。


タイトルの Hole in the World とは、直訳すると「世界の穴」。

イーグルスの面々は、あの同時多発テロが起きたとき、ニューアルバム制作のためにLAにいて、その日スタジオに入ることになっていました。

ドン・ヘンリーが朝目を覚ますと、一本の電話がかかってきます。

それはアシスタントからの電話で、「テレビをつけてください」というのです。
テレビをつけると、黒煙をあげるワールドトレードセンタービルが映っていました。

この騒ぎで、その日に予定されていたセッションはすべて中止。

することのなくなったドン・ヘンリーは、一人ピアノの前に座っていました。

そうすると、メロディとともに、言葉が浮かんできました。

今夜、世界に穴が開いてるんだ――と。

こうして、「ホール・イン・ザ・ワールド」という歌が生まれました。

サビの部分では、


  今夜、世界に穴が開いてる
  おそれと悲しみの雲がある

と歌われ、最後に


  明日は、世界に穴なんかないようにしよう

としめくくられます。

全体的に明るい曲調ですが、しかしこのフレーズは切なく響きます。

悲しいことに、16年が経ったいまも世界には穴が開きっぱなしです。

むしろ、どんどんひどくなってきているような気さえします。


  互いを愛することを学ばないかぎり
  約束の地にたどりつくことはない


という歌詞もありますが、まだ約束の地は果てしなく遠いということでしょうか。
この歌を聴いていると、そんなことを感じずにはいられません。



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