ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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『ボヘミアン・ラプソディ』

2018-12-18 23:07:50 | 映画
映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観てきました。

いま話題になっている映画ですね。
以前もちょっと書きましたが、これは観なきゃならんだろうということで、ひさびさに劇場で映画を観ました。

クイーンの結成から、伝説のライブエイドまでを描いた作品です。
トップに上り詰めながらもメンバー間の軋轢で一度は崩壊状態に陥ったバンドが、ライブエイドで復活を遂げる物語……そこに、クイーンの名曲の数々がちりばめられ、ストーリーを彩ります。
キャストも、よくこれだけそっくりさんを集めてきたなあ、と感心させられます。
映画のエンディングには、先日このブログで紹介した The Show Must Go On が使われてました。
やはり、クイーンを描いた映画の最後を飾るにふさわしいのはこの曲ということでしょう。エンドロールで、アゲアゲなDon't Stop Me Nowが終わった後に The Show Must Go On が流れる演出は、感慨深いものがあります。


ただ、デビュー当初の雌伏時代というか、そういうところがちょっと端折られてるな、という印象はありました。

この映画だと最初からヒットしてたみたいになってますが、実際には、デビュー当初のクイーンはあまり人気が出なかったといわれてますね。
一部の熱狂的なファンはついたものの、一般受けはしなかったといいます。そんな彼らが日本で注目を浴びたところからブレイクしていった……というのが一般的なクイーン史ですが、そのあたりはさらりと流されてるような感じも受けました。クイーンが「手をとりあって」という日本語歌詞が入った歌を歌ってたりするのもその表れだと思うんですが、この曲も映画では使われてません。

そこともつながってきますが、ボヘミアン・ラプソディ発表当初の批評家筋の反応というのも興味深いですね。
いまでこそロック史に残る名曲とされ、ロック史上最高の曲という評価さえありますが、発表当初は批評家から酷評を受けていたという……
これまで何度か書いてきたことですが、クイーンにせよレッド・ツェッペリンにせよ、現役で活動していた当初は評論家からボロクソにけなされたんですよね。
それが一般のリスナーから絶大な支持を集めてもうレジェンドクラスになったために、評論家のほうが沈黙せざるを得なくなったわけです。
そこが、ロックです。
まあ今でも「クイーンはちょっと……」という評論家は少なからずいるようですし、アンチもいっぱいいるみたいですが、そこもふくめて伝説のチャンピオンということでしょう。
ともかくこの映画、観ておいて損はないと思います。

トミーの復活を振り返る

2018-12-15 22:09:59 | 過去記事
過去記事の振り返りです。

拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』刊行にいたるまでの経緯を書いています。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話 ~トミーの復活~
今回は、『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話シリーズです。長々と書いてきましたが、いよいよ、これで最終回になります。以前も書いたとおり、トミーシリーズをいったん封印して......


『カウボーイ・ビバップ』

2018-12-13 16:57:04 | アニメ

今回は、アニメ記事です。



以前『絶対無敵ライジンオー』の記事を書きましたが、そこからサンライズつながりで、『カウボーイ・ビバップ』というアニメについて書こうと思います。



ライジンオーの記事を書く時に、ウィキでサンライズのページをみたんですが……あらためて、サンライズってあれもやってたんだという驚きがありました。で、そのなかにカウボーイ・ビバップがあって、ああ、あれもサンライズだったのかと驚嘆させられたのです。



カウボーイ・ビバップ。



懐かしいですね。

1990年代後半に発表された作品です。クールでスタイリッシュな感覚が斬新でした。菅野よう子さんによるあのテーマ曲が、とにかくかっこいい。

テレビでは、エピソードの中のいくつかを抜粋して放映されたりもしていました。制作の都合でそうなったらしいですが、当時高校生だった自分は、そんな変わった放映スタイルにも「なにか違う」感を覚えていました。

当時エヴァンゲリオンなんかがはやっていたわけですが、日本アニメが大きく変革していた時代なのかな……と思います。



内容は、未来の火星で、“カウボーイ”として賞金首を追い回す賞金稼ぎたちの物語。

カウボーイやら賞金稼ぎというのはなにやら西部劇じみていますが、モチーフとしてあるのはそういうところでしょう。この作品で描かれる宇宙は、開拓時代の西部のような自由の空気が感じられる世界です。魅力的なキャラクターと、しゃれた演出やせりふ回しがそこに映えます。





劇場版『COWBOY BEBOP 天国の扉』です。



この記事を書くにあたって入手し、観てみました。2001年の作品ですが、絵がものすごいクオリティです。劇場版だからということもあるんでしょうが、これはもう鳥肌モノ。やっぱり、絵の部分だけをとっても、90年代後半になにかアニメ界で革命が起きてますね。現在のアニメにまでつながる革命が……カウボーイ・ビバップは、その革命期の重要な作品なんではないかと思いました。









去年の文フリを振り返る

2018-12-10 16:05:00 | 過去記事
過去記事の振り返りです。

昨年の文学フリマ福岡のことを書いています。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話 ~トミーの旅は続く~
今回は、『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話・番外編の続きです。前回“超隠し玉”の打診を受けたところまで書きましたが、その話を進める前に、もうちょっとだけ寄り道して、文......


77年前のこと

2018-12-08 12:57:53 | 日記
今日は12月8日です。
去年は、ジョン・レノンの命日ということで記事を書きましたが……12月8日というのは、真珠湾攻撃によって太平洋戦争が始まった日でもあります。77年前の今日のことです。今年は、そっちについて書きましょう。

日本が太平洋戦争にいたるまでの歴史については、このブログでこれまで何度か書いてきました。

その一連の経緯をみていてつぶさに感じるのは、指導者の無責任体質ですね。
組織の上のほうにいくほど責任をとらない、という……
それは、開戦のまさにそのときまでそうだったと思うんです。
陸軍も、海軍も、アメリカと戦争したって勝てるわけがないということはわかっていました。しかし、どちらも、自分から「やめよう」とは言い出せない。誰か止めてくれないかな……と思いながら、自分は何もせずに、結局ずるずると開戦にひきずられていったといいます。そしてそこを正当化するために、彼らは「序盤で敵に大打撃を与えれば有利な状態で講和に持ち込める可能性がある」というような甘い見通しを語るのです。日米の軋轢を数十年というスケールで眺めてみれば、そんな可能性はほとんどないにもかかわらず。

大きい船ほど、一度一つの方向に進みだすと、止まったり方向転換することが難しい……以前、そういった意味のことを書きました。日本という国は、まさにそれだと。

戦前の日本は、そんなふうにして戦争に突き進んでいったんだと思います。
止めなきゃいけないのに、止められる立場にいる人間たちが、そのために引き受けなければならないリスクやコストを考えて、止めようとしない。そうして、やがて岸壁に衝突してしまう……

問題なのは、そういう体質を、この国はいまでも引きずってるんじゃないかというところです。

一度一つの方向に動き出してしまうと、それを止めることができない。
そういう話は、政治とか経済のあちこちに見受けられます。また、偽造、偽装といった類のこともしょっちゅう出てきます。
こういう無責任体質の背景に戦後の日本の体制があるという人も世の中にはいますが、それは違うと思うんです。
無責任体質は、戦前の日本にこそはびこっていたもので、それこそが日本を無謀な戦争に追いやったものなんじゃないでしょうか。その根は深く、ひょっとすると江戸時代ぐらいにまでさかのぼるんじゃないかと私は思ってます。
この体質をなんとかしないと、この国はまたいずれとんでもない破滅の淵に落ちてしまうのではないか……そんなことを心配せずにはいられません。