ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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ジブリの大博覧会を振り返る

2021-07-20 21:23:56 | 過去記事

ジブリの大博覧会に行ってきました
福岡市博物館で行われている「ジブリの大博覧会」にいってきました。全国を巡回している展示会で、福岡では3月からやっています。博物館に入ると、いかにもジブリっぽい感じ......


過去記事です。

先日「高畑勲展」のことを書きましたが、二年ほど前に同じ会場で「ジブリの大博覧会」というものもありました。

記事中、ジブリのブレイクスルー的大作ということで『もののけ姫』に触れていますが、高畑勲監督の『ホルス』はひょっとしたらその先取りなのではないかとも思えます。
アイヌ民族をとりあげた叙事詩……そのホルスは、少なくとも興行的には失敗に終わり、おそらく高畑監督が東映動画を去る一因になっているわけです。
これも、あるいは時代に先駆けたものの悲運というやつかもしれません。
近年のウポポイというところで、ようやく時代がその先見性に追いついてきたということじゃないでしょうか。



高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの

2021-07-18 23:51:07 | 日記


福岡市美術館で行われている高畑勲展にいってきました。

今日が最終日……なんとか滑り込んだ感じです。



高畑勲さんといえば、スタジオジブリで『火垂るの墓』、『おもひでぽろぽろ』などを手がけた監督。その業績を紹介する展示です。

宮崎駿さんと比べると、高畑さんは実験的なところがたぶんにみられる印象ですが、それは今回の展示でも如実に感じられました。
意外なところでは、『ドラえもん』のアニメ版を企画したのが高畑勲だったとか……そんな話も紹介されていましたが、やはり高畑さんの本質はその実験性にあったと思えます。
それがたとえば、ごく初期の作品である『太陽の王子ホルス』。これなんかは後に宮崎駿さんが集大成的大作として手がけた『もののけ姫』を先取りしているようにも感じられます。

その『ホルス』は、膨大な制作資金と制作時間をかけたにもかかわらず興行的には不振に終わり……こういったところも、「実験的なクリエイター」あるあるでしょう。
これは、東宝特撮における坂野義光さんに通じるところがあるかもしれません。
ただ『ゴジラ対ヘドラ』というカルト的作品で干されてしまった坂野さんの場合とちがって、高畑さんはその後もアニメ監督として活動をつづけました。
宮崎駿さんらとともに東映動画を去り、新たにAプロダクションへ。
しかし、そこでやろうとしていた『長靴下のピッピ』は原作者の許諾を得られず企画が頓挫。その後も、ブラッドベリが脚本を手がけた日米合作アニメ映画に携わりながら結局その作品を自らの手で完成させることはかなわず……と、煮え湯を飲まされることも多かったようです。

ただし、その日米合作アニメ(原作は『リトル・ニモ』という漫画。後に『NEMO/ニモ』として映画化)において高畑・宮崎コンビが出したアイディアの中には“王女ナウシカ”や“天空の城”などがあり、それらが後の宮崎駿作品につながっている側面があるようです。また、ブラッドベリが書いた脚本には、主人公が二人の別人格として登場してくるという構成があり、これが『火垂るの墓』や『おもひでぽろぽろ』に応用されているともいいます。

これこそが“実験性”ということの神髄です。

それ自体は表に出てこないけれど、後に出てくるブレイクスルーの揺籃として働くという……それが、高畑勲というアニメ監督の業績だったんじゃないでしょうか。



カーペンターズの名曲を振り返る

2021-07-16 21:33:22 | 過去記事

カーペンターズ「遥かなる影」 Carpenters, (They Long to Be)Close to You

今回は、音楽評論記事です。今日紹介するのは……カーペンターズの「遥かなる影」です。日頃あつかっている曲からすると、ちょっと意外に思えるかもしれません。しかしこの曲は、私が......


過去記事です。
カーペンターズについて書いています。

今回も動画を。

The Carpenters - (They Long To Be) Close To You • TopPop



ついでに、カーペンターズの曲をいくつか。 
まずは、「スーパースター」。
ビーチボーイズもやっていた、ロイヤル・フィルハーモニックのオーケストラを付け足すという趣向です。

Carpenters, The Royal Philharmonic Orchestra - Superstar


元記事でも言及した「雨の日と月曜日は」。
ここではカレンはドラムを叩いています。

 Carpenters - Rainy Days And Mondays  


ビートルズのカバー「涙の乗車券」。
女性視点の歌詞になっています。

The Carpenters - Ticket To Ride (Lyric Video)


最後に、「トップ・オブ・ザ・ワールド」。

The Carpenters - Top Of The World • TopPop

小椋佳「眦」

2021-07-14 21:26:14 | 音楽批評



今回は、音楽記事です。

このカテゴリーの‟寺山修司ゆかりのアーティスト”シリーズをもう少し継続して、今回取り上げるのは小椋佳さんです。



小椋佳さんといえば、フォーク/ニューミュージックを代表するシンガーの一人。
東大卒でもともとは銀行員をやっていたという異色のミュージシャンとしても知られていますが……そんな彼が寺山修司とつながるのは、デビュー前の活動において。


意外に知られていないことだと思いますが、小椋佳という人がはじめて本格的にレコーディングをしたのは、寺山修司が天井桟敷でやっていた『初恋地獄篇』という劇のサントラなのです。寺山のラジオ番組に出演したのがきっかけとか……このことが、デビューのきっかけにもなっているようです。もっとも、その活動については黒歴史扱いになっているのか、あまり有名ではありませんが。

デビューして以降の活動については、多くを語る必要もないでしょう。
布施明「シクラメンのかほり」や、美空ひばり「愛燦燦」など、他のアーティストへの楽曲提供でも活躍しました。

ここで、動画を一つ。
「眦」(まなじり)という曲です。
比較的最近の作のようですが、いわゆるニューミュージックの雰囲気を色濃く漂わせているように感じられます。

Manajiri


さて、そんな小椋佳さんも今年でデビュー50周年。

2014年には、「生前葬」と銘打ったイベントを敢行しましたが、現在、「余生、もういいかい」というファイナルツアーを予定しています。

このセンス……あるいは、寺山修司に通ずるものがあるかもしれません。

「余生、もういいかい」は、コロナ禍で延期ということになっているようですが、これはもしかしたら、まあだだよ、ということでしょうか。もう少し、地上で歌ってこいと……
先日の記事にもありましたが、ローリングストーンズは50周年を過ぎてもまだやっているわけです。小椋佳さんも、まだまだいけるでしょう。





ローリング・ストーンズ記念日

2021-07-12 21:18:12 | 日記


今日7月12日は、ローリング・ストーンズ記念日なんだそうです。
1962年、ストーンズがロンドンのクラブに初めてお目見えした日なんだとか……

というわけで、今回はローリング・ストーンズ特集。
今年はストーンズに関する記事を二回ぐらい書きましたが、ストーンズのいい感じの動画を紹介しようと思ったらもういくらでもあるわけなので、ガンガンに飛ばしていこうと思います。


まずは、開幕にふさわしいStart Me Up。

The Rolling Stones - Start Me Up - Official Promo


そして、Anybody Seen My Baby。

The Rolling Stones - Anybody Seen My Baby - OFFICIAL PROMO



「ダイスをころがせ」。
これも代表曲の一つでしょう。

The Rolling Stones - Tumbling Dice (Live) - OFFICIAL


ここからは、大物アーティストたちとのコラボ動画。

まずは、ジミー・ペイジ先生との共演。

The Rolling Stones — Scarlet feat. Jimmy Page [The Killers & Jacques Lu Cont]


パール・ジャムのエディ・ヴェダーとともに、Wild Horses。
エディ・ヴェダーはストーンズなんか嫌いだろうと思ってましたが、そうでもないんでしょうか。

The Rolling Stones & Eddie Vedder - Wild Horses - Live OFFICIAL


ブルースジャイアント、マディ・ウォーターズとの共演。
このコラボは、以前も一度紹介しました。そこではブルースの名曲として知られる Baby Please Don't Go でしたが、ここではマディ・ウォーターズの代表曲であるフーチー・クーチー・マンをやっています。

Muddy Waters & The Rolling Stones - Hoochie Coochie Man (Live At Checkerboard Lounge)


ジョン・リー・フッカー、エリック・クラプトンとの共演。
これもすごい。

John Lee Hooker, Eric Clapton and The Rolling Stones: "Boogie Chillen'" Live, 1989  


最後は、ぐっと現代によってテイラー・スウィフトとの共演。

The Rolling Stones & Taylor Swift - As Tears Go By - Live in Chicago



もはやバンドが還暦を迎えようとしているローリング・ストーンズ。
紆余曲折、毀誉褒貶ありつつも、多くのアーティストにインスピレーションを与え、ロックそのものをけん引してきたことは否定できないでしょう。
実際、老境に入ったミュージシャンが今後の活動について語る際「ストーンズだってまだ現役でやってるんだから」というような言い方をするのを時おり耳にします。ストーンズが、彼らを鼓舞しているのです。
それがもっともわかりやすく表現されている日本のバンド、カーリングシトーンズをご紹介しましょう。

カーリングシトーンズ Music Video「オイ!」

奥田民生(ユニコーン)、Yo-King(真心ブラザーズ)、寺岡呼人(ジュンスカイウォーカーズ)、トータス松本(ウルフルズ)、浜崎貴司(FLYING KIDS)、斉藤和義……バンドブーム期からJ-POP形成期にかけてのビッグネームが集まったスーパーグループです。

タイトルの「オイ」は、「老い」がかけられています。
老いても、ロックーーそういうことなのです。
それはまさにローリングストーンズが示した道であり、ゆえにバンド名がカーリングシトーンズなのでしょう。
ロックにおける老いの道。
その最先端に立つ、ローリング・ストーンズ。
この巨石が果たしてどこまで転がり続けるのか……しかと見届けたいと思います。