ロック探偵のMY GENERATION

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尾藤イサオ「あしたのジョー」

2021-07-02 16:22:20 | 音楽批評


今回は音楽記事です。

このカテゴリーの寺山修司シリーズの流れを受けて……さらに、前回のビートルズ記念日ともからめて、今回は尾藤イサオさんです。


55年前のビートルズの来日武道館公演――そこでは幾組かの日本人アーティストが前座をつとめました。ドリフターズや内田裕也が有名ですが、尾藤イサオさんもそのなかの一人で、前座をつとめたあとに内田裕也さんとともにアリーナで本公演を鑑賞したといいます。


尾藤さんは、このブログで何度か触れてきた日劇ウェスタンカーニバルの常連であり、アニマルズの「悲しき願い」(Don't Let Me Be Misunderstood)をカバーするなど、ロックな人です。
デビュー曲はブレヒトの『三文オペラ』に出てくるメッキー・メッサーのカバー「匕首マッキー」。この曲は、Mack the Nife という英語版でスティングやブライアン・セッツァーなどもカバーしています。いいところをついてきているわけです。



その尾藤イサオさんが、アニメ『あしたのジョー』の主題歌を歌っています。

これがなぜ寺山修司ゆかりなのかというと……その詞を書いているのが寺山修司なのです。

寺山修司が力石徹の葬式をやったというのは有名な話ですが、アニメ主題歌の作詞もしていました。
そして、その力石徹の葬儀でも、尾藤イサオさんが「あしたのジョー」を歌ったそうです。

その主題歌を聴けるアニメの第一話が、TMSアニメの公式YouTubeチャンネルで公開されています。

【公式】あしたのジョー 第1話「あれが野獣の眼だ!」"Tomorrow’s Joe 1" EP01(1970)

寺山修司という人は、『あしたのジョー』のほかにも、アニメ主題歌の作詞をいくつかやっているようです。
根がカウンターカルチャーの側だということだと思われますが……そのなかにあっても『あしたのジョー』は特別な作品だったのではないかと思われます。だからこそ、力石徹の葬儀という、いかにも寺山流なイベントをやったわけでしょう。

なにしろ、日本漫画史上、アニメ史上に残る屈指の名作……ということなので、次回にでも、この『あしたのジョー』という作品について書こうと思います。