紫草(日本ムラサキ)の記

日本ムラサキの紫根は輸入品に頼っています。薬用また、染料として国産紫根の生産普及、流通を期待しています。

試練の紫根掘り

2018-11-19 19:23:19 | 紫根染め
「渇水時期を乗り越えた紫草の生命線を知る」
紫根の収穫に明け暮れる日々である。
耕作放棄の畑を借用して、ムラサキ栽培地を広げたが紫根の収穫に手こずっている。
土手を越した地続きの畑なので土の構成は、ほぼ同じかと見ていた。
夏場の水不足で枯れる苗が出たが、給水は焼け石に水で諦めた。
葉が黄色くなる茎が数本出たが、そのまま生育を見守った。
枯れる苗が出るくらいなので、生育不良は仕方がない。
8月後半から雨の日が多くなり、急生育を始めた。
9〜10月も雨の度に大きくなり、株元は2cmを超える。
その株の紫根の収穫は、2週目に入った。


畝の紫根掘りである。
雨が暫くないので粘土質の土は固く鍬は使えない。
ツルハシとスコップ、バールの3点セットがお決まりとなった。


地表面から50cm下、紫根の最先端部である。
赤い根が更に深く伸びている。ツルハシでないと追えない。


その前にツルハシでこの石を掘り出している。
紫根の先が、握りこぶし2個分程の石を抱えていて取り出せなかった。
45cmの深さに石がゴロゴロとある。
春先、鍬で土を切り返しては寄せて高い畝を作ったのだが・・。
まるで石の上に苗を植えた様になっている。


石は堆積岩の砂岩である。
渇水時期に根の先端は、この石に辿り着いた思われる。
この石の割れ目、窪みに残る水分を得て渇水を凌いだのではなかろうか。

この極細根を剥がし取り集める。綺麗な赤い根となる。
ホーで山となった土を寄せて行くと割れた根や細根が出て更に集まる。


後ろを振り返ると紫根を掘り出したと言うより
石を掘り出したと言う方が当たっている。何と云う畑であろう。気付かなかった。
それにしても、乾燥にも強いと言われる紫草の生命線を改めて知った。

  「むらさきの ねのさきのさき たれがしる」
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2018紫根収穫(続)

2018-11-13 19:23:02 | 紫根染め
「紫根の収穫は日々気温が下がっていく中で着実に進行中」
午前中2時間半、午後2時間、毎日続く。
手順は同じだが、要領よく作業が進む様になってきた。
午後は日が短くなり、時に吹く風は冷たく汗も出ない作業となる。
第2ブロックの紫根収穫である。祈るより他ない。


水不足で生育障害の苗も出たが、全体的には揃って生育した。

今回はブロック内の土を置く場所があるので作業効率は良かった。
紫根は直伸性があることが明瞭となる。
苗の定植間隔は狭かったが何とか揃って生育した。


前日の収穫。良い紫根と不良紫根、半々である。

翌日の収穫。ブロックの北側で良品が多かった。

クズ根で土の塊に残ってしまった細根である。
土を崩しながら、こうした根も集める。
染料の抽出液を作る際には随分と役立つ。
嵩はあるが、秤の針が振れる程の量はない。
しかし、かなりの色が出る事は経験済みなので捨て置けない。


収穫の済んだNo2ブロックの整地も終了。
3ヶ日間を要したが満足の紫根を得て、納得の整地でもある。
30cm下の土は固く乾いていて渇水時期の様子が残る。
耕した土であるが自重でこれほど固くなるとは思いも寄らなかった。
ツルハシを使わないと先へ進めない地下の状況である。
来年への教訓を得て、方策を講じなくてはなるまい。
まだ3ブロックが残っている。雪が降る前には終えたいものだ。

  「かんじざい つちにいのりて しこんほり」
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日本むらさき、不覚の挿し芽検証(続編)

2018-06-16 19:13:33 | 紫根染め
「無意味な検証、新たな疑問」
1ヶ月前の投稿の続編である。
この1ヶ月間で苗の生育は格段の物となり、安心して根を拡げる。

偶然の成り行きから、挿し芽の検証する事になった。
特段、挿し芽などの必要はない。従って無意味な.…となる。
しかし、結果は日本ムラサキの驚くべき強さを見る事となった。


3月24日に急伸した茎を皆カットしてから70日余り経過する。
当然根が出ているとばかり思っていた。


どうして新たな芽を出して生育し続けているのだろう。
カットした時点の本葉2枚の傷みが少なく、双葉の役をしている様に見える。


表も裏も根は見当たらない。
他の例と比べて不思議でならない。


5月に少し様子を見て、絹糸の様な細い根に検証を思い留まった苗である。

細くて長い根であった。間違いなく挿し芽からの生育である。

これはポットの隅に深々とカット部分が入っていた。

発芽した苗と同様な根の生育状況である。
ひとつの発芽苗からふたつの苗の生育得た事になる。


ちなみに親苗の根と比較して見た。
二つ得たとはいえ、この違いである。それでも、これから6カ月後には大した違いはないかも知れない。



下段右側の根の無いカット苗は再びポットに挿した。
温度、湿度管理が一定でも無かった、水分補給を忘れていた事もあった。
生長点を持つ由縁であろうか。

<「まいったと🍃いわせてみせる🌱ほんばかな」

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師走の紫根染め、2017

2017-12-06 16:48:49 | 紫根染め
「台所で紫根染め」
11月末に収穫した紫根で試し染めをする。
自宅の台所で簡単に紫根染めができる事も藍染と違って好都合である。 
今回の染色結果である。大満足の試し染めであった。


絹のポケットチーフとコースターである。


今回使用の紫根で、乾燥はせず冷蔵庫で保管していた。
まだ瑞々しい紫根で、細根が多く染液を作るのには好都合な部位でもある。約300gを水1Lで湯煎する。
温度は50°Cをやや越えるくらいでゴム手袋をしてやや熱い程度で、冷えてくると時々ガスを点火して温度を上げるくらいで良い。
濾過袋を揉んで紫根を擦り合わせて染液を出す。使用したゴム手袋が真っ赤に染まってしまう。


布を染め液に入れて、絶えず布や染め液を動かす。
約30分間であるが、その終わりのあと10分が効く。


染め布をまとめて絞り染め液を切って、1回目の中干しをする。
布が乾いてから、再度染め液に入れて30分間染め液を布に染み込ませる。


2回目の中干し

3回目の中干し

媒染前の色の濃さを検討する。
コースターの色の入り方がもう1回必要と思われる。


取り敢えず1度媒染をして見る事にする。

水400ccに媒染液40ccのアルミ媒染である。

室温で頃合いを見て、媒染液から出して水洗いをして乾燥させる。

この後、コースターは4回目の染色をしてる。

ポケットチーフとコースターの色の違いは、もう1度の染色で赤味の紫を得た。

      「よきいろと ほれぼれすれば としわすれ」
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