紫草(日本ムラサキ)の記

日本ムラサキの紫根は輸入品に頼っています。薬用また、染料として国産紫根の生産普及、流通を期待しています。

ムラサキ特集5

2014-03-07 17:34:31 | 植物
露地栽培と言っても,庭先の一隅もあれば数列の畝を作って育てる畑の栽培もある。露地栽培についての記述も掲載されているので参考までに書き写してみた。

「邦産ムラサキ園芸栽培の実際」    伊賀 達紀(著述・野草研究家)

5、露地栽培
この場合は鉢植栽培とは趣を異にし、傾斜地を好むムラサキに対して平地栽培を行わねばならず、東京地方のような

雨量の多い地域では、排水不良のため根部が腐敗し、6月梅雨明けの頃には、1本も余らず全滅する場合がよくあ

る。
このため、花壇の上にビニール屋根を設けて雨水を遮断し、水の供給はもっぱら灌水のみに頼るようにし、乾燥

が甚だしいときのみこれを行う。実際に管理してみると、ムラサキは実に乾燥に強い植物であるとつくづく感じさせ

られる。土が真っ白に乾燥していても、容易に萎れない。


 花壇への植え付けは直播きが比較的よいが、種子の量を考虜に入れて行う必要があることは前に述べた。鉢栽培で

1年を過ごし、2年目に露地に移植するのがもっとも確実である。
この場合の用土は、普通の黒土、赤土などなんで

も生育するが、肥料分の少ない砂がもっともよく、いずれの用土の場合でも、降雨水は避ける必要がある。平地での

栽培では排水不良となり、おそらく全滅すると思われるのである。2年生苗を移植した露地栽培では、その年に茎葉

が実によく伸長し、開花結実し観賞には最高の生育状態となる。


 移植の方法は鉢植えの例にならい、植穴を広くとって、土塊を貫通しているムラサキの細根を切らぬよう、静かに

植込むことである。邦産ムラサキの生育では、個体差が甚だしく、全く同一の条件にて栽培した筈であるが、その結

果には際立った差異が生じてくる。移植の際に根を損じたものは生育が悪く、根が健全なものは生育がよいのは、当

然であるがその影響の大きさには、特に注目させられる。栽培にばらつきが多いのは考えものである。

 数本の少数栽培にはミニ花壇が最適であり、20~30℃ の底なし箱に、赤玉土を満たした程度で十分である。

露地栽培もまったく施肥なしで管理する。施肥は主根の伸長を促し枯死を早める結果となる。また露地栽培では、マ

ルチを行わなくても十分に生育する。

 同一花壇内(東京地方)100本の例では、5月1日第1花(頂花)が開花した。この時点でのムラサキの草丈は

48cm、葉の数37枚、花の径は1.0cmであった。また開花の最盛期は1ヶ月後の6月1日で当日の開花数は455個、

1株当たり平均開花数は 5.83個、7月10日では開花数は11個、1株当たり平均開花数は0.12個であった。この花壇

の開花が終了したことを示している。

また、この花壇に植え付けたムラサキ100本中開花を見たものは85本であり、残15本は開花を見ずに枯死したものが

主である。個々の株のうちもっとも生育の旺盛だったものは、1株で2茎を出次第1花開花までの草丈はそれぞれ

57cmと55cm、葉数34枚と31枚,側枝数16本と10本、開花数385個と120個,得られた分果数689個と264個,つま

り1株より953粒の種子を得たことになる。5月初旬開花のものは,8月20日には第1回の採取ができ,とり播き可能

である。これ以降も適時に蕚の黄変したものより採取してゆけばよいのであるが、完熟後1ヶ月を経過したものも播

種した結果は、発芽率に差異は認められなかった。 
     P55~57より転載


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ムラサキ特集4

2014-03-07 16:58:30 | 植物
ムラサキの栽培を鉢やプランターで計画している方が多いと思われるので鉢植えについての記述が掲載されているので参考にと書き写してみた。

「邦産ムラサキ園芸栽培の実際」    伊賀 達紀(著述・野草研究家)

4. 鉢 植

ムラサキの発芽後、約20日後に幼苗は細根を発生して土粒を抱くようになる。この時期から、最高気温が約25℃の

日が連日続くようになるまでの期間が、移植に適期である。次は梅雨時中で空中湿度がきわめて高い時である
。この

頃の幼苗はかなり大きく成長しているがそれでも移植は成功する。

鉢植えの用土は、土塊中に毛管水をよく含み、土塊間の空隙が十分にあるもの、赤玉土、鹿沼土の中粒がもっともよ

い。中でも赤玉土がもっともよく、鹿沼土はひとたび毛管水を失うとふたたび回復することはなく、灌水した水は鹿

沼土の表面を素通りしてしまって、吸収されない欠点がある。
鉢の大きさは径13~15cmのものが適当で、鉢植え栽

培の場合は1本植えに、2年目の休眠期に露地への移植用とする場合は、2~3本植でもよい。

使用する素焼駄温鉢がよく、硬い新品の方が生育がよく、中古鉢は通気性がよすぎて生育が遅れる。(中略、通気性

調査結果表)

移植は幼苗の抱く土粒を落とさぬように、静かに行い、移植後は十分に灌水してからマルチ(敷草法)を行う。マル

チに用いる材料は別に選ばないが、少量の灌水でも均等に水がゆきわたるようなものを使用するとよく、ここでは水

苔を用いているが、水苔は高価すぎる欠点がある。 

しかし、水に濡らしてムラサキの株元に敷くと非常に落着きがよい。その後の約10日間は日陰地に置き、新芽が発

生してからやや日当りのよい場所に移し乾燥気味に管理する。


きわめて排水状態をよくした場合(大量の灌水を行っても、瞬時も水が用土表面に溜まらない程度)は、活着後炎天

下に一日中置いても十分に生育を続けてゆける。ただし毎日十分に灌水しないと、乾燥のために枯死する。

鉢栽培のムラサキは、1年目は開花を見ないのが普通であるが、少量の追肥と半日陰で管理すると、6月下旬頃より

急に茎葉が伸長して、7~8月にかけて開花する。これは開花数が少なく、頭勝ちで倒伏し草姿が悪いが、2年目に

はしっかりしたよい草姿となる。

これらの鉢植えは、1本植えはそのまま2年目を迎え、2本植えのものは露地栽培用として、休眠期に露地に移植さ

れる。鉢栽培において、第3年目まで生育したものは根部の腐敗が進んでいて5、6月頃には枯死する。
野生品を切

り戻しして活着させたものも同様である。鉢植えムラサキは、露地植えと比較して分枝数が少なくて3分枝の場合が

多く、開花数も少なく、花は小計で0.8cm以下のものが多い。分果も少なく1株当たり60個以上の種子を得たこと

はない。
                        P54,55より転載


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