全国各地から紅葉の便りがぞくぞくと届くが、熊本の紅葉の見頃は10月下旬から11月中旬まで。この時期、県内各地の紅葉の名所では”紅葉狩”が賑やかに行われる。
高齢者の交通事故が多発していることから、少し早いとは思ったが75歳で運転免許を返納したため、我が家には車がない。普段マイカーがなくても特段不便は感じないものの、この時季になると廃車した愛車が恋しくなってくる。数年前まではこの時期になるとマイカーで、時間にとらわれず各地の紅葉の名所で”紅葉狩り”をした。思い出すと夢のようだ。
平家落人伝説が残る日本有数の秘境を彩る五家荘の紅葉は見事なものだった。落差70㍍のせんだん轟(とどろ)の滝の周辺を取り巻く広葉樹は、滝の流れと素晴らしいコントラストを描き、得も言われぬ美しさを醸し出していた。
山深い谷川に架かるシャクナゲ橋とあやとり橋の2本の吊り橋から眺めた紅葉の美しかったことを昨日のことのように思い出す。ほかにも上益城郡山都町の蘇陽峽や緑仙峽のもみじ狩りも楽しい思い出となった。
ところで我が家の小さな庭の”かえで”や”さるすべり”が真っ赤に染まった。まさに紅葉の季節。
遠くへ出かけなくても、ささやかな”紅葉狩り”が我が家でできる幸せをじっくりと噛みしめることとした。