俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

農業の敵

2014-05-02 10:10:13 | Weblog
 TPPで日本の農業が滅ぶ、だから断固阻止せねばならない、という主張には疑問を感じる。なぜ滅ぶのだろうか。もし滅ぶならそれは低品質・高価格の劣悪な食品を国民に押し付けていたということではないだろうか。国民を犠牲にしなければ成り立たない産業なら滅んでも構わないだろう。
 実際のところは高品質・高価格か高品質・中価格なのではないだろうか。かつてグレープフルーツやオレンジの輸入が自由化される際に、日本の柑橘類が滅ぶと馬鹿騒ぎしたのは一体誰だったのだろうか。
 衣料品を考えても明らかだ。欧米の高級品、あるいは中国の低価格品が輸入されて日本の衣料産業は滅んだだろうか。ちゃんと住み分けられている。
 自動車や家電ならどうだろうか。関税が無くなったら国産品は駆逐されると考える人は誰一人いないだろう。滅ぶのは大半の麦のように低品質・高価格でありながら国によるバラマキ行政によって生き延びているゾンビのような粗悪品だけだ。
 日本の農業環境は決して悪くない。海に囲まれているので隣国から伝染病が運ばれることは少ないし、それ以上に有利なことは水に恵まれているということだ。年間約2000㎜という降水量は1000mmにも満たない欧米や中国と比べて圧倒的に有利な条件だ。こんな優位性を生かせない筈が無い。よく農家1戸当たりの耕地面積が狭いからアメリカやオーストラリアの大規模農業に太刀打ちできないと言われるが、隔離されていることや降水量の多さは天恵であり、耕作面積の狭さは人災だ。気候に恵まれているのに農林水産省の愚策のせいで農地が統合できないだけだ。恵まれた環境を生かせないのは良い環境に甘えて適切な対策を打たないからだ。恵まれた自然環境と最低の農政こそ日本の実情だ。
 圧倒的多数を占める兼業農家と退職後専業農家に対する補助が手厚過ぎるから農地の集約化が促されない。真の農家である専業農家に対する支援こそ急務だろう。中国でさえ農地の集約化が進んでいるのに、日本では政治が集約化の邪魔をしている。水田を票田と考える政治家と省益追求に走る農水省が農業の進歩の邪魔をしている。

タマネギ

2014-05-02 09:35:34 | Weblog
 タマネギは常食されている食材の中では最も有害性の高い食材だろう。犬や猫は勿論のこと、牛・馬・羊などにとっても有害であり、食べさせてはならない。
 もしタマネギを食品添加物並みの安全基準で摂取許容量を算出すれば、体重50㎏の人で25㎎になるそうだ。25gの誤植ではない。25㎎だ。言うまでもないことだが1㎎とは1/1000gのことだ。それほどタマネギは危険な食材であると共に、食品添加物の安全基準は厳しく定められているということだ。基準値の100倍の食品添加物よりも1欠片のタマネギのほうがずっと危険ということになる。
 これほど危険なタマネギが毒物扱いされないのは、長年食べられているということだけが理由だ。日本で食べられるようになったのは明治になってからだが、古代エジプトでは紀元前から食べられている。
 実はどの食材も意外と危険なものだ。白菜ばかり食べて奇病に罹った人もいれば、小麦や卵などに対するアレルギー体質の人もいる。鮪や鯨には水銀が含まれているし、世界中のどの食品であろうと多かれ少なかれ放射能汚染されている。主食である米でさえカドミウムや砒素などの有毒元素が微量ながら含まれている。かつて水俣に住んでいた人は地元の新鮮な魚を多く食べて水銀中毒に冒された。地産池消などとんでもない話だ。同じ地域の同じ食材に頼れば特定の有害物を蓄えてしまいかねない。食の安全のためには多様な地域の多様な食材をバランス良く摂る必要がある。少なくとも地元のタマネギを毎日食べるようなことは避けるべきだろう。これは食品添加物より遥かに危険だ。
 天然は安全であり合成は危険という偏見は捨てねばならない。フグにせよキノコにせよ天然の毒物だ。天然の危険物は無数にあると言うよりも、総てにリスクがるということが理解されねばならない。ゼロ・リスクはあり得ない。