俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

因果応報

2014-05-16 10:01:44 | Weblog
 ベトナムの反中国デモが暴徒化して、中国だけではなく漢字を使う台湾や日本などの企業を襲って死者まで出る危険な状況だ。しかし日本人にとってこれはデジャビュー(既視感覚)だろう。これまでに何度も中国で繰り返されたことの再現だ。
 社会主義国であるベトナムでは中国と同様、デモは厳しく規制されている。そんなベトナムでなぜこんな暴挙が起こるのか。パフォーマンス・モデルがあるからだ。これまで中国が対日・対仏などで行った官製デモという実例があるからベトナムもそれを真似ただけだ。
 愛国無罪や造反有理の理念がどの程度ベトナムで伝わっているのか私は知らない。しかしベトナム政府も暴徒も、中国生まれのこの理念に従っていると言って良かろう。
 「天に向かって唾を吐くな」は古くから伝わる名言だ。出典は「四十二章経」と言われているが、英語の諺にもなっているから、多分、普遍的な知恵だろう。
 世界第二位の経済大国となった中国はますます傲慢になり「中華主義」も蘇りつつある。俄か成金の中国人には理解し難い理念かも知れないが、ノブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)を自覚できるレベルの文明国になって欲しいと思う。権力者であれ指導者であれ高い地位の者は多くの義務を負う。偉そうにするよりも国際倫理に恥じないように心掛けて貰いたいものだ。それを怠れば他国によって悪事が模倣される。これは因果応報であり自業自得だ。
 中国の報道官はベトナムの犯罪者を「厳罰に処せよ」と言うが、その前に自国の犯罪者およびそれを企図した者を処罰すべきだろう。実際の話、ベトナムの国営放送では中国製の術語である「愛国無罪」という言葉を使っていたようだ。悪貨は良貨を駆逐すると言うが、悪い病気も伝染するものだ。

天然農薬

2014-05-16 09:30:10 | Weblog
 動物に免疫力が備わっているように植物にも病虫害に対抗するシステムが備わっている。そういう防御システムによって植物は自分の身を守る。例えば虫などによって攻撃された場合、毒物を産生する。体内に毒素を拡散することによって食い荒らされることを防ぐ。これが天然農薬と呼ばれている毒物だ。
 人工の農薬を毛嫌いする人は植物のこんなメカニズムを理解していない。虫によって攻撃された植物は毒素を作るが攻撃されなければわざわざこんな物を作る必要は無い。農薬(殺虫剤)によって守られた野菜は天然農薬を作らない。
 要するにこういうことだ。農薬によって守られた野菜は天然農薬を作らず、農薬によって守られていない野菜が虫によって攻撃されれば天然農薬を作る。人工的な農薬が散布された野菜は表面に農薬が付着し、防衛のために天然農薬を産生した野菜は全体に天然農薬を拡散する。表面に付着した農薬なら洗って落とすことができるが、野菜本体に拡散した天然農薬を取り除くことはできない。
 天然農薬の成分は様々であり、人間にとってかなり有害な物から殆んど無害の物まである。植物のこんな特性を知らずに無農薬農業を無闇に有難がるのは危険なことだ。
 特に無農薬が悪いのは芋類だろう。人工的な農薬は食用に使わない葉と茎に付着する。その一方、天然農薬は全体に拡散するので食用に使われる根や地下茎まで汚染される。無農薬野菜が「無農薬」であるのはただ単に人工的な農薬についてであって、実は隅から隅まで天然農薬に汚染された物もある。無農薬野菜は遺伝子組み換え野菜よりも危険なのではないだろうか。