俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

肥満米人

2014-05-30 10:08:57 | Weblog
 アメリカでは富裕層よりも貧困層のほうが肥満率が高いそうだ。以前から不思議に思って私なりに2つの仮説を立てていた。①豊かなアメリカだから貧困層でも結構お金を持っている。②ジャンクフードに頼るから脂まみれになって太る。
 どうもこの仮説は2つとも間違っていたようだ。アメリカの貧困層は日本の貧困層よりも貧しくジャンクフードを食べるような贅沢な暮らしをしている訳ではないからだ。ではなぜ肥満者が多いのか。
 日本の貧しい人がどんな食生活をするかが手掛かりになる。栄養価の低い物しか食べられないからできるだけ多く食べようとする。彼らが外食をする時にどんな店を選ぶだろうか、食べ放題の店だ。勿論、焼き肉食べ放題の店になど行かない。ライス食べ放題、大盛り同額、替え玉無料の店を選ぶ。炭水化物なら安いから食べ放題にしても店の負担は小さい。
 アメリカの食品は日本と比べて遥かに安い。私はハワイとグアムにしか行ったことが無いが、米本土と比べて物価が高いと言われるこれらの地域でさえ日本よりずっと安い。それでも貧困層はその中でも最も安い物を選ぶ。日本と同様、炭水化物だ。彼らは炭水化物をたらふく食べバケツ1杯ほどの清涼飲料水を飲む。清涼飲料水には大量の砂糖が含まれている。結局、彼らが太るのは炭水化物過多が原因だ。最もカロリーが高い脂質ではなく低カロリーの筈の炭水化物の大量摂取が原因で栄養不良の状態で肥満する。アメリカの富裕層は美食で太り、貧困層は粗食で太る。
 私がカロリー論に疑問を持つのはこんな現実を知っているからだ。厚生労働省お勧めのご飯におかずという食事は決してヘルシーではない。米、特に白米は他の栄養素が殆んど無い炭水化物の塊りであり栄養バランスが悪い。軍医でもあった森鴎外は白米偏重の食事を勧めて多くの兵士をかっけにしてしまったが、米に偏った食生活は栄養不良の状態で太る。
 太りにくいと言われる人の多くは肉食系で、ラーメンライスのような炭水化物偏重の人が醜く太っている。カロリーばかりを見るのは危険な一元論だ。

専業主婦

2014-05-30 09:38:09 | Weblog
 日本の近現代史が歪められているように思える。配偶者控除などの議論で、専業主婦がまるで戦後の高度経済成長期に生まれた新制度であったかのように言われると違和感を覚える。これは全く嘘だろう。
 元々、日本では専業主婦が当たり前だった。江戸時代以前は勿論のこと戦前・戦後まで専業主婦以外に女性の選択肢は殆んど無かった。当時の女性の職業は主に次の4種類だろう。旅館の仲居や飲食店の女給および小売店の販売員などのサービス業か、実質的に腰掛けに過ぎない企業での「お茶くみ」か、今では家政婦とか「お手伝いさん」と呼ばれている女中、そして過酷な境遇として語り継がれている「女工」だ。私が子供の頃、女児に将来の希望を尋ねれば殆んどが「お嫁さん」か「お母さん」と答えたものだ。たまに教師などを挙げる人もいたがそれらも多くは腰掛けで最終的には専業主婦を目指していた。
 流行語の歴史を見てもそれは明白だ。大正から昭和初期にかけて、働く女性はモガ(モダンガール)と呼ばれた。BG(ビジネスガール)が流行語になったのは昭和32年頃だ。OL(オフィスレディ)がBGに取って代わったのは昭和42年頃だ。キャリアウーマンに至っては昭和50年頃だ。男性と同等に働くことが珍しかったからこそ流行語になった。
 こんな歴史を無視した議論は総て空論に終わる。少子化を防ぐ最善策は専業主婦の優遇だろう。働きながらの子育てなど無理だ。できっこない。家電の普及や外食・中食の充実などによって家事は著しく軽減された。「三食・昼寝付き」という言葉も生まれた。しかし姑との別居が大半なので育児の負担は以前よりも大きいということを見逃すべきではない。
 若い女性が働くことよりも育児を選ぶようになれば現代日本が抱える問題の大半が解決される。まず出生率が高まる。次に失業率が下がる。更には、労働人口が減るので賃金が上がる。ついでに、児童の学力も向上するだろう。
 私は有能な女性が働くことを否定する気は無い。外で働きたい人は働けば良い。それは本人の自由だ。しかし専業主婦の否定は家事、特に育児に対する軽視であり、それは職業選択の自由および生き方の自由に対する侵害だ。