俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

火山

2014-11-02 10:22:42 | Weblog
 無知を晒すような話だが、日本の火山の分布図を見て驚いた。近畿・中国・四国には火山が殆んど無いことに初めて気付いた。山口県の阿武火山群と鳥取県の三瓶山だけが中国地方にあり、近畿と四国には火山が無い。日本に110ある筈の火山の分布は驚くほど偏っていた。こんなことに驚くのは、日本を火山列島だと思い込んでいたからだ。
 日本の古代史を考える上でこれは重大な要因だ。大陸および半島に最も近い北九州ではなく近畿が中心になったのは火山を恐れたからではないだろうか。
 死者・行方不明者43人の雲仙普賢岳の噴火以降、北海道の有珠山(2000年)、宮崎県の霧島山新燃岳(2011年)、そして今年の御嶽山などの噴火があり、死者が出る規模の噴火は大体5年に1度ぐらいの割合で発生している。現代科学を以てしても噴火予測は困難なのだから、古代人にとっては神の祟りと思えただろう。神武東遷神話の元になった史実は噴火と地震を恐れての移住だったのではないだろうか。噴火を恐れたからこそ三輪山などの噴火しない山が神域とされたのであり、祭ることによって噴火させまいとしたのかも知れない。
 文明は東西に広がり易い。それは農業がそのまま通用するからだ。経度が変われば時差は生じるが日照時間は変わらない。しかし緯度が変われば日照時間も気温も変わるからそれまでの農業を改める必要に迫られる。だから文明は東西に広がり易く南北には広がりにくい。ユーラシア大陸が文明の中心になったのは東西に広いことが最大の原因だろう。
 文化交流のための最適地の九州には火山と地震が多い。もしかしたらポンペイのように噴火で滅んだ集落もあったかも知れない。人は誰でも少しでも安全な場所に住みたがる。噴火と地震が少なく、台風の直撃を受けることも殆んど無い近畿が日本の中心になったのは地勢的理由が小さくなかろう。今でこそ東京を中心とした関東が日本の中心になっているが、富士山の噴火を想定すれば東日本は決して安全な土地ではない。火山は突然牙を剥く。将来、富士山を起点とする大災害が起こることはほぼ確実だろう。

万年係長

2014-11-02 09:43:27 | Weblog
 どこの企業にも万年係長はいる。万年平社員はもっと沢山いる。万年係長はその程度の仕事しかしていなかったからであり、それを性や学歴で差別されたと考える人はそのことだけでも降格にさえ値する。
 私の元勤務先には高卒の社長も副社長もいた。私の目には二人共、駄目な経営者と映っていたが、それは私の主観に過ぎず、多分立派な経営者だったのだろう。
 厚生労働省の女性係長が、自分が18年間、係長から昇進できなかったのは女性差別だと訴えた。私には阿呆としか思えない。係長の仕事を18年も勤めれば課長に上がる資格があるとでも思っているのだろうか。係長の職責さえ全うできていなければ上がれる筈が無い。それを、女性だから差別されたと考えて告訴するのは被害妄想であり、精神鑑定を受ける必要があるだろう。
 かく言う私は万年課長だった。課長を16年務めて17年目にようやく部長になった。同期のトップで多くの先輩を追い越して課長になったのだが、その後は追い抜かれっ放しだった。それなりに要職を勤めたしその間の業績も決して悪くなかったのだから、多分、私自身に問題があったのだろう。これを差別されたと因縁を付けようとは思わない。評価基準は様々であり評価される側には評価を見直させる権限は無い。これは日本シリーズの幕切れになった西岡選手に対する守備妨害の判定のようなものであり、審判がアウトと判定すればアウトだ。不満を持つのは勝手だが覆すためには確固たる根拠が必要だ。
 同期入社の中に一人だけ明らかにデキの悪い男がいた。一応、立命館を卒業しているのだから根っからの阿呆ではあるまいが極端にトロく、新入社員研修の時点で同期の一部から馬鹿にされていた。あくまで噂だが、当時の人事部長のコネで入社したらしい。どこに配属されても役立たずの烙印を押され続けていたが、どういう訳か監督者登用試験を受けた。当然、不合格になったが彼は「試験ではトップだったのに落とされた」と何の根拠も無く怒っていた。
 人事は必ずしも公正ではない。運・不運もある。長年係長を勤めれば課長に上がる権利があると信じるのはガチガチの年功序列主義者だけだ。民間企業であれば降格もあるご時世に、余りにも世間知らずだ。年功序列制度の弊害は民間企業よりもむしろ官公庁で顕著であり、働かないオジさん・オバさんが年功序列制度に巣くって税金が無駄遣いされている。追い出し部屋は民間企業ではなくお役所にこそあるべきだろう。