俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

施し

2014-11-25 10:22:21 | Weblog
 水不足で困っている人にペットボトルの水を与えても一時凌ぎにしかならない。救援物資はいずれ底を突く。その場凌ぎではなく抜本的対策が必要だ。緊急時には支援が必要だが、抜本的対策となるのは浄水化や井戸掘りなどの技術提供だろう。
 患者が死にそうな時にはカンフル剤が使われるがこれも一時凌ぎであって延々と使い続ける訳には行かない。
 道端に乞食がいれば施し物をすべきだろうか。施す人がいるから彼らは乞食をやめようとしない。昔から「乞食も三日すれば忘れられぬ」と言うように彼らを助長することになる。
 野生のイノシシに餌をやる人がいる。そのせいでイノシシは人を怖がらなくなり市街地にも現れる。獣界と人界の境界を破壊したのは餌をやる軽率な人だ。
 生活保護は最後のセーフティネットだろう。働けない人を助けるのが目的であり、働かない人を助長すべきではない。働かない人を助ければ働かないことが奨励される。人は安楽を好む。一旦楽な暮らしを覚えてしまえばわざわざ煩わしい生活などしようとは思わない。不労所得の味を覚えれば額に汗して働くことなど馬鹿馬鹿しくなる。
 生活保護の意味を根本から見直すべきだろう。現在の生活保護は救援物資でありカンフル剤だ。施しは有害だ。歩くことをやめた老人が歩けなくなるように、働かない人を働けなくしているのが現行制度だ。無条件に支給するのではなく何らかの報酬にすべきではないだろうか。極論すれば穴を掘ってそれを埋めるだけでも構わない。何かに対する報酬にしなければ働かないということが肯定されてしまう。
 高齢や病気などで働けない人と、働けるのに働かない人は全く別に扱うべきだ。働かない人の一部は暇を持て余らせてパチンコ店などに入り浸る。極端な話かも知れないが、就労斡旋を兼ねた不労者収容所を作ってはどうだろうか。提供するのは住居と食事と健全な娯楽と職業訓練だ。訓練の中に農業などの生産活動を含めても構わない。これなら生活保護費がパチンコなどに使われることが無くなり、却って国民の負担が軽減されるのではないだろうか。勿論、農作物による収入も見込める。普段の生活態度まで分かるから良い人には良い仕事を斡旋することも可能になるだろう。ネガティブな書き方をしたがこれは実質的に給付金付き職業訓練所であり決して人権を侵害することにはなるまい・

心の初潮

2014-11-25 09:42:59 | Weblog
 大抵の人は酒を飲むと多少陽気になり口数が多くなる程度だが、性格が大きく変わる人がたまにいる。アルコールは脳などに異常反応を起こさせるがその度合いは人によって大きく異なる。抗精神病薬の効き目もアルコールと同程度に個人差があるのではないだろうか。特に若年層においては少量で劇的な反応を起こす人もいるだろう。
 成長期である思春期は心身共にバランスが崩れ易い。体の成長についての知識は蓄積されているので初潮を病気と思う馬鹿な医師などいないが、心の初潮に対してはとんでもない「治療」が行われている。初期の精神病と誤診して抗精神病薬が投与される。子供から大人へと成長するために精神が不安定になり易い若年層の場合、少なからぬ人が異常反応を起こす。こうして若年精神病患者が作られる。これは医原病だ。
 思春期は人間関係や恋愛などで悩むことが多い。これらは乗り越えるべき壁だ。乗り越えなければ社会人として生きられない。壁に挑むべき時期に、軽度の鬱病と診断して抗鬱剤で誤魔化してしまえば社会に適応できなくなってしまう。ヨチヨチ歩きを禁じられた幼児が一生歩けなくなるようなものだ。勿論、医原病を患う恐れもあるから二重に有害だ。
 体は10億年に亘る進化の賜物なので多少の有害物でも克服できる。しかし心の進化は僅か数百万年の歴史しか無い。心は脆弱であり容易に破壊され得る。目に見えない心がどれほど脆いものであるかを精神科医は知らない。「病は気から」と言うように心理状態の異変だけで人は病気になる。その逆にプラシーボ(偽薬)によって症状が改善することも少なくない。人を制御する心はガラス細工のように繊細で壊れ易い。
 対症療法は治療ではない。ただの時間稼ぎだ。不快な症状を緩和している間に自然治癒力が働いて体が勝手に回復する。医学はとんでもない思い違いをしている。医療によって治療できることなど殆んど無い。医療はただの時間稼ぎに過ぎず、患者を治癒へと導くのは自然治癒力だ。体の健康は自然治癒力によって保たれている。
 ところが心には自然治癒力が働かない。人類はまだそこまで進化していない。心に自然治癒力が備わるためには1億年くらい掛けた進化が必要なのではないだろうか。心には自然治癒力が備わっていないのだからそれをアテにした対症療法は無効だ。心の病を克服するためには心の成長が不可欠であり、健やかな成長を妨害する薬物は毒物に過ぎない。抗精神病薬は酒や麻薬以上に若年者の精神を蝕む。