巨大な防潮堤は役に立つのだろうか。東日本大震災の折り、世界最大級の防潮堤が決壊し、防潮堤を過信して避難をしなかった人や防潮堤に遮られて海の異変に気付かなかった人が大勢水死した。千年に一度の巨大津波に備える必要などあるのだろうか。防ぐことより逃げるほうが有効だろう。
馬鹿げた実例がある。1993年に北海道の奥尻島を襲った津波によって住民4,700人中200人以上が亡くなった。国は高さ11mの防潮堤で島を取り囲んだ。しかし防潮堤によって景観も漁場も失った島からは住民の流出が相次いで今の住民数は3,000人にも満たないそうだ。牢獄のような塀の中で暮らすよりは自然や資源に恵まれた暮らしのほうがずっと好ましい。
牢獄や防潮堤に限らず、巨大な塀は内外を分断する。中世西洋の都市国家は城壁国家だったし、世界最大の建造物である万里の長城は元々、漢族の地と蛮族の地の境界だった。境界の外であれば匈奴やモンゴル族などが何をしようと中国歴代王朝は関与しなかった。
今、万里の長城は中国の国内にある。これは歴史的には奇妙なことだ。漢族による支配はこれまで万里の長城の外には及ばなかった。万里の長城が古代以来の中国人が定めた国境だ。万里の長城を越えて南北を支配したのは元や清のように、北方民族が漢族を支配した時だけだった。清朝の時代、清の領土は万里の長城を跨いだが、満洲は満州族(女真族)の領土であり、漢族の勝手な立ち入りは許されなかった。
こう考えれば辛亥革命で清朝が滅んだ時に、ラストエンペラーの愛新覚羅溥儀が満洲国王に収まることが当然とも思えるが、日中ソにモンゴルが絡んだ領土争いは奇々怪々過ぎて正直な話、素人には訳が分からない。日本では余り報じられないが、現在も内モンゴルではウィグルやチベットと同様、独立運動が続いている。
先日、習近平国家主席は「南シナ海(の島)は昔から中国の領土だ」と語ったが、歴史に基づくなら現在の内モンゴル自治区が中国の領土ではなかったことこそ明白だ。万里の長城という「動かぬ証拠」がある。
馬鹿げた実例がある。1993年に北海道の奥尻島を襲った津波によって住民4,700人中200人以上が亡くなった。国は高さ11mの防潮堤で島を取り囲んだ。しかし防潮堤によって景観も漁場も失った島からは住民の流出が相次いで今の住民数は3,000人にも満たないそうだ。牢獄のような塀の中で暮らすよりは自然や資源に恵まれた暮らしのほうがずっと好ましい。
牢獄や防潮堤に限らず、巨大な塀は内外を分断する。中世西洋の都市国家は城壁国家だったし、世界最大の建造物である万里の長城は元々、漢族の地と蛮族の地の境界だった。境界の外であれば匈奴やモンゴル族などが何をしようと中国歴代王朝は関与しなかった。
今、万里の長城は中国の国内にある。これは歴史的には奇妙なことだ。漢族による支配はこれまで万里の長城の外には及ばなかった。万里の長城が古代以来の中国人が定めた国境だ。万里の長城を越えて南北を支配したのは元や清のように、北方民族が漢族を支配した時だけだった。清朝の時代、清の領土は万里の長城を跨いだが、満洲は満州族(女真族)の領土であり、漢族の勝手な立ち入りは許されなかった。
こう考えれば辛亥革命で清朝が滅んだ時に、ラストエンペラーの愛新覚羅溥儀が満洲国王に収まることが当然とも思えるが、日中ソにモンゴルが絡んだ領土争いは奇々怪々過ぎて正直な話、素人には訳が分からない。日本では余り報じられないが、現在も内モンゴルではウィグルやチベットと同様、独立運動が続いている。
先日、習近平国家主席は「南シナ海(の島)は昔から中国の領土だ」と語ったが、歴史に基づくなら現在の内モンゴル自治区が中国の領土ではなかったことこそ明白だ。万里の長城という「動かぬ証拠」がある。