つづき
【初春の高山はまだ寒い】
夜9時前に高山駅東口のロータリーに降り立つと、小雨程度だったが冷たい雨が降っていた。
たしかに太多線に乗車したころ、グッと気温が下がったのを感じていたが、さすがの飛騨高山もそれ以上に寒いといところを感じた。
傘をさしコートの襟を立てながら、かつて行き慣れた居酒屋へ向かってみると、年中無休のはずなのに営業終了なのか扉は固く閉じられていた。
その居酒屋とは、かつて知人が働いていた場所であって、すでにその場所に在籍していないのだが、偵察を兼ねて訪店することも、今回の旅の目的の一つだった。
やっていないなら仕方がないので駅前まで戻って、中堅の居酒屋チェーン店の暖簾をくぐることにした。
(もちろん予定が狂ったのでヤキモキしながら・・・って感じだったけどね)
【出会いは一期一会】
その店について高山では初めて入店したが、本来ならド深夜まで営業している店舗。
地元の人が主に二次会利用で使う店らしいが、時短要請のため夜11時がラストオーダーだという。
現在21時だとは言え、さすがにここで2時間もいるつもりはなかったが、カウンターにて富山湾で採れたという刺身料理や高山の郷土料理に舌鼓を打つことにした。
そんな地酒や地の料理にやや割高感はあったが、高山の地酒やウイスキーで舌を湿らせながらひとり酒を傾けていると、だいぶリラックスしたのか酔いと軽い眠気がやって来た。
そこでご飯もので軽くシメて退店しようと巻物単品と味噌汁を最終オーダー。
まもなくして、ラストオーダー品が運ばれてきたのだけど、目の前には巻物ではなくて寿司10カン盛り合わせと味噌汁が並んでいた。
「巻物が寿司と間違えちゃいましたぁ」
と、ニコニコしながら運んできた店員さんがいうのだけど、その店員さんはさっきまでカウンター越しに忙しそうにしていた職人さんだった。
今までは全てホールの人がオレに料理等を提供していたのだけど、それだけはその職人さんが運んできたんだよ。
こちらも明らかにそれがテイのいい嘘だとすぐにわかったので、戸惑いながら「えっ?」と声を出しながら目を丸くする。
「出会いは一期一会ですよ」
そう言いながら、さっきまで厳しい顔をしながら仕事をしていた職人さんが笑顔で話しかけてきた。
それがきっかけでカウンター越しにちょっと話してみることになるのだけど・・・。
オレのオーダーの口ぶりから明らかに一見の観光客だと判断したらしく、オレのラストオーダーをその職人さんが勝手にアップグレードしてくれたみたい。
話をすればするほど、話を聞けば聞くほど、その職人さんにそんな権限(勝手なアップグレード)はなさそうだったが、お互いの出身地を中心とした話題でまあまあ盛り上がったという(笑)
ここでは、一期一会という言葉と出来事、その対応に感謝しながら店を後にするのだけど、義理堅い自分としては、またその店に顔を出す必要が生じてしまったなぁと振り返りながら傘を開いたという。
(高山へ向かう数時間前に食べた熊本ラーメンを高山で過ごした居酒屋で締める時にふと思い出したんだよね。この2杯目として食べた熊本のラーメン、高山まで持ってきてくれないかなぁ~。なんてね。)
つづき
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