8703の部屋

「ハナマルサンの部屋」です。音楽、スポーツ 世相 等々 気ままに綴ります

初心者の人へ⑧

2011-10-05 08:23:15 | 合唱
歌を志す人の多くが、「力み」という悪癖に取り付かれて悩みます。その中でも、初心者に最も多いのが「舌根の力み」です。声を出そうとするたびに舌根に力が入り音声の通り道を塞いでしまう現象です。「音声の通り道を塞ぐ」と聞いただけでも「悪癖」であることが理解できます。音声の通り道は、常に出来るだけ広く、ソフトに開いているのが理想です。横隔膜で支えられた呼気に音声が混じり、腹の底から湧き出てくるようにその通り道を通って共鳴腔で鳴り響くのです。共鳴腔についてはこの稿では特に詳述はしないが、発声法の中で大変重要な要素です。広い意味では、身体全体が共鳴腔といえるが、主となるのは胸から上の空間であり、特に、口腔、鼻腔、頭腔における共鳴が重要視されます。

「悪癖」を除去するためにはどうするか?普段の練習がそのための時間であり、その中で行うしか方法はありません。基礎・基本に関するチエックポイントを意識し、練習の中で繰り返し練習することで克服してゆくのです。その過程では、先生の指導を受けたり、仲間同士で意見交換をしたり、声を聴きあったりすることも必要です。自分の声を、姿を他者に聞いてもらう、観てもらうということも大変重要なことです。別冊編でNさんが指摘していたように、自分の声を客観的に聞いてもらう、あるいは自分で聞いてみることは練習過程での必須事項であります。姿勢についても同様です。人に見てもらうこと、自分で確認すること、そのためには前述した鏡も登場します。全身を写す鏡で姿勢や表情を確認することがベストですが、口形や口中を点検するための手鏡は必ず携帯する必要があります。

自分の声を自分で聞くためには、録音機材の活用があります。これについてもNさんのアドヴァイスがありました。基礎練習をやりながら、あるいは合唱曲の練習をしながら、絶えず自らの音声、歌声を自分の耳で確認し、長所、短所を発見することです。短所に気づき、次の練習で矯正をする、あるいは、先生や仲間に直接聞いてもらい指摘を受ける。このような自発的、能動的な練習を続けると、必ず成果が現れます。ただ、簡単には会得できないことのほうが多いので、功を急がないこと、焦らないことです。信じて粘ることです!
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初心者の人へ⑦

2011-10-04 09:42:49 | 合唱
これまで「悪癖」という言葉を何度か使って来ましたが、このあたりで何が「悪癖」なのかを考えてみたいと思います。8703が指揮者、もしくは顧問として、まず頭に浮かんだのが「サボり(休み)癖」です。これは心がけの問題ですが、合唱部員として最も信頼できるのは「黙々と、特別なことが無い限り休むことなく練習に参加する人」です。反面、少しは歌う力があっても「休み癖を持つ部員」は困り者とさえ言えます。この稿の冒頭でも述べたように、部員一人ひとりが掛け替えの無い存在であり、チームの一員としての自覚と責任を持った行動が期待されます。

実技面での「悪癖」の典型は我流です。たとえば、ある程度合唱経験がある人で、合唱に適さない発声(我流)が身についている人と、初心者で「発声のことなど考えたこともありません」という人が同時にレッスンを始めた場合、初心者のほうが素直に、順調に育つことが多いようです。もちろん、個人差はありますが、ある程度の期間(長ければ長いほど頑固)に身についた我流(悪癖)を是正することは大変です。くどいようですが、あらためて基礎基本を正しく習得することの重要性を確認して下さい。

具体的に「悪癖」の例を挙げてみます。まずは姿勢です。これは目で見て確認できることなので、みなさん想像してみてください。いかにも良い声で良い歌が歌えていそうな人の姿勢と、そうではない人の姿勢です。後者の例として思い浮かぶのは「猫背で首が曲がり、顎が出ていて、腕が前」、これは丁度、動物園のチンパンジーを彷彿とさせる様な姿勢です。「スックと真っ直ぐ」のイメージとは全く違います。まさかそんな姿勢で歌う人はいないと思うかもしれませんが、それに近い姿で歌っている人もいます。ぜひ「人の振り観て自分も観てください」。くれぐれも「悪癖」が身につかないようにチエック、チエックです。

次は「上体の力み」です。「力み」とは「脱力」の反意語になりますが、いかに脱力するかがとても重要であり、難しい課題と言えます。
「力み」というのは、必要が無い時に、必要でない所に力が入ることです。具体的に上から、舌、顎、首、肩、胸(おへそから上)などです。これらは全て、歌唱においては余計な力が入ってはいけない箇所です。そして、ほとんど連動しています。たとえば、舌(舌根)に力が入ると、顎や首にも力が入り、いわゆる「のど声」になります。肩に力が入ると胸も硬くなり、伸びやかな声にはなりません。ここで、唯一「力を入れてよし」と言える箇所は、吸気から呼気に向かっている時の下腹部(おへそより下、いわゆる丹田)であり臀部(お尻)です。


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初心者の人へ~別冊~

2011-10-03 10:12:05 | 合唱
本稿を読んで下さった指揮者のNさんからご寄稿をいただきましたので、別冊編としてご紹介します。

「わたしは合唱団の方々にまず、自分の声を好きになってください。そして、それが回りの声と溶け合うのを自分の喜びとしてください、と言っています。コーラスとはそういうものだと、わたしは思っています」-関屋晋ー

自分の声を好きになるって結構たいへんなことですよね。特に昔は・・・私も中学生のころ、テープレコーダーで初めて自分の声を聞いて愕然としたのを鮮明に覚えています。今なら、携帯電話にもICレコーダーが付いているし、PCMレコーダーも一万円以内で買える。ビデオ機材も小さくて安価なものがあります。そして、メトロノーム付きのチューナーだってすぐ手に入ります。自分の声が溶け合うこと、ピッチが合っていることを確認することは、初心者のうちに心がけたいものです。 ⑥は↓
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初心者の人へ⑥

2011-10-03 07:36:55 | 合唱
合唱初心者シリーズも⑥を迎えたが、8703は初心者には盛りだくさんな練習方法は必要無しと考えている。発声に関しては、姿勢と呼吸とロングトーンの3点を徹底的に、飽きるほどやってから次のステップへ進むのが良いでしょう。基礎基本が確立していないのに、色々と複雑な発声練習をやっても身につかないし、かえって悪い癖が身につく心配もあります。悪癖を身につけないことがとても重要です。

歌う姿勢を整えて呼吸法の練習を繰り返します。横隔膜呼吸の要領が理解でき自然に出来るようになったならば、SやZの音声を乗せて息の流れを確認しながら、まずは15秒から20秒程度伸ばすことが出来るまで練習を繰り返します。ここまで辿り着いて初めて発声に入ります。次にやることはロングトーンです。要領は呼吸法でやったS,Zで伸ばす練習の応用です。S,Zに代わって母音を用います。最初はイの母音で細く長く真っ直ぐに(揺れないで=ノンヴィヴラート)、出来るだけ長く伸ばします。これがロングトーンの練習です。

ロングトーンの練習は、声楽および管楽器の基礎練習では欠かすことの出来ないものです。レガート唱法(音と音を滑らかにつなぐ歌い方)の基本的練習になります。イから始めたロングトーンを色々な母音やハミングなどで試み、その過程で音程(正確にはピッチ)や、音色や、共鳴のことなども合わせて練習することが出来ます。初心者の発声練習には「ロングトーンの練習」を徹底することが大切であると確信しています。

ロングトーンで音楽表現の重要な要素であるレガート奏の基本を身につけること。その後に色々な表現法(スタカート、マルカートなど)の練習を取り入れて行くのが良いでしょう。もちろん、これらの練習を並行して行っても良いでしょうが、あくまでもレガート唱によるフレージングが基礎基本となります。以上で、初心者の人が行う基礎練習の説明を終えますが、文章表現のみによる解説なので理解しにくいこともあるでしょう。不十分なところは指導を受けている先生や、先輩などに質問をしてみてください。もちろん、筆者(8703)へ直接問い合わせていただいても結構です。このシリーズは、視点を変えてまだ続きます。~別冊編あり~↑
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初心者の人へ⑤

2011-10-02 11:40:43 | 合唱
このシリーズのタイトルが「初心者の人へ」なので、経験者の人にとっては、「そんなこと、今更言われなくてもわかっているよ!」という内容になっていることと思います。しかし、姿勢一つ見ても、経験者が全て良い姿勢で歌っているとは言えません。常に、基本を大切にする練習を重ねて下さい。そして、人に頼る練習だけではなく、自主的な練習をする習慣を身につけることが重要です。出来るだけ正しい知識を習得し、自ら実践を重ねることが上達への道です。

さて、姿勢についてですが、まずは「スックと真っ直ぐ自然体」が基本ですが、いざ発声という時には、両足をどのように構えて重心をどこにかけるか等々、指導の先生や書物から学んで下さい。はっきり言えることは、踵に重心をかけて後ろにそっくり返るような姿勢や、上体に力を入れて猫背で構えるようなことは許容範囲には無いはずです。くれぐれも、歌唱に適さない姿勢が定着しないように普段のチエックを怠らず、無意識に正しい姿勢が取れるようにしてください。

正しい姿勢の保持を会得したならば、次は呼吸法です。呼吸は横隔膜呼吸(俗に言う腹式呼吸)をしっかり覚えましょう。わかりやすく言えば、「息を吸ったときには下腹部が膨らみ、吐き出した時には凹む」呼吸です。歌唱の時には、吸気と呼気を繰り返すことになりますが、呼気に音(声)を乗せることが発声です。呼吸法を徹底的に練習し、確実に身につくまでは声をださない方がよいとさえ言えます。正しい呼吸法に裏づけされた声でなければ、すぐに壁にぶち当たり、前へ進めなくなります。いったん身についた悪癖を是正することは、とても大変なことなのです。したがって、徹底的に基本を身につけることが重要なことであり、呼吸法も何も理解せずに我流で歌っていてはよい歌い手にはなれません。

呼気を長くズムーズに送り出せるようになってはじめて声を乗せてみましょう。呼気がスムーズに出ているか否かを確認するためには、S(スー)とかZ(ズー)の音を乗せて長く伸ばしてみます。長さについては、最初から欲張ることはありません。大切なことはしっかりとした横隔膜の動きによってスムーズに呼気が流れていることを確認することです。真っ直ぐに、揺れ動くことなく一本の絹糸が前方へ流れていくようなイメージを持って行いましょう。そして、少しずつ長続きするように、10秒から15秒、そして20秒というように焦らずに取り組むことです。「急いてはことを仕損じます」!
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