サッチャー元英国首相が亡くなられたそうだ。87歳だから大往生といえるだろう。ただ、晩年は夫の死も忘れるほど認知症が進行していたそうだ。
老年期の衰えは、まず足の衰えとして現れる。足が衰えて行動範囲が限定されてくると、内臓機能や血管が衰え、認知症となる。
最近の研究によると、認知症の原因は体の糖化にあるといわれている。本来、脳の老廃物を取り除く機能が、体の糖分を取り除くことに使われ、脳に老廃物がたまり、認知症になる。このように糖尿病と認知症は深い関係がある。
糖尿病は、食事と運動不足が原因である。
だから、糖尿病の予防は食事制限と運動で行う。基本的に認知症の予防も同じである。
しかし、その時、足が衰えていては、運動ができない。というか、順序が逆かもしれない。足が衰えて運動ができず、体の糖分が処理できないことで認知症が進むという流れである。
老化を防止するためには、足を鍛えろというのが私の持論であるが、言うは易く実行は難しい。
というのも、私たちは足の衰えを気づきにくいからだ。今度、自分の歩いている時の筋肉の使い方をよく観察してみるといい。いろんな部位を使ってバランスを上手とって歩いている。私たちの体は本当に機能的にできている。
同じ筋肉だけ使っていると、すぐヘタってしまい、長く歩くことができない。だから、いろんなところに力を分散させて歩く。それゆえ、筋力がかなり衰えても十分歩くことができる。だから、衰えに気づきにくい。あっと思ったら、ふらふらトボトボし始める。そうなったら、もう手遅れに近いわけである。
走るという動きの中には、飛んで両足を地面から離す瞬間がある。
歩く動きには、片足で立つ動作がある。
立つという行為は、両足で体を支えることである。
飛べなければ、走れない。片足立ちができなければ歩けない。両足立ちができなければ、寝たきりである。このように衰えには順序がある。
歩くことについていえば、片足で安定した状態が保てなければ、歩幅が短くなり、とぼとぼとした歩きになる。しかし、片足で体を支えられる筋力が十分にあれば、歩くことは簡単だ。だから、きちんと歩くためには片足で体を支えるだけの筋力をつけることが必要となる。それには単にウォーキングだけするのではなく、筋力を衰えないようにするための工夫が必要である。たとえば、スクワットや腿上げなどである。
認知症になりたくなかったら、体を動かすことである。べつに特別なことではない。しかし、続けることは難しい。