6月27日日曜日、どんぐり工房でとよた都市農山村交流ネットワーク主宰の山里学校・6月の部が開かれました。6月は草木染め。昨年に続いて私が担当しました。定員10名のところ、参加者は12名。スタッフを入れて14名が集まりました。
山里学校の草木染めは、植物の採集から始まるのが普段の講習と違うところです。当日は昨夜からの雨。天気予報では開始時刻には上がるはずだったのが、9時になっても降り続いていました。
採取場所はどんぐり工房から車で5分ほどの休耕地。あらかじめ地主さんに頼んで草刈りを控えてもらっておいた場所です。雨にもかかわらず、参加者全員が雨具をつけて現地へ。
まずクズをとります。クズは根っこはくず粉や民間薬の葛根になり、茎の繊維は葛布といって、古くは庶民の衣類に欠かせない材料でした。葉っぱはてんぷらにするとおいしい。
全草がとても役にたつ植物なのですが、今はスギナとともに農家の敵とみなされ、片端から刈られています。イノシシが根っこを好むので、クズの繁茂をほうっておくと崖崩れの原因にもなり、クズに対する風当たりはいっそう強くなっています。
欧米にはこのクズがなかったらしく、牧草にいいというので昔日本からモッテ行って移植したそうなのですが、あまりの繁殖力に往生し、「デビルプランツ」というあだ名がついたくらい。
毀誉褒貶ともに名高いクズは、アルカリ水で煮出すといまの季節、美しい若草色が生まれます。
もう一種類はマルバアカソ。シソのような大きな葉と赤い茎が特徴です。こちらはアルカリ水で赤っぽい色が出てきます。アルカリ水にするためにはソーダ灰を使うのですが、クズからは緑色の成分、マルバアカソからは赤い成分が引き出されるのです。不思議。
ただし、これまで私がこの草を使い始めるのは7月になって梅雨が明け、穂のような花が咲き始めてから。梅雨のさなかのこの時期に染めるのは初めてなので、いつものような赤い色が出るかどうか、心配でした。
でも、思わしい色が出ないというのも草木染めの面白さのひとつ、と捉えてもらえればと思い、この草を選びました。
押し切りで刻みます。藁や家畜の飼料にする草を切るために使うこの道具、面白いように切れるのですが、危ない。注意しつつ仕事を進めてもらいました。
クズもマルバアカソも、素材を刻んで煮出した最初の1番液、液だけ取り出して、煮えた素材に水を足してさらに煮出した2番液くらいまでは、雑多な色の成分が混じっています。だから、クズなら黄色み、マルバアカソなら茶色みを帯びた色になります。それが3、4番液になると、色は薄くなりますが、冴えた緑や赤が誕生します。
クズは1番液と2番液をいっしょにしてまず染めてもらいました。黄緑っぽい色になりましたが、おちついたいい色です。
マルバアカソはアルカリ水で煮出してから、ブルーベリーの枝やピラカンサの枝などの場合と同じように、液を空気に当てて酸化させ、赤を引き出します。何度もひしゃくですくっては戻します。泡がピンクになると、赤い色が生まれ始めたしるしです。
でもこの日は、予想通り茶色みが強すぎて、なかなか赤みが出てきません。一番液は濃い茶色、二番液は赤系の茶色になりました。いつもより茶味が強いようです。それでも、色の違いに皆さんびっくり。自然の妙に感心することしきりです。
子供たちは水遊び。これも楽しい。
手前2枚目のスカーフはクズの3番液。その向こうは同じ素材ですが、1・2番液で染めました。色の違いがかなりはっきり出ています。
クズの1・2番液ののれん。柄がいい。
こちらはマルバアカソの2番液。赤みの美しさがよく出ています。もう少しあとの季節になると、ピンクっぽい色が生まれます。
午後からは雨が上がり、戸外での仕事はスムースに進みました。3時半にはすべての工程が終了。輪ゴムや板をはずして洗い、干します。このとき、初めて模様が出現します。
干した作品を見ながら品評が始まりました。予想とは違う出来上がりに、喜ぶ方もいればがっかりする方も。この時間がけっこう楽しい。
最後に感想を書いて頂きました。いくつかご紹介します。
「まず草から採取しきざみ、煮立て染める。媒染、また染めるを繰り返し、自然の色が布に顔を出す、素敵な瞬間!」「自然の存在が生み出す色や香りにあらためてすばらしさを感じました」「草木を煮出しているときの香り、手で液を混ぜているときのあたたかさ、そしてできあがった作品を見るときと、ずっといやされっぱなしでした」「自分たちで採取し、染めるまでを行わせて頂き、すごく感動的でした」
山里学校の草木染めは、10月16日(土)にも開催されます。申し込みは7月上旬から。この山里学校に関するお問い合わせは、とよた都市農山村交流ネットワーク事務局(℡0565-68-1113)にご連絡ください。
山里学校の草木染めは、植物の採集から始まるのが普段の講習と違うところです。当日は昨夜からの雨。天気予報では開始時刻には上がるはずだったのが、9時になっても降り続いていました。
採取場所はどんぐり工房から車で5分ほどの休耕地。あらかじめ地主さんに頼んで草刈りを控えてもらっておいた場所です。雨にもかかわらず、参加者全員が雨具をつけて現地へ。
まずクズをとります。クズは根っこはくず粉や民間薬の葛根になり、茎の繊維は葛布といって、古くは庶民の衣類に欠かせない材料でした。葉っぱはてんぷらにするとおいしい。
全草がとても役にたつ植物なのですが、今はスギナとともに農家の敵とみなされ、片端から刈られています。イノシシが根っこを好むので、クズの繁茂をほうっておくと崖崩れの原因にもなり、クズに対する風当たりはいっそう強くなっています。
欧米にはこのクズがなかったらしく、牧草にいいというので昔日本からモッテ行って移植したそうなのですが、あまりの繁殖力に往生し、「デビルプランツ」というあだ名がついたくらい。
毀誉褒貶ともに名高いクズは、アルカリ水で煮出すといまの季節、美しい若草色が生まれます。
もう一種類はマルバアカソ。シソのような大きな葉と赤い茎が特徴です。こちらはアルカリ水で赤っぽい色が出てきます。アルカリ水にするためにはソーダ灰を使うのですが、クズからは緑色の成分、マルバアカソからは赤い成分が引き出されるのです。不思議。
ただし、これまで私がこの草を使い始めるのは7月になって梅雨が明け、穂のような花が咲き始めてから。梅雨のさなかのこの時期に染めるのは初めてなので、いつものような赤い色が出るかどうか、心配でした。
でも、思わしい色が出ないというのも草木染めの面白さのひとつ、と捉えてもらえればと思い、この草を選びました。
押し切りで刻みます。藁や家畜の飼料にする草を切るために使うこの道具、面白いように切れるのですが、危ない。注意しつつ仕事を進めてもらいました。
クズもマルバアカソも、素材を刻んで煮出した最初の1番液、液だけ取り出して、煮えた素材に水を足してさらに煮出した2番液くらいまでは、雑多な色の成分が混じっています。だから、クズなら黄色み、マルバアカソなら茶色みを帯びた色になります。それが3、4番液になると、色は薄くなりますが、冴えた緑や赤が誕生します。
クズは1番液と2番液をいっしょにしてまず染めてもらいました。黄緑っぽい色になりましたが、おちついたいい色です。
マルバアカソはアルカリ水で煮出してから、ブルーベリーの枝やピラカンサの枝などの場合と同じように、液を空気に当てて酸化させ、赤を引き出します。何度もひしゃくですくっては戻します。泡がピンクになると、赤い色が生まれ始めたしるしです。
でもこの日は、予想通り茶色みが強すぎて、なかなか赤みが出てきません。一番液は濃い茶色、二番液は赤系の茶色になりました。いつもより茶味が強いようです。それでも、色の違いに皆さんびっくり。自然の妙に感心することしきりです。
子供たちは水遊び。これも楽しい。
手前2枚目のスカーフはクズの3番液。その向こうは同じ素材ですが、1・2番液で染めました。色の違いがかなりはっきり出ています。
クズの1・2番液ののれん。柄がいい。
こちらはマルバアカソの2番液。赤みの美しさがよく出ています。もう少しあとの季節になると、ピンクっぽい色が生まれます。
午後からは雨が上がり、戸外での仕事はスムースに進みました。3時半にはすべての工程が終了。輪ゴムや板をはずして洗い、干します。このとき、初めて模様が出現します。
干した作品を見ながら品評が始まりました。予想とは違う出来上がりに、喜ぶ方もいればがっかりする方も。この時間がけっこう楽しい。
最後に感想を書いて頂きました。いくつかご紹介します。
「まず草から採取しきざみ、煮立て染める。媒染、また染めるを繰り返し、自然の色が布に顔を出す、素敵な瞬間!」「自然の存在が生み出す色や香りにあらためてすばらしさを感じました」「草木を煮出しているときの香り、手で液を混ぜているときのあたたかさ、そしてできあがった作品を見るときと、ずっといやされっぱなしでした」「自分たちで採取し、染めるまでを行わせて頂き、すごく感動的でした」
山里学校の草木染めは、10月16日(土)にも開催されます。申し込みは7月上旬から。この山里学校に関するお問い合わせは、とよた都市農山村交流ネットワーク事務局(℡0565-68-1113)にご連絡ください。