アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「コズモポリス」

2014-01-27 14:11:47 | 映画とドラマと本と絵画
   デヴィッド・クローネンバーグ監督の「コズモポリス」を見ました。クローネンバーグは、「ザ・フライ」も「裸のランチ」も「クラッシュ」も衝撃的な作品だったので、できれば、作品をすべて見たいと思っている監督です。

   主人公は、天才的な能力で巨大な冨を築いた若い投資家。映画はおおかたの場面が、彼が事務所代わりに使っている、ハイテクの装備を備えたリムジンの中で展開されます。

   しょっぱなは、磨かれたリムジンの車体がじっくりクローズアップされ、その美しい形と色が強調されます。   

   リムジンの外では、大統領の訪問を知った市民達のデモが繰り広げられています。リムジンは、デモの参加者や野次馬、主人公を憎む人物たちなどなどによって、どんどん傷つけられ、汚されていきます。

   そのうち、車内での主人公と相棒の男らしい人物達との会話で、主人公が人民元の動向を読みあやまったことで、莫大な金額の損失を招いたことがわかってきます。

   リムジンの内外で、彼のボディガード、運転手、大富豪の娘である妻、成り上がりものの彼を子供の頃からよく知っている床屋の親父、愛人などなどが次々に彼とかかわっては、去っていきます。

    画面も速度も会話も描き方もすべて、緊張を強います。息を継がせない感じです。難しくて、理解しがたい会話や言葉や展開もたくさんあるのですが、おもしろい! なんというか、「これが先進国の現代だ」といいたくなる映画です。極端に無機的なリムジンの車内も、最後の場面に出てくる汚らしいアパートも、孤立と格差が当たり前になりつつある現代を象徴しています。

    「がり勉したのではなくて、いろんな先端的な学問をうんと勉強して、自分のものにした頭のいい人たちが、欧米にはたくさんいるのだな」ということを、よくよく感じさせる作品です。観賞後、「舌をまく」という言葉がごく自然に出てきました。   
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ザ・タイガース2013LIVE in 東京ドーム

2014-01-27 11:14:50 | 映画とドラマと本と絵画
  先週金曜日、NHKBSプレミアムで、「ザ・タイガース2013LIVE in 東京ドーム」を放映しました。前から楽しみにいていた番組です。

  ザ・タイガースのメンバーで、昔わたしが一番好きだったのは、加橋かつみ(トッポ)でした。数あるグループサウンズの中で、ザ・タイガースはハーモニーがとても美しかった。その中でも、「花の首飾り」のあのトッポの声は忘れられない。

  でも、いつごろだったか、トッポは突然、グループから姿を消しました。

  芸能ニュースにうとかったわたしは、彼がほんとに行方不明だったのかどうか、またなぜメンバーを降りたのか、なにも知らなかったのですが、そのことでいっそう魅力を感じたものです。

  解散してから、私はジュリーもなかなかいいなと思うようになり、岸辺一徳は、好きな俳優の一人になりました。ずっとあとになって、もっとも目立たなかったピーが大学入学を果たし、高校の漢文の教師になって第二の人生を歩んだとききました。

   トッポもタローも、音楽業界でそれぞれ活躍しているとは、これもずいぶんあとで知りました。スリムでいたいけな美少年だったジュリーは、だいぶ肥満しはしたものの歌手を続け、コンサートはずっと開いているようです。

   数年前、ザ・タイガースのコンサートが何十年ぶりかで開かれ、ピーは教員を辞めて参加しました。でも、そのおりトッポの姿はなく、ジュリーが、「今度はぜったい彼といっしょのコンサートを開く」と聴衆の前で約束しました。

   そして、昨年その約束が実現しました。全員がそろったコンサートを全国8箇所でおこない、その最後を飾ったのが、この舞台だそうです。

   一徳は髪が薄くなり、他のメンバーは皆白髪。ジュリーだけでなくトッポも、いささか肥満気味でした。観客はほとんどが団塊の世代かその少し下のようでした。

   車椅子の岸辺シローも登場し、「イエスタデイ」を歌いました。あまり出ませんでしたが、いい声でした。

   メンバーも往年のファンもすっかり年をとったのですが、会場はすごい迫力でした! 孫のいる世代の人たちが大ノリ。どちらも涙ぐんでいました。こんなこと、彼らの前までの世代では考えられなかったと思います。

    ジュリーは昔より声が良くなったみたい。わたしの思いいれも大きくなったいるせいもあるのでしょうが、彼の声が心に染み入る感じがしました。久しぶりに聞いたトッポの声に、つい泣いてしまいました。

    メンバーもファンも「お互い、がんばって生きてきましたよね」と言い合っているような、切実でまじめなコンサートでした。しみじみしました。

   当時は、「長髪だから」という理由で、NHKはグループサウンズを番組に登場させませんでした。唯一、短髪にしているあるグループのみ、出ていたと記憶しています。

   コンサートに行くこともエレキギターを弾くことも、不良あつかい。でも、クラスのほとんどの女の子は、どのグループにどんなメンバーがいて、どんな歌を歌っているか、知っていたのだろう思います。わたしは、そういうことにあまり関心がなかったのですが、それでも、いま当時の歌を聞くと、ほとんど耳になじんでいたことにおどろいています。

   コンサートは2時間ほどで終了。数あるザ・タイガースの曲は数曲しかなくて、もの足りませんでした。来年もまたやってほしい。会場に行くほどのファンではありませんが、十分楽しみました。 

      

   

   
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