数年前から懸案だった、米粉のパンデピス、やっと満足のいくものができました。
小麦粉と蜂蜜とスパイスで作るパンデピス、パンのレシピ本で知ってから、気になっていました。
パンと言っても、本に載っているのはほぼケーキ。ほんものは、卵とバターを使っていますが、できればどちらも使いたくない。小麦粉以外の粉で作りたい。さらに言えば、蜂蜜の加熱をしたくないので、蜂蜜の代わりに別のものを使いたい。
いくつか条件を課して、作ったのが、米粉とそば粉とスパイス、それに蜂蜜の代わりにみりんを入れたパンデピスです。きのうで試作三回目。
先月ネットの古本屋で購入したこちらの本に、パンデピスに関する記述が、結構なページを割いて紹介されています。
中世のころから作られ始めたパンデピス、もともとは中国の「蜂蜜パン」なる食物からきているとか。それがヨーロッパに入ってからスパイスをいれるようになっったそう。おどろくことに、小麦粉と蜂蜜を混ぜて半年から1年の間発酵。その生地に、シナモンや生姜、クローブ、ナツメグ、黒コショウなどをプラスします。
キリスト教の聖人のお祭に供されることも多かったこの菓子は、「ヨーロッパの宗教文化と「エキゾチック」趣味とがいわば合体したもの」(民俗学者イヴォンヌ・ド・シーク:上記の本から孫引き)で、ヨーロッパ各地に種々の形や製法のパンデピスが存在しているようです。
現在のパンデピスは、わたしが見た限りでは蜂蜜は使うものの、長期間の発酵はさせず、ベイキングパウダーや重曹を使用。粉も、もとは、ライ麦粉で作るのが一般的だったようですが、いつのころからか小麦粉にかわったとか。私がもっているフランス人パティシエの本では、ライ麦粉と小麦粉が半々につかわれています。
それで、わたしも、ライ麦粉の代わりにそば粉も入れてみました。素朴な味わいがあって、なかなかいいとおもいましたが、念のため、米粉だけのバージョンも作ってみました。そしたら、なんと甘い。甜菜糖の量は同じなのに、甘い。でも、甘さはみりんと甜菜糖で十分たりているので、素朴な味のほうを採用することにしました。
みりんは生のままだと強すぎました。それで煮切ることに。おもったとおり、やわらかい甘さになりました。
さて、大事なスパイス。これはシナモンとナツメグとジンジャーとクローブ、それにアニスの粒に決定。黒こしょうを入れてみましたが、ほかのスパイスとなじまないように思えて却下。
そんなこんなで、試行錯誤の末とりあえずできました。スパイスが微妙な調和をもたらすようで、派手な味ではないのですが、食べているうちに、じわじわおいしさを感じます。来週火曜日の守綱寺でのまちかど朝市に持っていくつもりです。