大変短い本。数分で読めます。
教室に新しい先生が突然やってくる。これまでの先生が追い出されるようにして教室を出る。新しい先生は若く美しい女の先生。着ている服もきれい。

この先生は、「戦争」に勝った国から派遣された教師で、まえの「くたびれた服」を着た白髪の女教師はお払い箱になったのだと徐々にこどもたちにもわかってきます。ドーデの「最後の授業」のそのあとの学校がどうなっていったか、という続編のようなお話です。
子供たちの質問には全部答え、暗唱するだけで意味を解さなくても平気だった彼らに、教師は疑問を投げかける。教師の巧みな誘導に子供たちは次々に意見を変えていきます。
始まってたった23分間で、子どもたちは教師に心を奪われ、彼女の言うことを信じます。
この教師、実はまだ19歳。この日が初めての授業です。彼女は、すべて(彼女の国によって?)作られたプログラム通りに事を進めたにすぎません。生徒たちの反論も反発もすべて織り込み済み。
こうして彼らはいとも簡単に洗脳されるのですが、この教師の子供への対応は、とても筋が通っていて、切り崩せる自信は私にはありません。切り崩せない限り、彼女の使命である、すべての人が同じ考えを持つ全体主義の国家の建設を阻むことはできないな、と痛感します。
英文がついています。簡単な英文のようで、英語の勉強にもよさそうです。教師を志す高校生に、英語の勉強を兼ねて読んでほしい本です。