昨秋以来久々に、森林学校の講座に参加しました。第一回めは「天然林と自然林の違い」がテーマ。講師は北岡明彦氏でした。
森を見る三つのポイントは、地形と地質と気候。「そりゃそうだよな」と思いながら聞いていましたが、説明を聞いて、改めてこのポイントの重大さを知りました。
例えば愛知県。大きく分けて3つの河川に流域に分類されるのですが、私が住む西三河地方の矢作川流域は、花崗岩地帯。この花崗岩、三つの石によって構成されているのだそうですが、地中にある時はとてもかたく、地表に出るとそれぞれの石の性質が違うため、ボロボロに崩れるのだそう。この花崗岩の風化した土はマサ土と呼ばれ、土砂災害に弱い地層だということです。東海豪雨の折、西三河地方が甚大な被害を被ったのは、ひとつにはこの地質のせいによるものがおおきいとのことです。

これがマサ土。午後の講座で出かけた、三ツ足(みたち)市有林で見ました。しろっぽいのがそれだそうです。

この林は、足助町時代、業者に売却されそうになったところを、町の英断で買い取ったもの。その後、合併と同時に豊田市有林となりました。ほんとは、川に近い下のほうの林は、水に強いスギを植えたほうがいいのだそうですが、こちらはヒノキ林になっています。

今回の講義でもっとも印象に残ったお話は、放置された人工林での雨の害のこと。
適切に間伐されていれば、人工林には光が入るので、下草が生え、灌木も育ちます。でも、放置された林では、下草は皆無。やせた杉やヒノキがひたすら光を求めて、上方に伸びていきます。すると、上のほうは枝同士がさしかわしているため、常緑の葉がいっせいに雨粒を受け、なかなか下に落ちて行きません。でも、大雨が降ったときは、葉を通り越して幹を伝い、地表に落ちます。そのとき、雨粒は、最初の衝撃の3倍ほどの大きさになって地表を直撃します。それが次々に地面に落ちれば、ただでさえ、水を受ける草や灌木というカバーのないところなので、大きな衝撃になって地面をえぐるのだそうです。
さらにスギやヒノキは、広葉樹に比べて根が10分の1ほどの深さしかありません。浅木と呼ばれるほどなので、簡単に倒れます。こうして土砂災害は起こるべくして起こるというのです。

写真中央の白い木は、巻き枯らし間伐という方法を施したもの。普通の間伐は多大な人件費がかかるため最近編み出された方法だそうで、根元から1m~ほどの皮をぐるりとむいて放置しておき、数年後に自ら倒れるのを待つという気の長い方法です。

倒れた木。確かに根はとても浅い。
愛知県は、明治時代の地図で見ると、日本三大はげ山の一つに数えられる地帯があり、森林率は低かったそう。はげ山になっている地域は、瀬戸や常滑周辺などの焼き物の産地。陶器を焼くのに使う薪炭材として山の木が大量に切り出され続けたせいだそう。
いまも、全国平均66%に対して42%と、低めです。でも、人工林率は64%。全国の第4位に位置していると言います。国産材が高く売れないため、間伐する余裕はなく、放置林が目立ちます。稲武は、豊田の中でも特に人工林率が高いのだそう。たしかにちょっと周辺を見渡しただけで、不健康な森になっているのがよくわかります。

暗い話をいろいろ聞いた後でしたが、久しぶりの森歩きは、楽しかった。蜂や蛇の出現の心配のない冬は、雪さえなかったら気がかりなく楽しめます。こちらは、コウヤボウキ。高野山で昔箒として使っていたものという言い伝えがあるそう。ドライフラワーとして使えそう。

こちらはサルトリイバラ。猿(を)取る茨となづけられたこの植物、赤い実の付き方がかわいい。

私が知る限り、もっとも大きなどんぐりの実をつけるアベマキの木の肌。戦争中、コルクの輸入が途絶えたとき、この木の皮でビールの栓を作ったのだそうでで、いまでもアサヒビールのどこかの工場には、アベマキ林が残っているそうです。

狸の糞。狸は一匹ずつで行動するけれど、一族の安否をある一か所で糞をすることでお互い確かめあう、という習性があるのだとか。はじめてみました。

きれいにえぐれた川。川底は、すっかり岩盤が見えるところまでえぐれているそう。こうした小さな箇所で、自然は知らないうちにじわじわ変わっているのだなあ、と実感しました。
森を見る三つのポイントは、地形と地質と気候。「そりゃそうだよな」と思いながら聞いていましたが、説明を聞いて、改めてこのポイントの重大さを知りました。
例えば愛知県。大きく分けて3つの河川に流域に分類されるのですが、私が住む西三河地方の矢作川流域は、花崗岩地帯。この花崗岩、三つの石によって構成されているのだそうですが、地中にある時はとてもかたく、地表に出るとそれぞれの石の性質が違うため、ボロボロに崩れるのだそう。この花崗岩の風化した土はマサ土と呼ばれ、土砂災害に弱い地層だということです。東海豪雨の折、西三河地方が甚大な被害を被ったのは、ひとつにはこの地質のせいによるものがおおきいとのことです。

これがマサ土。午後の講座で出かけた、三ツ足(みたち)市有林で見ました。しろっぽいのがそれだそうです。

この林は、足助町時代、業者に売却されそうになったところを、町の英断で買い取ったもの。その後、合併と同時に豊田市有林となりました。ほんとは、川に近い下のほうの林は、水に強いスギを植えたほうがいいのだそうですが、こちらはヒノキ林になっています。

今回の講義でもっとも印象に残ったお話は、放置された人工林での雨の害のこと。
適切に間伐されていれば、人工林には光が入るので、下草が生え、灌木も育ちます。でも、放置された林では、下草は皆無。やせた杉やヒノキがひたすら光を求めて、上方に伸びていきます。すると、上のほうは枝同士がさしかわしているため、常緑の葉がいっせいに雨粒を受け、なかなか下に落ちて行きません。でも、大雨が降ったときは、葉を通り越して幹を伝い、地表に落ちます。そのとき、雨粒は、最初の衝撃の3倍ほどの大きさになって地表を直撃します。それが次々に地面に落ちれば、ただでさえ、水を受ける草や灌木というカバーのないところなので、大きな衝撃になって地面をえぐるのだそうです。
さらにスギやヒノキは、広葉樹に比べて根が10分の1ほどの深さしかありません。浅木と呼ばれるほどなので、簡単に倒れます。こうして土砂災害は起こるべくして起こるというのです。

写真中央の白い木は、巻き枯らし間伐という方法を施したもの。普通の間伐は多大な人件費がかかるため最近編み出された方法だそうで、根元から1m~ほどの皮をぐるりとむいて放置しておき、数年後に自ら倒れるのを待つという気の長い方法です。

倒れた木。確かに根はとても浅い。
愛知県は、明治時代の地図で見ると、日本三大はげ山の一つに数えられる地帯があり、森林率は低かったそう。はげ山になっている地域は、瀬戸や常滑周辺などの焼き物の産地。陶器を焼くのに使う薪炭材として山の木が大量に切り出され続けたせいだそう。
いまも、全国平均66%に対して42%と、低めです。でも、人工林率は64%。全国の第4位に位置していると言います。国産材が高く売れないため、間伐する余裕はなく、放置林が目立ちます。稲武は、豊田の中でも特に人工林率が高いのだそう。たしかにちょっと周辺を見渡しただけで、不健康な森になっているのがよくわかります。

暗い話をいろいろ聞いた後でしたが、久しぶりの森歩きは、楽しかった。蜂や蛇の出現の心配のない冬は、雪さえなかったら気がかりなく楽しめます。こちらは、コウヤボウキ。高野山で昔箒として使っていたものという言い伝えがあるそう。ドライフラワーとして使えそう。

こちらはサルトリイバラ。猿(を)取る茨となづけられたこの植物、赤い実の付き方がかわいい。

私が知る限り、もっとも大きなどんぐりの実をつけるアベマキの木の肌。戦争中、コルクの輸入が途絶えたとき、この木の皮でビールの栓を作ったのだそうでで、いまでもアサヒビールのどこかの工場には、アベマキ林が残っているそうです。

狸の糞。狸は一匹ずつで行動するけれど、一族の安否をある一か所で糞をすることでお互い確かめあう、という習性があるのだとか。はじめてみました。

きれいにえぐれた川。川底は、すっかり岩盤が見えるところまでえぐれているそう。こうした小さな箇所で、自然は知らないうちにじわじわ変わっているのだなあ、と実感しました。
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