好きになってしまった人には自分の想いを告げたくなる。
自分がどれだけその人のことを想っているのか知ってほしい。
それでもし、自分の気持ちを受けとめてくれたらもっと嬉しい。好きな人にはやさしくしたいし、やさしくされたいものだから。楽しい時間をいっしょに過ごしたいから。
でも、片想いだったらどうしようと悩んでしまう。
失うのはやっぱり怖い。
ふられたら、好きだという気持ちをあきらめないといけない。なんだか気まずくなって、ともだちでさえいられなくなってしまうかもしれない。それがいちばん怖かったりする。
冗談めかして「好きな人はいるの?」と尋ねてみる。
相手の何気ない表情を深読みしては、ひょっとしたら自分のことを好きでいてくれるかもしれないって喜んだり、僕じゃダメなのかなあって落ちこんでみたり。
そんなふうに悩むのも恋の愉《たの》しみ――といえばそうなのだけど。
(2011年1月8日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第71話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/