銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

欠けた月

2014年10月08日 | のほほん同志Aの日常
まだ冬の入口にも入っていないというのに、風邪をひきそうになりました。

葛根湯をあわてて飲み、昨日まで訪ねていた長崎土産の五島うどんを食べ、
湯にぬくもって、ようやく一息ついたところです。

1時間ほども外に突っ立って、ぽかんと空を見上げていました。

…3年ぶりの皆既月食だったのですね。

テレビを見ない、新聞もババーッと斜め読み、というなかで
とかく日々のニュースにも疎くなりがちです。

ですから、いつものようにイヤホンを耳に突っ込んでの仕事帰り、
近所の児童公園で空を見上げて、ん?となったのです。

なんでこんなに月が暗い色をしているんだろう。
変な雲でもかかっているのかな、と。

ところが。

――うわ!


(はしっこが明るくなってきた!)

この辺で、もしや月食?!と気づきました。

でも見渡しても、外に出てきて観察する人がいるわけでなし、
少し離れた道路では、車が空なんて見ずにびゅんびゅん走っていて、
なんだかこの瞬間を見ているのが、世界で自分ひとりのような気に。
(すごい錯覚)



――30分後。

月は、だんだん完璧な満月に戻ろうとしています。

体も、だんだん冷えてきましたが

「完全にまん丸になるまで見ていこう」

そう思い決め、寒さに身を縮めながら
半ば意地になって空を見上げていました。

そんななか、BGMにイヤホンから流れる鬼束ちひろさんの歌声の
あるコトバが耳にひっかかって残り、繰りかえし聴いてみました。

“We can go”という曲のこんなフレーズ。


 どうか完全なものたちが
 そこら中に溢れないように


思い出したのは、「十三夜」という風習です。

旧暦8月、十五夜のお月見に対し、「のちの月」と呼ばれる旧暦9月の十三夜。

十五夜からひと月遅れで現れるわずかに欠けた十三夜の月を、
かつては合わせて愛でるものでした。
江戸の遊里では、片方しか見ないのを「片見月」と呼び、
縁起が悪いとしたのだそうです。

まん丸には少し足りない、欠けた月。

不完全なものに哀れを感じて美しさを見出し
満月のように完全でないからこそ、そこに安らぎや希望をさえ見ようとしたのだと。





完全なものは、どこか危うい。

知らず知らず、無いものねだりで完全を求めていたのかもしれません。私も。

まん丸には少し足りない、十三夜の月のあたりで
もう充分かな…と歩きはじめました。


(ちなみに今年は旧暦の閏年で9月が2回あるため、
 十三夜の月が171年ぶりに2回あるのだそうです。
 わかったようなわからないような)

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