いま外は、強い風が吹き、さくらならぬ、桃の花びらが舞っています。
桃は桜より1週間ほど遅いんですね。
まだ多少は残っているかも…と期待して訪ねた山桜は、すでに完全な葉桜。
今年もいつもの春のように、梅に、桃に、そして桜を見に、たくさんのツアーにご一緒しました。
そんななか、スタッフのひとりの言葉が耳にのこりました。
「桜は満開でなくたって、咲き始めでも、散ったあとでも、何かを感じられる。
でも梅や桃って、満開ならまだしも、見ごろをずれていたら、どうしようもないというか…」
そやなぁ、とうなずきました。
梅や桃って、そもそも観賞用じゃないしね、と。
でも、今は少し違うように思います。
強風にあおられ、桃の花が散るところを、今日はじめて、見ました。
いえ、これまでにも目にしたことはあったのでしょうが、記憶に残っていなかった。
でも、桜は違います。
ほんのひとそよぎの風で、あるいは風がぴたりと止んでいるときでさえ、
吐息のようにはらはらと散る。
最初に見たのはいつだったか知らないけれど、それが目に焼きついている。
その、「散るとき」の残像が桜にはあらかじめ刷りこまれているから、
咲き始めの桜を見てさえ、あぁ、もうこの美しい日々はわずか…と、
いっときを惜しむような、たまらない気持ちにさせられるのだと思います。
自分のことでいうと、春はひとつ、年を重ねる季節です。
この春はじめて、私、あと何年、仕事できるのかな、と思いました。
あと二十年ぐらい?と思ったとき、なんて短い、と感じました。
遅い。
遅いし、鈍い。
桃って、あれ、いつの間に散ってたの?というぐらいに。
あたりまえですが、桜も散るし、桃も散るし、人もいずれ動けなくなる。
そこから時間を逆算したほうが、今が愛おしくなる。
きっと、そういうことですね。
桜を見る目で、日々の生活を見つめると…コレデハイカン。
急に、本を開いたり、ジョギングを再開したり、
外食を断って旬のものを料理しはじめたりするのでした。
※日帰り添乗では最後の花見ツアー。
兵庫県の真ん中あたり、神河町の桜花園は桜とワラビの苑でした。
自分でとったワラビ、さっそく塩茹でにしていただきました。
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