11月4日、カリフォルニア州住民投票で同性婚を禁止する州法改
正案が可決された。それに先立ちユタ州の教会本部がカリフォル
ニア州の会員にこの改正案可決に向けて運動するよう呼びかけ、
会員が他州からも合わせて多額の献金を寄せていた。そのことは
米国で広く報道された。可決後、地元カリフォルニア州の神殿(LA,
Oakland)前に抗議のデモが行われ、ニューヨーク市の神殿にもデ
モが押しかけるなど、強い抗議が続いている。
11/12 New York で
改正案は52%対48%で可決され、結婚は男女間で行われるものと
するカトリック教会やモルモン教会など保守的な立場に立つ側は
目的を達したようにみえる。APによれば改正案可決に向けて寄せ
られた献金3千6百万ドルのうち43%が末日聖徒(会員)によるも
のであった。カリフォルニア州では今年5月に州最高裁が「同性
結婚を認めないのは州憲法違反」との判決を出しており、同性婚
が合法化されていた。ゲイ(同性愛者)も他の地域より多く、反
対運動が激しく行われている。また、末日聖徒の中にもゲイが存
在し、理解者もいて教会内部でも波紋が生じている。
この問題は政教分離の原則に関係しており、教会はあくまで会
員個人の信条による結果であるとしているが、ジョセフ・ボーゲ
ル(BYU卒、ロチェスター大院生)は次のように矛盾を指摘する。
イラクへの先制攻撃にアメリカの諸教会が反対した時、唯一の例
外はモルモン教会で当初慎重であったが結局ブッシュ政権を支持
するに至り、6年が経過し夥しい命が犠牲になってもイラクの混
乱や惨状、アブグレーブ、グアンタナモ留置所に言及することな
く、スーダンの虐殺、気候変動にも沈黙してきた。それが急に最
近異なった道義上の問題に腰をあげたというわけである。カリフ
ォルニアの同性愛者が結婚する権利を奪うため、指導者の勧めに
より大規模な草の根運動が動員された。
これは遺憾なことである、と彼は言う。社会正義、公平という
点で再び歴史的な流れに逆行する傾向を示している。黒人に神権
を与えないという差別を長年固執し、女性に平等な権利をという
ERAに反対し、今度は同性愛者の生き方を否定する。
昔は他人種との結婚が禁じられタブー視されていた。結婚は愛
と献身に基づいて多様な姿を取りうるのではないか。私たちは同
性愛についてよく理解していないのかもしれない、とボーゲルは
言う。そして、「キリストに従う者として、仮に誤ることがあっ
たとしても人々に対する理解と愛をもって臨むのが最善の策では
ないか」と結んでいる。
http://www.huffingtonpost.com/joe-vogel/a-mormons-lament-church-i_b_138037.html
Joe Vogel Posted October 27, 2008/10/29 A Mormon’s Lament:
Church Is On the Wrong Side of History Again With Proposition 8
なお、ボーゲルは追記で、憎悪に満ちた言葉でモルモン教会を非
難することは考え直してほしい、自分は「道義的な目的を果たすに
は道義的な手段で」というマルチン・ルーサー・キングの線でいき
たいと思っている。健全な批判は構わないが、憎悪と不寛容はゲイ
に向けられようとモルモン教会に向けられようとただ憎悪と不寛容
を増長させるだけである、と述べている。
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爪に火を灯す思いで納めた多額の献金(日本人の年間総献金額より多い)が
無意味であるばかりか一地方の政治献金に消えた事は長く語られねばならない。
これがカルフォルニアでなく他の外国だったら教会は大規模なキャンペーンを展開しましたか?
それでもモルモン教を支持しますか?
このことは、当ブログ'08.11.24のナディン・ハンセンの記事を読んでもらってもわかります。
アメリカの文化には、ある目的のため共鳴した人々が気前よく献金する(donate)という伝統があるようです。米末日聖徒の間に指導者の音頭によって草の根の運動が生じた例でした。
ユタモルモンは同性の性的接触を禁じているのであり、
既に同性と事実婚関係にある者の結婚を禁じ法的権利を奪う事とは筋が違うのではないか。
「私は同性愛という性的嗜好は持たない」
で十分なのではないかと。
私は同性愛ではない。
当然人にも勧めない。
しかし同性愛の人に「あなたは間違っている」とも思わない。
ただ違うだけ。
彼らも十分知的でタブーの壁に悩み抜いての結論にケチつける気もなく、生き方なりに幸せになってもらいたい。
身近な知人に同性愛者がいたものでね。