陛下の「終戦詔勅」の放送が、全国に流れました。戦争が終わり、連合国軍が進駐し、マッカーサーの統治が始まります。鈴木内閣が総辞職し東久邇宮内閣となり、近衛公は副総理格で入閣します。
東久邇宮内閣は、マッカーサー元帥と米本国の意思疎通の齟齬のため、閣僚の一斉罷免指令を受け、わずか50日で崩壊し、幣原内閣となります。
公は以後政治から退き、氏の本には重要事がまだ多く語られています。しかし、そろそろ本の紹介を終わりにしたいと考えます。
本日私は著書を読み終え、自決した近衛公に関する叙述を読みました。
突然目の前から、公の姿が消えてしまいました。さほど魅力のある人物と意識せず、富田氏の語り口に引かされ読んでいると思っていましたのに、ポッカリ心に穴が空きました。
気力がなくなったと、そういえば良いのでしょうか。甚だ勝手ですが、以下自分が一番重要と思う部分だけを紹介し、区切りをつけることに致します。
覚悟をしていたとは言え、戦争犯罪人として逮捕命令を受け、やはり公は衝撃を受けます。巣鴨刑務所へ出頭する前夜、公は自分の心境を記しておこうと決意し、次男の通隆氏に書き終えたものを渡しました。
その後家人が寝静まった深夜、というより、早朝に青酸カリを服用し自決します。いわば、そのメモが氏の遺言であり、富田氏が全文を掲載しています。長いので、私の心に響いた箇所だけを紹介いたします。
「戦争に伴う昂奮と、激情と、勝てる者の行き過ぎた増長と、敗れた者の過度の卑屈と、故意の中傷と、誤解に基づく流言飛語と、」
「これら一切の世論なるものも、いつかは冷静さを取り戻し、正常に復する時も来よう。」
「その時初めて神の法廷において、正義の判決が下されよう。」
遺言書は、翌朝やってきた検事一行によって押収され、「ねこ庭」が紹介した部分だけは、一切発表してはならないと命令されたと言います。しかもこの遺言書は、6年経ってやっと家族に返還されましたので、言論の自由の本国のように言うアメリカが、このようなことをするのかと富田氏が憤っています。
首席検事のキーナンが決めたのか、マッカーサー元帥がそうさせたのか分かりませんが、彼らが発表禁止にした理由は理解できます。公の言葉は、「GHQの統治」と「東京裁判」への厳しい批判であり、怒りの表明だったからです。
復讐心にかられた戦勝国の人間と裁判官たちが、敗戦国の日本を、好き勝手に断罪したのですから、公には我慢がならなかったのでしょう。
何も語れない陛下に代わり、命と引き換えに公が代弁したばかりでなく、無力だった国民も代表し連合国軍に物申したと、「ねこ庭」からはそう見えます。
GHQ統治下の日本の状況を、苦々しそうに富田氏が語っています。
・急に平和論者ぶって、総司令部に入り浸っていると伝えられる人たちの名前も、よく聞いたものである。
・そうかと思えば、日本人の悪口を告げるため、司令部に日参している者もあるという始末で、無条件降伏したと同時に、恥さらしの日本となった時代でもあった。
・私は日本の政治家、軍人、言論人と言われる人たちにして、敗戦にあたり、周章狼狽するばかりでなく、わが日本を売り、わが同胞を裏切ることによって、生活の道を得んとする卑劣な根性の者が、いかに多かったかを知り、慨嘆に耐えないものがあった。
氏が語る裏切り者こそが、私がブログの中で、日々攻撃してやまない「反日売国の徒」です。もっと言えば、「獅子身中の虫」「駆除すべき害虫」で、彼らの大量発生は敗戦から始まりました。
・民主主義は、よろしかろう。
・しかしながら、人を陥れ人を裏切り、これにより自らの利益を得るというのは、民主主義以前の不道徳ではなかろうか。
氏の語る日本を、心に刻んでおきたいと思います。
・かかる輩が戦後すでに14年を過ぎて、なおかつ各界に、口をぬぐって、しかものさばっているとすれば、そんな日本の社会が、立派な成長を、なし得ようはずがないのである。
・今後の日本の正しく行く道は、終戦直後の破廉恥の是正から、再出発すべきものではなかろうか。
敗戦直後、責任をとって自決した将軍の名前は次の通りです。
将官だけを紹介していますが、佐官クラス以下の軍人を入れますと、もっと多くの数になります。敗戦に際し、自決した軍人がこれほど多いのは、日本だけに見られる現象だと聞きます。
今はご先祖様の中に入られた方々に対し、私は頭を垂れます。
阿南惟幾陸軍大将 割腹自決 寺本熊一陸軍海軍中将 割腹自決
大西滝治郎海軍中将 割腹自決 田中静壱陸軍大将 拳銃自決
島田朋三郎陸軍中将 拳銃自決 杉山元陸軍元帥 拳銃自決
本庄繁陸軍大将 割腹自決 宇垣纒海軍中将 特攻自決
反日左翼の政治家や学者、評論家たちは、軍人を十把一絡げにして罵ります。
「日本を破滅に導いた軍国主義者」「国民を苦しめた全体主義者」などと、自己の変節を棚にあげ、およそ見当はずれのへ理屈で、国民を煽動し続けています。
・今後の日本の正しく行く道は、終戦直後の破廉恥の是正から、再出発すべきものではなかろうか。」・・氏の意見に、「ねこ庭」は全面的に賛同致します。
恥ずべき輩の一部を、過日「変節した学者たち」と表題をつけ、「ねこ庭」で取り上げました。戦前は軍国主義だったのに敗戦後に平和主義者に変節し、GHQに媚を売った学者たちです。学界に巣食うこの「獅子身中の虫」の名前を、もう一度紹介します。
中野好夫 宇都宮徳馬 我妻栄 戒能通孝 家永三郎
宮沢俊義 横田喜三郎 末川博、
変節せず根っからの反日左翼学者は、久野収、大内兵衛の2氏です。
もしかすると敗戦後73年経った現在が、公の言われたその時でないのかと思えてなりません。
「これら一切の世論なるものもいつかは冷静さを取り戻し、正常に復する時も来よう。」
国民の多くがやっと「反日左翼」の捏造に気づき、「獅子身中の虫」どもの大嘘に疑問を持ち始めました。
腐れマスコミの筆頭である朝日新聞が読まれなくなり、売国NHKへの疑念が語られるようになり、自分の国の歴史を見直そうとする風潮が出てきました。「戦前への回帰」「軍靴の響きがする。」などと、売国の朝日新聞が得意の煽動記事を書いても、多くの国民が自分の頭で考え始めました。
「その時初めて、神の法廷において、正義の判決が下されよう。」
と、公が希望を託した時が今訪れようとしていると、そんな気がします。
今宵は、「呑める日」です。焼酎のお湯割りを、コップに一杯ゆっくりと飲みます。今晩見る夢は、近衛公でしょうか。著者の富田氏については、写真がありませんので夢に見ません。