4. 「伊藤貫の真剣な雑談 ( 第3回後半 )」 ・・「人間観察の保守3派 ~ 古典派が行きつく防御的リアリズムと民衆参加で出口を失った攻撃的リアリズム、反省なきエゴイストの覇権安定論」
新しい動画の紹介になります。やたらと長い副題がついているので、氏が力を入れている部分だと予測できます。今度から動画を先に見て、取捨選択して紹介する方法に変えました。結果として、二つの合い反する読後感を得ました。
〈 1つ目の読後感 〉
・この動画には、氏の主張のほとんどが凝縮されている。
・聞くに値する貴重な意見が、まとめられている。
・飾らない氏の気持ちと真剣さが、伝わってくる。
〈 2つ目の読後感 〉
・日本に関する説明は、氏が都合よく解釈した事実に過ぎない
・氏の意見は、アメリカかぶれの学者の意見である
動画の内容は、「伊藤貫の真剣な雑談 - 15 」・「伊藤貫の真剣な雑談 - 16 」・「伊藤貫の真剣な雑談 - 17 」 と重複していますので、紹介する必要があるのかにつき考え中です。
「ねこ庭」の目的は、氏に反論し批判することでなく、論破したいと言う、詰まらない対抗心でもありません。
失った日本の過去が、どうすれば取り戻せるのか。
大切な日本の独立が、どうすれば取り戻せるのか。
この切実な願いの上に立ちますと、氏の意見は遥か彼方のアメリカ人学者の一般論でしかありません。理由は過去のブログにつけた、サブタイトルが語っていますので、「ねこ庭」を訪問される方々のため再度転記します。
「伊藤貫の真剣な雑談 - 15 」・・( 祭りの薬売り )
「伊藤貫の真剣な雑談 - 16 」・・( 雑談以下の寝言 )
「伊藤貫の真剣な雑談 - 17 」・・( 寝言だらけ )
氏は日本の保守を一まとめにして罵倒し、軽蔑・批判しますが、私は氏に対しそれをしていません。惑いつつ、躊躇いつつ、是々非々の姿勢で耳を傾け、氏が本物の日本の保守人であればと、むしろ期待をかけています。
従って上記3つのサブタイトルは、私の怒りの言葉です。視聴者のコメントを読むと、ほとんどの人が氏を先生と呼び、国際的知識人と敬服しています。分かりやすい説明には正論が沢山あり、視聴者を虜にしますが、その点を理解した上で、なお「ねこ庭」では、「祭りの薬売り」の呼び名が消せません。
理由の一つを挙げますと、氏の意見が、「3つの思考段階 」と「国際政治の4つの構造」の論理の上に組み立てられているところにあります。この論理は氏が称賛してやまない、米国の著名な国際政治学者の意見を元に作られています。米国の頭脳と言われる彼らの意見ですから、理路整然としています。「3つの思考段階 」と「国際政治の4つの構造」を正しいと受け取る者には、氏の意見が正しいと聞こえます。
二つの理論に疑問を感じると、私のように氏が「祭りの薬売り」に見えます。米国の学者たちは歴代政府のブレーンとなり、外交政策や軍事政策に影響を及ぼしたのですから、世間的には大した学者たちとなります。
しかし彼らは、紀元前550年前に孔子が唱えた「儒教」と、儒教から生まれた「中華思想 ( 華夷秩序 ) 」について一顧だにしていません。彼らに言わせれば中華思想も、「覇権安定論」の一つに過ぎないのかもしれませんが、国際政治を語る上では欠かせない特異な思想です。
「日本は朝鮮を植民地にし、更に中国を植民地にしようと戦争をしましたが、もしも〈防御的な保守派のパラダイム〉を採用していたら、そんなことをする必要がなかったのです。」
「日本が朝鮮や中国を植民地にしても、自分の思うように作り替えることなどできるはずがありません。アメリカだって、失敗しています。」
アメリカの学者の意見にかぶれた氏は、「日韓併合」と「日中戦争」を愚かな政策として楽しそうに語ります。大東亜百年戦争という日本の保守層の意見を検討すれば、日本は最初から〈攻撃的な保守派のパラダイム〉を採用していたのでなく、強大なロシアの南下に危機感を抱き、中国・朝鮮と交渉していたことが述べられています。
日本が〈防御的な保守派のパラダイム〉から、〈攻撃的な保守派のパラダイム〉へと変わった背景には、中国と朝鮮が国是としていた「中華思想」と「儒教」があります。日本の保守と言われる人が知っていることを、氏は無視しているのか視聴者に説明しません。アメリカの学者たちの意見のままに、「日本は間違った外交政策と軍事政策を取った」と日本の過去を片づけています。
こんな氏にたぶらかされた、お人好しの視聴者のコメントをいくつか紹介します。
〈 コメント1. 〉
最高に勉強になる番組です!
〈 コメント2. 〉
日本の大学じゃどこ行ってもこれだけの講義は聴けないと断言します。 今の政治家と官僚がその証明です。
〈 コメント3. 〉
伊藤貫先生のご解説すごい。歴史とは、考え方深く考えないといけないと思いました。日本に必要な人です。ご尊敬も仕上げます。甦れ日本、甦れ日本人。
〈 コメント4. 〉
伊藤さんのようなことを言える保守が日本にいない。在米の伊藤さんが言えるのに、日本の保守論客はなぜ言えないのか。委縮し過ぎだろう
73件のコメントから選んだ4件ですが、ほとんどの視聴者が氏を褒め、結果として日本の政治家と役人、学者の批判をしています。トーンは違っていますが、結局は現在の保守政治家と保守層への批判で、反日・左翼と同レベルに並びそうな気配です。国民を反日へ誘導する人物を、果たして保守と呼べるのでしょうか。
視聴者が全員お人好しと思われてはいけませんので、両論併記の意味で、氏に異論を述べている普通のコメントも紹介します。
〈 コメント5. 〉
この人の話すこと、本当に面白い。割とためになる。何故、日本で有名人でないのかな?
〈 コメント6. 〉
相手があることですから、防御的なスタンスでは複雑になると思いますけれど、どうするのでしょうか。