田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

新連載 夕日の中の理沙子 1  麻屋与志夫

2008-11-23 08:54:52 | Weblog
 夕日の中の理沙子

                           麻屋与志夫


2月16日
日光から那須にかけての峰々が雪化粧をしている。
山々に囲まれた舟形盆地の、わたしの町神沼が美しい。
斜陽をあびて、街が下のほうで、紅色に染まっている。
紅色にそまっているのは、なにも景色だけではない。
わたしも、紅色。           
こころがはずんでいる。   
なんたって、コウジに会えるのだから。
走ってきた。 
走って停車場坂をのぼってきた。
ほほがほてっている。
動悸がする。
ドッキンドッキン心拍がたかなっている。
コウジのことをおもっている。
わたしの初恋。
神沼の夕焼けをコウジと、ふたりでみられなくなる。
あと、なんど、この大夕焼けをみられるのだろうか。
瞳に映った夕焼けをみつめあう。
シアワセな時はとぶように過ぎていく。
夕映えがきえてしまう。 
いそがないとと、斜陽が足尾山系の彼方にきえてしまう。
日光の山々が夕闇に溶けこんでしまう。 
いそがないと、思いでをつくれない。
そう、ちかごろのわたしは思いで作りのためにコウジとデイトしてるみたい。
悲しい。 
お別れだ。
かれとはお別れだ。  
わたしはイヤ。 
もういやだからね。  
別れたくない。
でも、ダメみたい。
ふたりの間が離れていく。
ふたりだけであえる時間がどんどんすくなくなっている。
それで……思いでホロホロ。
ずっとさきになって、いまのことを思いだして、懐かしむためにコウジとデイトしているみたい。
未来の思いでが、泣いている。    
もう毎日のようにコウジと会えなくなる。
恋する少女の勘はあたるんだから。   
運命だってみえてくるんだから。
星座占いなんかしなくても、カンジちゃうんだ。
ワカルンダ。
お別れだぁ。
そうおもうと、悲しくなる。
アブラカタブラ。   
時間よとまれ。
呪文をとなえながら夕映えのなかを、コウジのまつ『ソラリス』にいそいだ。
コウジとわたしの♡もエンドレスラブでありますように。
そう、ねがいながら、約束の場所にいそいだ。
街の東の台地。    
晃望台にある。
カフエレストラン『ソラリス』。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。