本日のBGM:
If I Ruled The World / James Brown (「Live in Dallas '68」)
引き続きJBの暑いボーカルでさらに夏ぽく休憩時間を過ごす。
ドラマ「天皇の料理番」最終回を見ていて気づいたことの1つは、もし『自発的隷従論』のような大衆がそれらを支えてしまっているとしても大概、戦争で上前はねて大儲けする死の商人や、秘密裡に食料を独占する軍上層部みたいな連中が、一番悪どいということ。もう1つは、日本人は黄色人種であって、やはり圧倒的に白人の人々には人種差別の目で見られているかも(下手すると、黄色人種より古くから西洋社会にかかわっている黒人の人々からも、日本人は国際的な後発者として蔑視されているかも)、という可能性があるらしい、ということだ。1920~40年代を描いたドラマは、そういう背景を諸所ににじませていた。
若者を国際化させて海外へ、などと文部科学省は軽々しく言う前に、しかもそれが一種の「棄民」政策か?などと疑われないうちに、外国人から見たら日本人が蔑視され差別を受けることがあるのだということも、歴史的な経緯としてちゃんと教えたらどうかとも思う。下手な「日本人は偉い」クールジャパンなテレビのバラエティ番組が増え気味なのも、そこまで言わんと未熟な自尊心が保てないのかと見えるくらい、なんとなく気味が悪い。エコノミックな技術立国の先進国の名誉白人か何かのつもりで尊大な顔をして行ったら、えらい恥をかくどころかそもそも大間違いかもしれない、ということは、それこそ19~20世紀の「近代化」のコンプレックスに満ち満ちた歴史が物語っているであろう。卑屈ではなく、しかし謙虚であれと。
ジェームス・ブラウンの若かった1950~60年頃だって、公民権運動の頃も白人と有色人種は建物の入口も座席の位置もはっきりと区別(差別)されて分けられていたのだし。(20150713)
本日のBGM:
There Was A Time / James Brown (「Live In Dallas '68」)
暑い時に冷やし麦茶をいただきつつ。聴きながら、部屋のごみを片づけたり、洗濯物を干したりする。こういう気象条件なので、無理に出かけないことにする。週明けの準備の宿題もまだまだ残っているし。
最近あちこちで題名をよく見かけるから話題になってるらしい、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』も借りて、読んでた。
台風9号の吹き返しか、夕方から強風が荒れ始め、雨も降り始める。朝から長崎側を通って北上していった豪雨の雲の塊が、すぐ近くまで来ているようだ。「雨がそっちで降ってる」風な湿った空気のにおいがしていて、風の轟音が聴こえる。(20150712)
本日のBGM:
Mother Popcorn / James Brown (「It's A Mother」)
忙しいといいつつ、先日仕事帰りに夜、映画「ジェームス・ブラウン ~最高の魂を持つ男~」(原題「Get On Up」)(2014、米)を見に行ってしまったw。帰ってきてからついついJBのCDを引っ張り出して原初的なやつばかりを聴いてしまうか、足りないと動画サイトでLIVE映像を見まくってしまう。
JBといえばジェームス・ボンドでもジェイソン・ボーンでもジャック・バウワーでもなく、ジェームス・ブラウンだろ!てな気分になる映画だ。圧倒的にファンクである。先月はわりとディスコぽいのを聴いていたけれども、それらがいかにも整いすぎてて小洒落たもののように感じられてくる。すんません、てな気分だ。比較にならんほど、こっちの方が熱い(暑い)。今週、熱中症の危険のありそうな気温の中で聴くと、またこれが暑いんだ。熱い上に、腹にずんずん来る。大脳より中脳や小脳に直撃で効く感覚である。「楽器というものはすべて、リズム楽器である」(!)という至言を、忘れてはいけない。LIVEシーンは単純に客席でノってしまった。やっぱり打ち込みよりもこの手の只事ではないBassとDrumsが好きである。
やはり天才的な人はいろいろ問題があるのか、という話でもあるが、それを越えて超絶な仕事を成し遂げてしまうところがえも言われぬ不思議さだ。ゴスペルってものの威力も感じた。文化的な違いもあって、あんまり宗教的なことは感じないのだが、凄まじく悲惨な状況において、どこかで「神が必ず守りたまふ」と自分に言い聞かせることができる心の持ち方、っていうのは、時として大事なのかもしれない(最近の日本では逆に「狂信的な」思考停止のカルトの権威主義の連中が多く見られるので、何事も警戒しながら引き気味に見ることが多く、何かを信じようとする時に常に「本物」か詐欺かを見極めようとし、心が一度冷える)。伯母さんがちょっと怖そうに見える人だったが、そのことを言い聞かせてくれているシーンがあった。一方ではBOSSなその分、強引で暴君的でやっかいなところもある。迷惑をかけられる方にしてみれば、たまったもんじゃないとも言えるけれど。映画を見ていて、人間「肚で生きる」ことと、それを知ることだな、と改めて考える。
伝記的事実とフィクションとが相半ばするようなファンタジーなところもある。主役のJB役の人が敢闘賞ものでがんばっており(後半になるに従って「じわじわと似てくる」のがなかなか凄い)、ボビー・バードが手堅くてよかった(※町山智浩氏のラジオの中か何かで、「やすきよ」の喩えが出てきたのを聞いた時は噴いた)のはもちろんだが、リトル・リチャードも「暗示的」な先輩ぽくて面白かった(意外と前髪クネ男的にインパクトが残る)。R&Bからファンクへ移っていくのも映画でわかり、聴いたことはあるが曲名を知らなかったもので、今回聴いてわかったのもあって、勉強にもなる。(20150711)