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野火について、そのレイテ決戦

2018-04-14 04:53:00 | 日本 戦争映画
太平洋戦争。ガダルカナル、インパール作戦と並ぶ地獄と化したレイテ島の戦い。
補給が断たれ飢餓に苦しむ中、追い詰めらた兵士。食物がない。あるのは人間の死体だけ……

市村昆版よりも人肉食というテーマを存分に押し出した塚本晋也版。
市村版だと歯が取れちゃうんですよね。塚本版は本当に食べちゃう。

後、主人公は生き残る。原作者の大岡昇平氏もレイテ島で捕虜になったみたいで実体験を元にしてるそう。
生き残ること。単純に言い表せられないのが物語の引きを良くしてますよね。

自ら主演もこなした監督の個性が強いからか、異世界。独特の雰囲気を持っています。艶やかさすらある……
人肉食自体が異文化というかどこか遠い世界の話に聞こえるようでいて、どうしても他人事には聞こえないそんな違和感。

今でこそ飢えることのない国で生きてますが、現代にも通じる極限の選択。
これを責められる人間はいないと思う。

ちなみに実際の太平洋戦争の人肉食はあくまで噂です。特に確たる証拠があるわけではないそうです。
レイテ島は8万4千の兵士が入り、5千人しか生き残れなかった過酷な戦場。それが許されるかってたら話は別なんでしょうかね……

主人公の田村はキリスト教って設定もあるみたい。それで小説では苦悩していたって。
これは市村版にも塚本版にもなかったんよなー。この設定活かしたらもっと面白くなってたのに。なんで使わなかったんだろ?

とはいえ、新旧でどっちにも良さがある映画。日本の戦争映画は悲惨さとかそういうのを伝えようとする作品が多いけど、野火はそんなんじゃないんすよね。
それ以上の、極限の世界。表面的な感傷ではなく人間性を問う作品になってます。ぜひ見てみてください。

では、また。


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