退職オヤジのひとりごと

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戦後史の正体

2023年02月20日 09時39分28秒 | 本を読みました


孫崎享氏の『 戦後史の正体 』という本を読みました。


今、遙か上空を飛ぶ「観測(偵察)バルーン」が世の中を騒がせています。

しかし、日本では2019年にその存在がネットに挙がっていました。


いま、騒いでいるのは、アメリカが騒いだからでしょう。政府もマスコミもです。

そこで、以前読んだのですが、この本(2012年発行)を読み返してみることにしました。

 

内容は、

序 章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか  
第一章  「終戦」から占領へ
第二章   冷戦の始まり
第三章   講和条約と日米安保条約
第四章   保守合同と安保改定
第五章   自民党と経済成長の時代
第六章   冷戦終結と米国の変容
第七章   9.11とイラク戦争後の世界


著者の孫崎享さんは駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使だった外交に通じた人です。

この本は、米国からの圧力を受けた日本が「対米追従」か「自主」かを基準に、戦後外交の歴史を見直したものです。


そのなかで「自主派」(積極的に現状を変え用途米国に働きかけた)の首相は、
 重光葵、石橋湛山、芦田均、岸信介、鳩山一郎、佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫、宮沢喜一、細川護熙 と挙げています。
「米国追従派」(米国に従い、そこから国益を得ようとした)には、
 吉田茂、池田勇人、三木武夫、中曽根康弘、小泉純一郎、海部俊樹、小渕恵三、森喜朗、安部晋三、麻生太郎、菅直人、野田佳彦 を挙げています。

上記に挙がっていなかった鈴木善幸、竹下登、橋本龍太郎、福田康夫は「一部抵抗派」(特定の問題については米国に抵抗した)としています。

 


興味深いのは、戦後長期政権の首相は、そのほとんどが「米国追従派」で占められ、「自主派」の首相は、その多くがスキャンダルで退陣していることです。

 

現在の岸田文雄首相は「米国追従派」に間違い有りませんね。

 

話が逸れましたが、著者が『高校生でも読める本』と謳っているだけあって、読みやすいしわかりやすいものでした。


多くの文章が印象に残るものでしたが、一番は石橋湛山蔵相が言った

『あとにつづいて出てくる大蔵大臣が、おれと同じような態度をとることだな。そうするとまた追放になるかもしれないが、まあ、それを二、三年つづければ、GHQ当局もいつかは反省するだろう』

でしょうか。

これは、戦後処理費を増額したGHQ(米軍)に対し、真っ向から反対の書簡をマーカット(マッカーサー側近)に送ったが為、公職追放されてしまった時の発言です。(当時のGHQは「日本人の生活水準は、自分たちが侵略した朝鮮人やインドネシア人、ベトナム人より上であっていい理由はない」という占領政策だったようで、餓死者も出たようです。吉田茂首相は石橋大臣を守ってくれませんでした)

 

今現在、こんな覚悟の官僚や政治家は居るのでしょうか。

 

戦後史を語る上では必読の書だと思います。