米田憲司氏の『 御巣鷹の謎を追う 』という本を読みました。
別の著者による日航機事故に関する本を読もうと探したものです。
本屋に行ったのですが、すでに絶版となっていました。
その足で、古書のチェーン店で探したが見つからず、図書館に出向きました。
図書館でも無かったのですが、図書館のネットワークで他市にあるものを取り寄せて頂き、やっと読むことが出来ました。
内容は、
はじめに
第一章 墜落現場をめざして
第二章 墜落現場確認はなぜ遅れたのか
第三章 米空軍アントヌッチ中尉の証言
第四章 ボイスレコーダーの分析
第五章 事故原因の真相究明
第六章 事故調査委員会のあり方
第七章 遺族の思い
あとがき
というものでした。
第一章は、新聞記者目線で取材した記者について書かれています。
第二章は、墜落現場の特定が遅れたことについての考察。
第三章は、墜落現場にいち早く到着した米空軍輸送機に乗務していた航空機関士マイケル・アントヌッチ氏の証言をベースに描かれてます。(米軍ヘリは墜落2時間後には救助できたのに、日本の救助隊が到着したのは墜落12時間後だった)
第四章は、ボイスレコーダーの解析は難しい作業出あることの説明。
第五章は、航空事故調査委員会の調査は結論ありきで、調査がそのものが不十分であると知れました。
第六章は、諸外国と違い日本の事故調査委員会は独立した機関ではなく、国土交通省の職員で現場経験の無い人たちの集まりと知れた。航空会社に不利な要素に関しては「原因不明」としてしまう傾向にあるようです。
第七章は、遺族と、遺族でありながら日航関係者であるが為に非難に晒された方々などの思いを綴っています。
特に印象に残ったものの一つに、
元日本航空パイロットである杉江弘氏の「・・・人間はミスを犯すという前提で安全対策を講じるようになった今日の考え方からすれば、事故調はミスをおかさないという前提はおかしい。事故調査の目的は、原因の特定ではなく、再発防止にあるのだから、もっと率直に議論をすればよいのである。」という言葉がありました。
日本では事故調査と犯罪捜査の区別が出来ておらず、事故調査が犯人捜しになっていて、「日本の事故ではパイロットは真相を話しにくくなる」と教育しているアメリカの航空会社もあるとのこと。
杉江氏の言葉が重く感じられました。