時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

LSA 4 Rio Grandeを見た(?)

2006年01月15日 | 旅行記
結局ろくに観光はせずに終わりました。その顛末などを書いて今回の旅行記みたいなものを終えます。

 話しがちょっと戻ります。ポスターは12月30日にいちおう完成していたのですが、追加のデータを分析していた1月1日、測定データに対するいくつかの分析のうち最後のものについて、「この分析の手法は正しくない!」と気づきました。まったくでたらめをやっていたわけではないし、やり直し後の結果も大きくは変わりませんでしたが、理論上より正しい分析をした方が、自信を持って発表できることは間違いない。迷った末、2日寝ずにやれば間に合うと判断して、すべてやり直しました。

 2日合計で4時間くらいは寝られました。修正したデータを差し替えポスターを完成させたのは、出発する4日の朝1時過ぎ。仮眠をとって3時におき、4時に家を出て図書館でポスター印刷をしたので、もう到着した日はヘロヘロ。私の場合体調を戻そうと思ったら、運動して、食って、寝るのが一番なので、アルバカーキでもジョギングをしました。発表の翌朝は、空港のある山側の小高い所まで走りました。山に囲まれた盆地にあるアルバカーキ。旧市街地で川沿いの低地にあるので、市街地が睥睨できました。あまり成功ともいえない発表のあとでしたが、気分転換になり、その後の学会を楽しもうと思えました。

 この街は色からしてBloomingtonと全然違う。Bloomingtonは緑。木がいっぱいで、もともと森だったところを切り開いた、という感じ。アルバカーキは黄色。砂漠の中の街。木がなくて、毎日快晴で、遠くまで見渡せる。Bloomingtonはある意味特殊なところだと思います。アメリカにいるというよりはアメリカの大学という特別な環境にいるという感じ。あんまり暮らしやすいので、異国にいる緊張感も抵抗感もあまりないのですが、ここへきて初めて「アメリカに来た」という実感がしました。

(写真は学会会場のConvention Centerです。これで見ると木があります。が、山肌も背の低い草や低木があるだけで、全体の印象は本当に黄色です)

 最終日、Jungsunさんの発表だけ聞いて会場を抜け出し、観光地になっているOld Townというところまで歩きました。ここでも、一番古い定住地は川沿いだったらしく、会場からおよそ3キロ、Rio Grandeに向かって歩きました。歩いた道はRoute 66というシカゴからL.A.までを結んでいる歴史的な道だとか。だんだんスペイン語で書いてあるレストランが増えてきましたが、日曜日で閉まっているところが多い。長距離バスのターミナルがあって、ちょうどL.A.行きのバスが出るところ、見送りに着ている人たちの言葉もスペイン語。

 で、目的のOld Townの看板があるところには来たのですが、観光用の場所がどこか分からない。その近くに「行ったら危ない」という地域があると聞いていたし時間もないので深入りは避け、そのまままっすぐ歩いてRio Grandeを見てきました。たいした幅もない、浅くて土で黄色く濁った川。本当にRio Grandeを見たのか、確信がありません。首をひねりつつ、でもRio Grandeを見たということにして、満足して、近くのスーパーでTシャツ買って帰りました。車で45分のところにサンタフェという観光地があるそうで、行った人もいるみたいですが、観光はまたの機会に。

 あとはBrian、Stevenと一緒に乗り合いシャトルで空港へ行って、今回の旅はおしまい。と思ったら、帰りの飛行機で、もう一つ出会いがありました。ダラスからの便で隣の席に座った女性が話しかけてきてくれて、Indianapolis到着までずっと話し込みました。Debbyeという名のその女性はIUの卒業生でIndianapolis在住、フリーライターをしています。ルポ、他人の原稿のリライトなどが主な収入源ですが、現在個人の本も執筆しているのだそうです。それは、去年亡くなった彼女のお母さんに誓った本で、死を迎えることが確実な人の看護がテーマだそうです。出版にこぎつけられるか分からないという話しでしたが、「本が出たら見つけられるように」とお願いして、フルネームを教えてもらいました。

 空港からはBrianが車で運んでくれました。学部生の授業も担当する彼はフィリピン系なのだそうです。彼はぶっきらぼうで怖そうに見えるのですが、実は親切ないい人でした。そういうことが分かるのも、学会のような特殊な状況のよさだと思います。お金はもちろん、家まで直接着けて、助かりました。

 振り返ると、とくに評価されたわけでもなく、自分の存在はほとんど知られないまま終わったのですが、いろんな人と会えて、学会の雰囲気も分かり、自分の大学の人のともたくさん話せた。発表については、ともかく最後まで持てる力を出し切ったと思います。自分の現時点での力も確認できたし、留学後、早い時点で今回のようなことを体験できて、本当によかったと思っています。申し込みを勧めてくれたNさん、サポートしてくれた先生に感謝。帰った次の日から春学期に突入しました、次回以降また報告しようと思います。