時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

「日本人」の知らない「日本語」

2006年01月26日 | 
今週、言語学科の大学院生の読書室、兼談話室、兼郵便ファイル部屋、兼....(つまりは他に部屋がない)で台湾人の院生二人(Jung-yuehとYen-chen)と話していました。三人とも各自のお弁当を持参。ちょうど彼女たちが食べていたバナナを中国語でなんと言うかという話しから外来語の話になって、で彼女が日本語からの借用語もいろいろあるんだよ、と話し始めました。聞くと、たしかに日本語に間違いないものがいくつか。さらに、よく使う日本語のフレーズを教えてくれたのですが、それが、

「頭コンクリ」

です。私は即座にげらげら笑い出しました。で、「聞いたことがない」というと彼女は驚いていました。「馬鹿、という意味だよ」と言うので、「わかるわかる、意味はすぐ分かったけど、聞いたことがない。日本でも言う人はいるかもしれないけど、広く知られてはいないと思う」と答えました。これのインパクトがあまりに強く、他は全部忘れました。

確信はないので帰ってからgoogleで検索してみましたが、ぞろぞろ出てきた。でもそれは日本で使われてるのではなくて、台湾で使われてるんですね。日本統治下時代に誰かが教えたんでしょうか、むこうで勝手に作ったんでしょうか。ご存知の方がいたら教えてください。

教えてくれたJung-yuehは動揺していたと思います。当然知っていると思って口にしたら、私が大ウケした上で、「知らん」と言ったからでしょう。もちろんバカにしたわけではなく、その表現が実に分かりやすくインパクトがある上に、彼女が中国語なまりの日本語で「頭コンクリ」と発音したときの、かわいいともなんともつかない「味」がおかしくてたまりませんでした。気の毒なことをしたかもしれません。

というわけで、またもや自分の知らない「日本」を教えてもらいました。これは「日本」ではないかも。でも「日本語」だと言ってもいいとは思います。いわゆる「日本人」が使うものだけが、「日本語」でもないでしょうから。

ついでに:「いわゆる」で思い出しましたが、こちらの人が会話をするときに、ときどき両手を顔の横に持ってきて(お釈迦様の上げた手のようなポーズを両手でやる)、人差し指と中指だけを曲げたり伸ばしたり動かすのが気になっていました。しばらくは謎のままあまり気に留めなかったんですが、だんだん分かってきました。もうすでにお気づきの方もいると思います。

誰かに聞いて確認したことはありませんが、あれは引用符(" ")を表現するポーズのようです。「この単語を使うことが適切かどうかは保留するけど、いわゆる「×××」ね」という意図で使うらしい。上の例で言えば、「日本語」とか「日本人」を口にする時、同時にこのポーズをする。「何をもって「日本人」というかは保留するとして、いわゆる「日本人」ね」というメッセージを伝えられる、ということみたい。彼らにとっては普通みたいですけど、ヘンです。私にはカニの真似をしてふざけてるように見えてなりません。