時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

エベレストで見られる地球温暖化の影響

2012年03月25日 | 
昨日もScience FridayのPodcastを聞きながら走りました。後半がエベレストについて。二人の科学者とConrad Ankerという登山家がゲスト。このあとすぐ3度目のエベレスト登山に赴き、高地での身体への影響の詳細なデータを採る予定、とのこと。会場のお客さんからの質問を受け付ける、というここのところ続けて放送しているシリーズ。以下のNPRのサイトに音声とトランスクリプトがあります。

Mount Everest Still Holds Mysteries For Scientists

その前半、本題に入る前に、ホストのアイラさんが「Just anecdotally」(厳密な研究結果じゃなくて、個人の体験として、というレベルでいいので、ということでしょうか)と断った上で、「地球温暖化の証拠は見つかるんですか?」と質問、答えは、全く確信に満ちたものでした。以下にその部分を引用します。

Oh, it is tremendous. How do mountains hear? It's with mountaineers. It's a silly little joke. But what we're seeing up there is scary and frightening. Routes that were climbed in the 1970s have melted away. The high-altitude cryosphere, which is the ice that holds these mountains together, is receding at an alarming rate, and we see it as climbers all over the place. And it's something that - it's our duty as climbers to come back and share this knowledge because it's happening for real. And if you play golf and you're in Kansas, it's in an artificial environment. But where we are, high-altitude and high-latitude areas are being affected by climate.

たいへん僭越ながら、和訳したいと思います。重要だと思うので。

ああ、すさまじいものです。「山に耳はあるか? 登山者が耳だ(うまく訳せませんが)」というのはただの冗談ですが、高山で目にするのは恐ろしい光景です。1970年代に登っていたルートは(みんな)融けて消えました。高地の氷雪圏、この氷が、山の地面を(崩落しないよう)保持する働きをしているのですが、これが驚くべき速さで後退しています。登山をすると至る所でこの現象を目にします。そしてこれは... 山から帰って見てきたことを知らせるのが登山者としての義務です。現実に起こっていることなのですから。カンザスあたりでゴルフをしたとしたら、そこは人工的な環境です。しかし、われわれが赴く高地は気候の影響を(もろに)被っています。

最近のPodcastで地球温暖化のことが何度か話題に上りました。米国で「地球温暖化は仮説の一つに過ぎない。それを支持するかしないか、理科の授業で議論させろ」という圧力をかける団体、生徒の親などがいて、理科の授業が非常にやりにくくなっている、というのが話題の焦点でした。自分たちの利益追求を妨げる動きに揺さぶりをかけ、阻止する有効な手段として、科学が標的になっているらしいのですが、Podcastに登場する科学者たちの意見を聞くと、もう地球温暖化は「議論の余地のない現実」というレベルのようです。上記のものも、「Anecdotal」ではあるのですが、他にも高地での変化は報告があるようだし、おびただしく得られる証拠の一つといえそうです。

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