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PAP-JAPAN代表、川井眞理のお仕事(以外もてんこ盛り)日誌

老後の自立と自律

2007-05-09 | シニア情報
日曜日に見逃したNHKスペシャル「激流中国゛老人ホーム家族の記録゛」を深夜の再放送でやっと観ることができました。
(しかし、うっかり母と一緒に観ないでホントに良かったです)

舞台は青島市老年公寓という、いわゆる老人ホーム。
老親を養うのは子の義務であり美徳だった中国は今、大変革の只中にあり、親と暮らせない(暮らしたくない)中年の子どもたちが次々と親を老人ホームに送り込みます。

子や孫に囲まれて大家族で老後を過ごすつもりだった老人たちは、子の事情がわかるからホーム入居を承知したものの、本音では全く納得していないのです。

欧米式個人主義の発想とは無縁の60代後半70代後半の親たちは゛棄老゛された哀愁を漂わせ、言葉少なく目も空ろな姿をカメラの前にさらし、インタビューに答えるものやっと。
口をついて出てくるのは「生きていても仕方がない」の言葉ばかりです。

視聴者は当然自分の立場から番組を観るでしょう。
「大家族で子や孫と一緒に暮らすのが幸せ」という意識が余りにも強く刷り込まれてしまっている中国の老人たちは、老後の(生き方の)テーマなどは持たないようです。

歴史・文化の違い、国民性の違いやら色々な要素があるので軽率なコメントは発しませんが、゛一昔前の日本の養老院゛といった雰囲気が強く印象に残りました。
一人の老女は「私たちは子どもに面倒を見てもらえない最初の老人だ」と言いました。

長生きをすることになったら、いや、本当の長生きをしなくても平均寿命が伸びた時代に生きる者として、年齢に関わらず経済的にも精神的にも「一人で生きられる自分を作っておく」ことの大切さをひしひしと感じました。

特に親しい人との多くの別れが避けられなくなる老後にこそ、よけいに精神力の強さが問われると思います。
体力の衰えとそこから来る気力の衰えは仕方がないとしても、初めから精神生活を自分以外の他者に全て委ねることは、本人にとっても子世代にとっても決して幸せを招かない――そんな思いを抱きました。