特別展 金剛宗家の能面と能装束
三井記念美術館
2018年6月30日~9月2日
京都の金剛流宗家が所蔵される能面と能装束の展覧会です。幽玄の美を象徴する優品の多くは、東京では初公開となります。
なかでも豊臣秀吉が愛蔵した小面三面「雪・月・花」のうち「雪」が同家に伝わっており、今回この「雪の小面」と、当館が所蔵する旧金剛宗家伝来の「花の小面」 (重要文化財) が久方ぶりに再会します。
8/15 行きました
ゆったりした1階ロビー
特別展 「金剛宗家の能面と能装束」
世俗から抜け出て 異次元空間へ。
エレベーターで会場まで上がります。
まずは、映像ルームで 能面についての概要を見ましょう。
知らないことばかりなので、参考になります!
エントランスロビーに飾られた
「剪綵(せんさい)」の衝立
能「熊野」の一場面を描いたもの、
平宗盛の寵愛を受ける熊野が、花見車に乗って清水に向かう。
今回は、たくさんの能面を見ました。
能面といって真っ先に思い出すのは、美しい女性の顔の面。
貴重な「雪の小面」と 「花の小面」(重要文化財)が並びます、どちらも魅力的。
雪ちゃんの方があどけなくかわいいかな。(*^_^*)♪
(三井記念美術館1Fポスター雪の小面)
めも:2018/08/15 CX2 で撮影
他にも、「孫次郎(ヲモカゲ)」(重要文化財)をはじめとして、若い女性から順に年を経ていく女性のたくさんの面が飾られています。
映像で紹介されていたように
能面は、見る角度で全然表情が変わります。
のっぺらとした昔風美人の顔も思いのほか凹凸があり、横から見ると引き締まった表情になります。
また上唇と下唇の付き方の具合で 上を向いた角度とうつむき加減では、心象までがガラリと違うのです。
ついつい展示ケースの前でしゃがんだり背伸びしたりしてしまいました。
演者が能面をつけて舞台で演じるときには、いろんなことを見るので 面だけをそこまでよく見たことはありません。
貴重な体験でした! (*^_^*)♪
とにかく 入ったすぐの『展示室1』を行きつ戻りつしながらそれらを見比べて、
作者や演者の思い、観客に伝わることは何か、などを じっくり味わいました。
展示室2~5は、翁(老人)や目を剥いた人、グッと口を閉じた人、若い男の子などが並びます。
翁面、尉面(じょうめん)、悪尉面(あくじょうめん)、男面、鬼神面(きしんめん)です。
展示室4には、女性が煩悩から鬼になった「般若の面」が並び鬼気迫るものがありますが、中でも迫力は 今まさに鬼にならんとする女性の面です。
最近、TVで日本のサスペンスドラマの再放送をよく見るのですが、
やむにやまれぬ事情から悪に染まる人の顔も、そこに見えるようです。
展示室6~7は、能装束と小道具の展示。 素晴らしい!
豪華な衣装は 普通の人が着るには大きいのでは? と思いますが、
鍛えられた能の演者は、見事に衣装をまとい異次元空間を作り出すのですね。
たまには 能舞台に行きたいな! と思いながら会場を後にしました。
剪綵 Textile cutout
剪綵とは、まず下絵を描き、これに紙で裏打ちを施す。線描の部分を残して紙を剪抜き、残った線に金泥を塗る。そして、剪抜いた空白部分に裂地を貼り付けるという工程で制作される。
もともとは中国の工芸品であったが、明治初年に北三井家8代高福(1808~85)が創意工夫を加え、「高福剪綵」と呼ばれるようになった。
一時期高福剪綵の技術は衰退したが、同家11代高公夫人 三井鋹子(1901~76)が中心となって復興させ、以後三井家の奥方によって継承された。