Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

授業で勝負すること

2006年05月23日 | Weblog
2006年5月22日早朝,大阪市の市立中学校で「ガラスが割れる音がする」と通報があり,駆け付けた警察官が校舎1階の窓に石や植木鉢などを投げ付けている同校2年の女子生徒3人を発見,逮捕・補導などした。3人は「勉強についていけず,むしゃくしゃしてやった」などと話している。

子どもたちのとった行動は言語道断である。認めることはできない。しかし,彼女らの「勉強についていけず,むしゃくしゃしてやった」という動機を考えると,このような状況にまで子どもたちを追い込んだ学校の学習指導について考えないわけにはいかない。

彼女たちは日々の授業でどれだけ追いつめられていたのだろうか。彼女たちは「わかる」ことをどれだけ求めていただろうか。それを思うと,胸が締め付けられるように痛い。中学校の教員を責めるという意味ではない。我々教育に携わる人間は,授業が持つ意味をこれまで以上に自覚し,授業を通して子どもたちに確かな学力を保障しなければならないということだ。

これまで放映された,学校が舞台になるさまざまなテレビ番組では,いつの時代も庶民の願いを反映した教員が登場する。そして必ずと言っていいほど,教員の人間性,人としてのあり方が注目される。だから,教員が人間味豊かな人物であることはもちろん我々庶民の願いであり,否定はできない。

ただ,それ以上に大切なのは,そして学校で最も大切にしなくてはならないことは,日々の営みである授業の質がどのようなものであるかにこそある。授業を行った結果として,授業を行わない自然状態に比べて「より良く変化する」事実があってこそ,授業を行う意味があるのだ。それだけ,日々の授業は重いことに気づかなければならない。授業の追究を忘れて,人間性で人を教育しようなどと考えるのは,傲慢でしかない。教育のプロであるなら,授業で勝負すべきだ。
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