諸君、脱帽したまえ江崎昌子 は 本物だ!!
本日昼、東京文化会館で開催された 江崎昌子ピアノリサイタル は、
- 「ppp」まで【指だけで描く】超絶技巧
- テンポ & ダイナミクス の「全体設計」の確かさ
がはっきり聴き取れた演奏会。 前半の シューマン「ダヴィッド同名舞曲集 作品6」 と 後半の ショパン「マズルカ11曲連続演奏」が最も聴き応えがあった。
・・・というよりも、これだけの シューマン & ショパン を弾ける人は(日本人に限らず)極めて少ない。 ショパン「マズルカ」をこれほど素晴らしく弾けるピアニストは、世界中探しても キーシン くらいしか思い浮かばない。本日、(時間的に無理なために)演奏できなかった他の40曲余りのショパン「マズルカ」も是非是非ナマで聴かせてほしい。
単に「ポーランド帰り」ではないピアニスト = 江崎昌子 である。 CDで聴いて「世界クラスか?」と思い、本日スケジュールを都合つけて初めて演奏会を聴いて見たが、
- CDを遙かに凌駕するダイナミクスの巾
- 【指だけで紡ぐppp】の集中力!
- 隣り合う楽曲が「映える」テンポ設定
が素晴らしい。
- 生誕250年 = モーツァルト
- 没後150年 = シューマン
が前半に組まれたが、シューマンの素晴らしさは、今まで聴いたナマ演奏中最高!
江崎昌子 は、「fff」は(音の汚さを避けていると推測されるが)無いが、充分に「ff」までを奏で、【指だけで】ppp まで表出する。
その上に「左ペダル」の【ぼやかし】が来る。 聴いていない人は信じられないだろうが、
- シューマン「ダヴィッド同盟舞曲集」では
- 全18曲中
- 前半は「1度も」左ペダルを使わずに
- 第11曲で 初めて「ぼかし」目的で使用
である。 う~ん、指だけでも「ダイナミクスの巾 = 絶大」のピアニストがさらに表現の巾を広げている!
また、マズルカのリズムコントロールの絶妙なこと! 数種類ある マズルカの「固有リズム」をこれほど愉悦感を持って弾くピアニストは他にいるのだろうか? 昔々の ルービンシュタイン くらいしか思い浮かばないほどだ!
江崎昌子 の「ナマ演奏」を聴いてない人に伝えることは、極めて難しい。CDに収録されている魅力よりも 100倍 くらい魅力あるからだ。(地方公演を除くと)次回東京公演は発表になっていないが、今から待ち遠しくてならないピアニスト = 江崎昌子 である。