本日はD784の「楽曲解説」の第1回である。
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この曲の「楽曲解説」を読む度に「不思議」に感じる。最も大切なことが書かれていないからだ。それは、
●「循環ソナタ形式」のピアノソナタである
ことに全く触れられていないこと!!
シューベルトが
・「さすらい人幻想曲」D760 にて
・「循環ソナタを発明」したことは
・「音楽史上の大発明」の1つであり
・リストやフランクなどの偉大な後継者により受け継がれた音楽史上の財産
と言うことは有名。シューベルトの「循環ソナタ形式」の楽曲としては「さすらい人幻想曲」以外には
・弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」D810
のみが超有名だが、本当にそうか?
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シューベルトの「明らかに循環ソナタ形式」の曲を列挙する!
1.「さすらい人幻想曲」ハ長調 D760(1822.11 ← 主題の関連が最も強い)
2.ピアノソナタ第14番イ短調 D784(1823.02 ← 主題の関連が極めて強い)
3.ピアノ五重奏曲イ長調 D667「ます」(おそらく間違いなく 1823夏 ← 主題の関連が極めて強い)
4.弦楽四重奏曲第13番イ短調 D804「ロザムンデ」(1824.02~03 ← 主題の関連がこの7曲中では最も弱い曲)
5.弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D810「死と乙女」(1824.03 ← 主題の関連が最も強い)
6.ピアノソナタ第20番イ長調 D959(1828.09 ← 主題の関連が極めて強い)
7.ピアノソナタ第21番変ロ長調 D960(1828.09 ← 主題の関連が極めて強い)
となる。この手の試みは、シューベルトは若い頃から実行していたが
1.弦楽四重奏曲 変ホ長調 D87(1813.11)
2.ピアノソナタ ホ長調 D459A(1816?)
では、必ずしも成功したとは言えなかった。この2曲については、出版を試みた形跡も無いので「自分の代表作」とは少なくとも、31才で没するまでのシューベルトは考えられなかったようである。(最後の「3大ソナタ」の売り込みの逸話は有名であり、かつ、作品120(D664) と 作品122(D568) の2曲のピアノソナタはシューベルト本人が生前に売り込み済みだった様子である。)
しかし、D784 は誰が楽譜を読んでも「循環ソナタ形式」としか思えない曲なので、これまでの「楽曲解説」にて、全く触れられていないことは奇妙でさえある。この名作ソナタ(← 評価は極めて高い!)に「名演中の名演」が存在しないのは、もしかしたら「解釈の問題」を内在しているのかも知れない。
佐伯周子の演奏は「循環ソナタ形式の名曲」として演奏されていることを、ここに報告しておきたい。続きは明日号にて。
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シューベルト 初の「循環ソナタ形式」のピアノソナタ = D784
この曲の「楽曲解説」を読む度に「不思議」に感じる。最も大切なことが書かれていないからだ。それは、
●「循環ソナタ形式」のピアノソナタである
ことに全く触れられていないこと!!
シューベルトが
・「さすらい人幻想曲」D760 にて
・「循環ソナタを発明」したことは
・「音楽史上の大発明」の1つであり
・リストやフランクなどの偉大な後継者により受け継がれた音楽史上の財産
と言うことは有名。シューベルトの「循環ソナタ形式」の楽曲としては「さすらい人幻想曲」以外には
・弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」D810
のみが超有名だが、本当にそうか?
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シューベルトの「明らかに循環ソナタ形式」の曲を列挙する!
1.「さすらい人幻想曲」ハ長調 D760(1822.11 ← 主題の関連が最も強い)
2.ピアノソナタ第14番イ短調 D784(1823.02 ← 主題の関連が極めて強い)
3.ピアノ五重奏曲イ長調 D667「ます」(おそらく間違いなく 1823夏 ← 主題の関連が極めて強い)
4.弦楽四重奏曲第13番イ短調 D804「ロザムンデ」(1824.02~03 ← 主題の関連がこの7曲中では最も弱い曲)
5.弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D810「死と乙女」(1824.03 ← 主題の関連が最も強い)
6.ピアノソナタ第20番イ長調 D959(1828.09 ← 主題の関連が極めて強い)
7.ピアノソナタ第21番変ロ長調 D960(1828.09 ← 主題の関連が極めて強い)
となる。この手の試みは、シューベルトは若い頃から実行していたが
1.弦楽四重奏曲 変ホ長調 D87(1813.11)
2.ピアノソナタ ホ長調 D459A(1816?)
では、必ずしも成功したとは言えなかった。この2曲については、出版を試みた形跡も無いので「自分の代表作」とは少なくとも、31才で没するまでのシューベルトは考えられなかったようである。(最後の「3大ソナタ」の売り込みの逸話は有名であり、かつ、作品120(D664) と 作品122(D568) の2曲のピアノソナタはシューベルト本人が生前に売り込み済みだった様子である。)
しかし、D784 は誰が楽譜を読んでも「循環ソナタ形式」としか思えない曲なので、これまでの「楽曲解説」にて、全く触れられていないことは奇妙でさえある。この名作ソナタ(← 評価は極めて高い!)に「名演中の名演」が存在しないのは、もしかしたら「解釈の問題」を内在しているのかも知れない。
佐伯周子の演奏は「循環ソナタ形式の名曲」として演奏されていることを、ここに報告しておきたい。続きは明日号にて。