本日は、循環ソナタ形式の各「主題の関連」について述べる。
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ピアノソナタ第14番イ短調D784 の 6つの主題の関連は以下の通りである。
以上の通りである。
「さすらい人幻想曲」ハ長調 D760 に比べても遜色ない、統一感があり、「循環ソナタ形式」の傑作だ!
・・・のハズが、なぜか評価が高まらなかった。この原因はいくつか考えられるが
などが有力。おそらく、「3」と「4」の複合要因のように私高本は感じる。
だからである。
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D784 の 全6主題の緊密な関連
ピアノソナタ第14番イ短調D784 の 6つの主題の関連は以下の通りである。
第1楽章第2主題
- 第61小節 → 第1主題第18小節 の 音型
- 第62小節の 2番目~4番目 → 第1主題冒頭 2番目~4番目の音型
- 再現部冒頭第219小節 → D784初の「3連符」 → 残り2楽章に大いに活用される
第2楽章第1主題
- 第1小節 → 第1楽章第2主題第68小節音型 の変形
- 第4小節1拍目裏~2拍目の最後まで → 第1楽章第1主題第6小節3拍目~第7小節 の変形
第2楽章第2主題
- 第21小節2拍目からの「3連音」型 → 第1楽章第2主題再現部第219小節 の変形
- 第21小節の上行音型 → 第1楽章第2主題第68小節 の変形
- 第27小節の「4連打」音型(右手も左手オクターブも) → 第1楽章第2主題再現部第219小節 の変形
第3楽章第1主題
- 第1小節3拍目右手アクセント + 第2小節3拍目右手アクセント & 第2小節2拍目左手アクセント + 第3小節2拍目左手アクセント → 第1楽章第1主題第18小節 = 第1楽章第2主題冒頭第61小節
- 第11小節2拍目~第13小節1拍目の同音連打 → 第1楽章展開部第124小節からの8連打 の変形
第3楽章第2主題
- 第51小節~第52小節冒頭1拍目 → 第2楽章第1主題第4小節 の音型の変形
- 第52小節のソプラノ音型 → 第2楽章第2主題冒頭第21小節 の音型の変形
以上の通りである。
「さすらい人幻想曲」ハ長調 D760 に比べても遜色ない、統一感があり、「循環ソナタ形式」の傑作だ!
・・・のハズが、なぜか評価が高まらなかった。この原因はいくつか考えられるが
- シューベルトが生前出版に売り込まなかった。ゆえに「自信作」とは考え難い。
- 全楽章を「ソナタ形式」としたモノの、少々「凝り過ぎ」の傾向があり、後世のスカな音楽学者には「ソナタ形式には読み取れない」まま150年以上が過ぎた
- 舞踏楽章 (スケルツォ または メヌエット)が無く、楽章数が物足りない
- 「歌曲の主題による変奏曲」が 1822年~1824年の「循環ソナタ形式楽曲」の成果であるのに、D784 だけが「歌曲の主題による変奏曲」を有していない
などが有力。おそらく、「3」と「4」の複合要因のように私高本は感じる。
- 他のこの時期の「循環ソナタ形式楽曲全て」が
- 全4楽章であり
- 「歌曲の主題による変奏曲」が緩徐楽章!
だからである。