「演奏会用練習曲」ジャンル の創始者 = ショパン
「演奏会用練習曲」と言うと、リストの「3つの演奏会用練習曲」「2つの演奏会用練習曲」などを思い浮かべる人も多いが、実は
ショパンが作り上げた新しいジャンル
である。 1810~1811年に生まれた 3人のロマン派ピアノ作曲家の主な「練習曲」の作曲年代を並べてみてみよう。
【ショパン】
- 12の大練習曲 作品10 → 1829~1832年作曲
- 12の練習曲 作品25 → 1832~1836年作曲
- 3つの新しい練習曲 → 1839年作曲
【シューマン】
- 6つのパガニーニ練習曲 作品3 → 1832年作曲
- 6つのパガニーニ練習曲 作品10 → 1833年作曲
- 交響的練習曲 作品13 → 1834~1837年作曲
【リスト】
- 48の練習曲(実際は12曲) 作品6(ドイツ版は作品1) → 1826年作曲(ツェルニーの「指の練習曲」の延長線の作品)
- 24の大練習曲(実際は12曲) → 1837年作曲
- パガニーニの超絶技巧による練習曲(6曲) → 1838年作曲
- 3つの演奏会用練習曲 → 1848年作曲
- パガニーニ大練習曲(6曲) → 1851年作曲
- 超絶技巧練習曲(12曲) → 1851年作曲
- 2つの演奏会用練習曲 → 1862~1863年作曲
シューマンには他に完成には至らなかったと通常考えられている 「ベートーヴェン交響曲第7番第2楽章の主題に拠る変奏曲(1833)」 も存在するが、上記が3名が生前に出版された全練習曲である。
年齢は近接しているのだが、ショパン が「時期も早く、数も多く」他の2人を凌駕していたことは、シューマンファンも リストファンも 認めなければならない。「ショパンあっての 演奏会用練習曲」と言う事実は、シューマン & リスト のみならず、21世紀に至るまでの作曲家全てに行き亘っている真実である。