2021年可動目標】神戸に建設されるスパコン・ポスト「京」は1エクサ級の演算処理能力、総事業費は約1300億円【性能100倍】
神戸市のポートアイランドに建設された、国産スーパーコンピュータ「京」の後継機の建設計画が動き出しました。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の専門部会は2018年10月23日に、文部科学省や理化学研究所が開発中の次世代スーパーコンピューター(通称・ポスト京)について、本格的な製造に入ることを了承しました。2021年の稼働を目指して事業が進められます。
ポスト京はスパコン「京」の後継機で、同じ神戸市に設置される。高性能の中央演算処理装置(CPU)で京の100倍の計算性能を実現することに加え、省エネ性や様々なソフトが使える汎用性を備えることなどが開発目標とされた。
ポスト「京」開発の最大の目的は、現代社会が抱えるさまざまな課題と、科学分野における重要な問題の解決に貢献することにありあす。完成時に世界最高水準の性能をもち、汎用性が高く、さまざまな用途に使えるスパコンとなることを目指しているのは、この目的を果たすためです。ポスト「京」で取り組むべき課題は、文部科学省における学界・産業界の有識者からなる検討委員会において、以下の3つの観点から検討されました。
①社会的・国家的にみて、取り組む意義が高いか
②世界をリードするような成果が期待されるか
③ポスト「京」の性能を有効に活用できるか
その結果、2014年8月に以下の9つの重点課題を決定している。
スパコンによるシミュレーションでは、実験や観測が不可能な現象や、費用や設備の面で行いにくい実験を再現できますが、再現の規模や精度は、スパコンの計算性能とアプリケーションに大きく依存します。このため、重点課題では、ポスト「京」の高い計算性能があって初めて可能になる、大規模・高精度のシミュレーションが計画されています。
一方、近年、観測技術や分析手法の進歩により、従来とは比べものにならないほど大量のデータが得られるようになってきました。これらのビッグデータを解析し、そこから有用な情報を得るには、性能の高いスパコンが必要になります。そこで、重点課題の中には、ポスト「京」でビッグデータの解析を行うものもあります。
こうした大規模シミュレーションやビッグデータ解析を、ポスト「京」の運用開始後、速やかに開始できるようにするため、アプリケーション開発とシステム開発が協調的に進められています。ポスト「京」の重点課題は、日本にとって重要な課題の解決を最優先としつつ、スパコンと計算科学の進歩と普及に貢献することが期待されています。
現行機種、京コンピューター(K computer)の内部はこんな感じ
京コンピュータを構成するラックです。京コンピューターはこのラックが800台以上合わさって構成されています。ラック内には京コンピュータシステムを構成するシステムボードが上下に各12枚づつ格納されています。太い黒色のケーブルは水冷システムのホースです。
このコンクリートの塊は「熱源機械棟」です。ここは京コンピューターを冷やす水や空気を循環させる大型機械が設置されています。ちなみにこの京コンピュータ、施設全体で1カ月で最大2万1600メガワット時の電力を消費するそうです。これは標準的な家庭7万2千世帯分に相当します。
ペタFLOPSとかエクサFLopsと言うのは、1秒間に 浮動小数点処理演算を、 1015 回もしくは1021回行える計算処理速度のこと。
キロ 103 、 メガ 106 、ギガ 109、テラ 1012、ペタ 1015 、エクサ 1018、ゼタ 1021、ヨタ 1024