先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

マイナカード情報、スマホ搭載 生体認証で本人確認

2020年07月01日 17時03分09秒 | 日記

 

日経によると、『マイナカード情報、スマホ搭載 生体認証で本人確認』という。スマホが普及したので、マイナカード情報をスマホに記憶させ、情報の呼び出しは、パスワードとかではなく、持ち主の指紋とか顔とかの生体情報で行うようにしたらという案が政府で検討されているという。生体情報なら、悪用され難い。

 

政府は行政のデジタル化を進めるため、マイナンバーカードの機能を拡充する。カード情報をスマートフォンに搭載し、行政手続きや民間サービスの本人確認を生体認証でできるしくみを検討する。新型コロナウイルス対策の10万円現金給付で混乱したのを受け、システム改善に取り組む。

政府は30日、首相官邸でマイナンバー制度に関する作業部会を開いた。

菅義偉官房長官は「スマホへの搭載に加え、生体認証など暗証番号に依存しない仕組みを検討する」と表明した。「ポストコロナの社会で、国民の生活が安心で便利になるよう政府一丸で取り組む」とも強調した。

政府は今後5年間をマイナンバー改革の集中期間と位置づけ、年内に改革の工程表をつくる。早ければ来年召集の通常国会に関連法案を提出する方針だ。30日の会合で有識者の意見を踏まえた論点整理を公表した。

2022年度末に「ほとんどの住民がカードを保有する」との目標を示して普及を促してきた。現実は普及率が5月末時点で16.7%にとどまる。行政手続きなどのインフラの役割を十分果たしておらず、取得するメリットがみえないからだ。

政府は利便性を高めるためカードに組み込んだ本人情報を広く使えるようにする。アプリを活用して、カードと同等の機能をスマホでも使えるようにする。

一度スマホに氏名や住所などの情報を取り込めば、スマホの生体認証機能を使って本人確認を可能にする。

カードに生体認証機能をつけて暗証番号を忘れても活用できるようにすることも検討する。

新型コロナ対策の現金10万円給付では新たにカード取得を申請したり、暗証番号とパスワードを忘れたりする人が市役所などに殺到した。

対応力を高めるため、カードのシステムを運営する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)を見直す。サーバーの増強や専門知識を持つ職員の採用強化などの対策を打ち出す。

10万円給付で混乱したのはカードを持っていても普段使っていない人が多いためだ。

このため官民ともにカードを使える範囲を広げる。マイナンバーの専用サイト「マイナポータル」を改善し行政手続きのオンライン化を進める。

引っ越しの際に役所でマイナンバーカードを使って必要な手続きをすれば、銀行など金融機関や携帯会社の住所変更手続きができるなど、民間にも利用範囲を広げる。

オンラインで金融サービスを受ける際に必要な本人認証をマイナンバーカードで可能にすることも検討する。

民間サービスへの利用拡大はマイナンバーカードに搭載したICチップの機能を使うもので、マイナンバーそのものとは連携させない。

国内の住民一人ひとりに12ケタの番号は社会保障と税、災害対策にしか使えないとマイナンバー法で定めるからだ。

政府はマイナンバーの利用範囲も拡大する。児童手当や生活保護制度などの受給状況の把握などを候補に挙げた。運転免許証や国家資格証などをデジタル化させてマイナンバーと連携させることも検討する。

個人向けウェブサイトのマイナポータルについては、健康診断の情報や奨学金の給付状況など閲覧できる機能を増やす。

政府はマイナンバー制度とマイナンバーカードを行政のデジタル化を進めるための基幹インフラと位置付ける。

21年3月にはカードを健康保険証としても使えるようにするなどこれまでもロードマップを作ってきた。


ブラックホールが謎の天体をのみ込んだ

2020年07月01日 16時57分11秒 | 日記

 

ナショナルジオグラフィックによると『ブラックホールが謎の天体をのみ込んだ、重力波で初検出。中性子星にしては重すぎ、ブラックホールにしては軽い、天文学者ら困惑』という現象が発見されたとのこと。星は、超新星爆発をして一生を終わるが、星の質量が大きければ、太陽の質量の5倍以上のブラックホール、小さければ太陽の2質量の2.1倍以下の中性子星となる。今回のブラックホールと衝突した物体は、太陽の質量の2.6倍であったことからこの物体が何かで天文学者の興味を引き付けているという。

 

以下、ナショナルジオグラフィックの記事::::::::::::::::::::

2つのブラックホールが渦を巻きながら合体し、重力波を発する様子を可視化したもの。オレンジ色の帯は、放射線の量が最も多い部分を示している。この衝突は2019年8月14日に重力波検出器LIGOとVirgoによって観測され、小さい方の天体の質量が太陽の約2.6倍だったことが判明した。この質量は、中性子星とブラックホールの境界の確定につながる可能性があり、非常に興味深い。

 宇宙で不思議な衝突が起きた。

 地球から約8億光年の彼方で、ブラックホールが正体不明の天体をのみ込んで激しく合体し、時空を波立たせるほどのエネルギーを放出した。重力波と呼ばれるこのさざ波は宇宙を広がり、2019年8月14日についに地球に打ち寄せて、感度の高い3台の重力波検出器にとらえられた。重力波に書き込まれていた情報を解読したところ、天文学者たちは謎に直面した。

 今回の衝突はGW190814と名付けられた。検出したのは、米国のワシントン州とルイジアナ州にある2台の「レーザー干渉計重力波観測所(LIGO)」と、イタリアの重力波観測所「Virgo」だ。3台がこれまでに検出してきた天体の衝突の中でも、今回の衝突は際立っている。

 2つの天体は、もしかすると数十億年も互いの周りを公転しながらじわじわと接近し、最終的に衝突して、一方が他方をのみ込んでしまったのだ。天文学者たちは、のみ込んだ方の天体は太陽の23倍の質量をもつブラックホールだろうと推定した。問題は、のみ込まれた方の天体だ。質量が太陽の約2.6倍であることはわかったが、その正体は謎に包まれている。

「このようなものは見たことがないと断言できます」と、米ノースウェスタン大学のビッキー・カロゲラ氏は言う。氏がまとめた論文は、2020年6月20日付けで天体物理学の専門誌「Astrophysical Journal Letters」に発表された。

 謎の天体は、恒星のような表面をもつ天体か、ブラックホールと呼ばれる底なしの時空の穴かの分岐点にある。質量が、既知の中性子星より重く、ブラックホールより軽い、曖昧な領域にあるのだ。

 中性子星もブラックホールも、恒星が超新星爆発を起こしたあとに残る天体だが、質量が軽ければ中性子星になり、重ければ自らの重力によって収縮してブラックホールになる。科学者たちは、宇宙で最も極端な条件下での物質のふるまいが見えてくることを期待して、中性子星とブラックホールの境界を解明しようと試みている。

 これらの風変わりな天体は、恒星進化の終着点であるため、遠い将来、すべての星が燃え尽きたとき、空っぽの宇宙を漂う天体はこの2種類だけになるかもしれない。だからこそ、GW190814で確認された奇妙な天体が一層興味深く思われるのだ。

「それが中性子星なら、中性子星としては非常に面白い質量です。ブラックホールなら、ブラックホールとしては非常に面白い質量です」とカロゲラ氏は言う。「いずれにしても、データを見た瞬間、私たちは興味をそそられました」

時空のさざ波に耳をすませる

 光速で伝わる重力波は、経路上のあらゆる物体に押し寄せる。しかし、重力波による時空の歪みは非常に小さいため、検出するのは非常に困難だ。重力波検出器LIGOとVirgoでは、レーザー光を2方向のアームに分けてそれぞれ何度も反射させ、光が戻ってくるのに要する時間を測っている。宇宙の彼方から重力波が来て時空が伸び縮みすると、2つの光路長にわずかな差が生じるので、重力波が到達したことがわかる。

 重力波の検出は2015年に初めて成功し、2017年のノーベル物理学賞につながった。以後、重力波は何度も検出されている。そのほとんどがブラックホール同士どうしの衝突によるものだが、一部は中性子星どうしの衝突によるものだ。けれども科学者たちは、今回のGW190814にのみ込まれた天体については正体を特定できずにいる。

 衝突した2つの天体のうち、重い方の天体は明らかにブラックホールだが、軽い方の天体は、中性子星とブラックホールの質量ギャップと呼ばれるところにある。このような天体は非常に珍しい。質量ギャップ内のどこかで、物質は不安定になり、崩壊してブラックホールになってしまう。中性子星は、この限界ぎりぎりのところに位置している。

「物質が安定して存在できる密度には限界があります」と、国際宇宙ステーション(ISS)の中性子星観測装置NICERを使った研究を率いるNASAゴダード宇宙飛行センターのゼブン・アルゾマニアン氏は話す。「しかし、その限界がどのようなもので、限界を超えた物質に何が起こるのかはわかりません」

 これまでの観測から、中性子星の質量は最大でも太陽質量の2.1倍程度で、大半は1.4倍前後であることがわかっていると、中性子星とブラックホールの境界を調べている米アリゾナ大学のフェリアル・エゼル氏は説明する。太陽の2.5倍もの質量をもつ中性子星があることを示唆する観測もあるが、まだ確かなデータだとは言えない。そのうえ、中性子星の内部の物理過程を記述する理論は、膨れ上がった中性子星が崩壊しないようにしているものを突き止めるのに苦労している。

 一方、これまでに観測されているブラックホールの中では、太陽質量の5倍程度のものが最も軽い。つい最近まで、この中間にはほとんど何も存在していなかった。だがLIGOは、2つの中性子星が衝突してできた天体を2017年に検出している。その重さは太陽質量の約2.7倍だった。

 今回の衝突では、ブラックホールが別のブラックホールを共食いしたのか、それとも中性子星を食べたのかが現時点では不明である。

 エゼル氏は、「もし食べられた方の天体が中性子星だったとしたら、太陽質量の2.6倍もの質量をもつ中性子星が存在できることになります。パラダイムシフトを起こすような大発見です」と話す。

 エゼル氏とカロゲラ氏は、謎の天体は質量の小さいブラックホールではないかと考えている。「物理学的に、太陽質量の2.6倍のブラックホールが存在できない理由はありません」とエゼル氏は言う。しかし2人とも、確実な証拠をつかむのは難しいだろうと指摘する。この連星系は、ほかの観測所で調べるには遠すぎるからだ。

 衝突した天体の質量の差が大きいことも、手がかりを得にくくしている。今回のブラックホールは相手の天体を丸ごとのみ込んでしまったが、ブラックホールの質量がもっと小さかったら、近づいてくる天体が変形し、ばらばらになる様子を見ることができたかもしれない。そのような「汚い」食べ方をしていれば、判別可能な痕跡が重力波の中に残ったはずだ。

「この天体の正体を特定できる可能性はないでしょう」とエゼル氏は言う。「それが中性子星だったことを示す証拠はありませんが、だからといってブラックホールだったと決まるわけではありません」

未知なる起源

 GW190814に関与した天体は、その正体はどうあれ、質量差の大きさという点で非常に重要だ。LIGOとVirgoが観測してきた衝突のほとんどが、質量が比較的近い天体どうしの衝突だったのに対し、今回衝突したブラックホールは太陽の23倍の質量で、軽い方の天体の約9倍も重いのだ。

「これまで見たことのないような現象です」とエゼル氏は言う。「以前はできなかったような重力波による検証や、このような連星系のでき方をめぐる問題に挑戦するきっかけになります」

 これだけ非対称な連星系の起源や形成環境を解明するのは非常に難しい。例えば、球状星団と呼ばれる、銀河の周囲を軌道運動している古い恒星の集団では、ペアになっているコンパクトな天体どうしの質量は非常に近いと推定されている。また、銀河の内部でも、孤立して進化してきた連星系に質量の偏りが生じる可能性はあるものの、重力波が観測できるほどの衝突が頻繁に起こるとは考えられていない。

 研究チームは、より奇抜な形成シナリオを検討している。例えば、複数の連星系の融合、ゆるやかに結合した星団、超巨大ブラックホールの周囲に円盤状に渦巻く物質などだ。

 しかし、無限の可能性をもつ宇宙ではよくあることだが、知られていないことが数多く残っている。

「中性子星の魅力の1つは、重力崩壊してゆく物質の最後の中継点であることです」とアルゾマニアン氏は言う。「物質が安定的に存在できる最も高密度の状態、つまり、それ以上の密度になったら内破し、自らの事象の地平線の中に崩壊して二度と見ることができなくなる状態というのは、どのようなものなのでしょうか?」

ギャラリー:ブラックホールの謎に迫る宇宙の画像 
NASAの望遠鏡が撮影した遠方の銀河では、中心のブラックホールのまわりを星々が環のように取り囲んでいる。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH)